
発行年月:2012年01月
サ イ ズ:272P 15cm
時は文化文政期の江戸。
幕末なんてどこ吹く風の太平楽な町の片隅に、
駆け出しの浮世絵師がひとり。
女性と見紛うばかりの美貌に、優れた才を持つ。
名は石蕗蓮十という。蓮十の筆にはふしぎな力が宿っている。
描くものに命が吹き込まれるのだ。でも、それは内緒。
蓮十の周りはいつも賑やかだ。
蓮十の世話を焼きたがる地本問屋のお嬢さん小夜に、
悪友の歌川国芳。
彼らとともに蓮十は、今日もふしぎな筆の力で町で起こる事件を
解決することになり?江戸の情緒あふれるふしぎな浮世絵物語。
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初めましての作家さんです。
ちわ☆わんさんのレビューを見て
購入した本をやっと読みました。
この著者。普段は少女小説・ラブコメを書いてるとか・・・
なるほど納得って感じです。
登場人物やらキャラや設定が王道です(^◇^;)
主役が超美形で、しかも暗い過去を持っているのに
周りからは愛されるキャラって王道でしょう(○ ̄m ̄)
時代背景がお江戸っていうだけなんだけど
不思議な画才を持つ駆け出しの浮世絵師を
主人公に持ってきたのがよかったのか・・・
男性を主役にしたのを書くのは初めてだとか・・・
これも納得(^◇^;)
いわゆる色恋系の会話がどうにもわざとらしい。
読んでいて、その部分だけに違和感を感じてしまった。
悪いと言っているのではないです。
3つの連作短編集。
「真冬の幽霊」
仏具屋問屋相模屋のところで、お内儀さんの
死絵を描いた蓮十。
ところが、その絵が夜な夜な歩き回るという。
詳しい話を聞きに相模屋を訪れてみると・・・
「絵くらべ」
料理屋卯波で、「絵くらべ」と称して襖絵を描いた蓮十と国芳。
それが評判となり夏・秋・冬と描いてきたが、春の依頼が来た。
張り切る二人だったが・・・
「桜褪め」
江戸の町火消し“め組”の清太の背中の刺青の下絵を描いた蓮十。
清太は纏(まとい)を火事場の屋根の上で振上げる纏持ち。
般若面の美人絵を背負っている事が話題になっていたのだが・・・
桜ざめとは、散り際になると急速に色あせていくことを言うそうで
桜の季節に婚礼を避ける風習まであったそうです
どれも蓮十が描いた絵が発端になった事件?なのだが結末が予想できる。
それでも楽しめたのは、絵から抜け出た蛙・兎・亀の面白トリオや
絵が動き出さないように蓮十が施した綻びの話だったり
実在した江戸時代末期の浮世絵師:歌川 国芳を登場させたことかな?
“奇想の絵師”と呼ばれた国芳が蓮十の悪友ってのが笑える。
本当かどうかは別として、国芳が肉食系男子みたいに描かれていて
しかも猫好きということになってます。
超ライトで、ほのぼの人情系の江戸異聞譚。楽しめました(o^o^o)
続編が出てますね。どうしようかなぁ~
ちょっと気になります。
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