
発行年月:2001年02月
サ イ ズ:355P 15cm
時は平安。
陰陽道の名門に生まれたにも関わらず、家業である陰陽道を捨て、
文章道を選んだ一人の青年がいた。
青年の名は慶滋保胤(よししげ やすたね)。
保胤は大陰陽師・安倍晴明の依頼に応じて
近頃都に現れた外法師の素性を調べ始める。
だが、それはとてつもない怨念と呪いが渦巻く事件へ
保胤を導くきっかけに過ぎなかった…!
魑魅魍魎がうごめく平安時代の闇―。
いま、闇から滴る魔が世界を狂わせ始める…。
第七回電撃ゲーム小説大賞「金賞」受賞作
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初めましての作家さんです。
そしてmirokuさんに頂いた本です。
本作を読むにあたり、頭の中を平安にしておこうと
獏さんの陰陽師を読んで、シットリしておいたんだけど
ちょっと失敗だったかも(^◇^;)後に読めばよかった(○ ̄m ̄)
最初にいきなり安倍晴明が登場するんだけど
その描写にショックを受けてしまった。
まぁ~本作の安倍晴明は、壮年に差し掛かる年らしく
いわゆるオッサンです(゚O゚;
長男まで登場しているし、これがまた良い陰陽師なのだ。
主人公は本名:賀茂保胤
(「賀茂」を訓読みした「よししげ」に慶滋の字を当てた)。
安倍晴明の師である賀茂忠行の次男で、代々の陰陽師の家系ながら
文章生を志す賀茂家の異端児。
保胤は貴船の鬼女を止むを得ず封じることにした。
その直後、清明に囁かれ、都の外れに住み着いた外法師の調査に
向かうのだが、これをきっかけにとんでもない災難?に巻き込まれる。
10年ほど前に保胤が読み書きを教えていた、呪法にかかわりの深い貴族
「伯家」の世継ぎ候補として幼少期より男名を負った時継とも
再会を果たしたものの、これまた外法師がらみの事件と繋がっていて
怨念渦巻く闇の世界に引きずり込まれる事になる。
これは面白かった!
珍しく睡眠時間を削って読んでしまった(^◇^;)
獏さんの陰陽師もわかり易くて読みやすいけど
本作も主人公の呪への対峙の仕方は違えども読み易い。
しかも保胤は陰陽師としては優し過ぎる。
封じるか滅するしかないのに いちいち迷ってくれたりする。
そこがいい!
情景描写や、さりげない解説と史実に基づいた設定を
うまく絡めているから、わかり易い上にリアルだったりする。
安倍晴明はじめ登場人物たちも実に良く描けている。
これがデビュー作ですか?
ラノベってこんなにレベル高かったっけ??
mirokuさんに送ってもらって本当に感謝ですよ。
1,2,4巻を頂いているので、3、5巻はテーマ読みの本と一緒に
購入する事に決定です。
とりあえず続き読んでます(○ ̄m ̄)
あっ( ̄O ̄!
最後のシーンがいいですねぇ~
二人が歩み去るその背を、桂川の水面から、一匹の河童が
じっと見送っていた。
まさか本当に書かれてる事だとは思わなかった(^◇^;)