一鬼夜行/小松 エメル | mokkoの現実逃避ブログ

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一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)/小松 エメル
¥651 Amazon.co.jp
発行年月:2010年07月
サ イ ズ:317P 15cm

江戸幕府が瓦解して五年。
強面で人間嫌い、周囲からも恐れられている若商人・喜蔵の家の庭に、
ある夜、不思議な力を持つ小生意気な少年・小春が落ちてきた。
自らを「百鬼夜行からはぐれた鬼だ」と主張する小春と
いやいや同居する羽目になった喜蔵だが、次々と起こる
妖怪沙汰に悩まされることに――。
あさのあつこ、後藤竜ニ両選考委員の高評価を得たジャイブ小説大賞受賞作
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初めての作家さんです。
ちわ☆わんさんのレビューを読んで
購入していたのをやっと読みました。
一鬼夜行とは何ぞや?と思っていたんだけど
百鬼夜行から1匹だけ落っこちた鬼だからって・・・(○ ̄m ̄)
落ちるもんなのか?( ・´ー・`)プッ

いやいや。どっから見ても幼い子供の姿形をした
それでも鬼だという小春は落っこちた。
落ちた場所がこれまた妖怪よりもよほど妖怪らしい
風貌と性格の喜蔵の家の庭だった。

喜蔵は幼くして母親に捨てられ、更には父親にも捨てられ
育ててくれた祖父も亡くなり、友だと思っていた彦次にまで
裏切られ、人を信用するのをやめたというのだから
性格がひん曲がるのもしょうがないと言えばしょうがない。
町の人達も怖がって目を合わせないようにしている。
そういう生い立ちを読んだ時に、結構年がいってるかと思ったら
ものすごく若くて驚いた(^◇^;)

それでも生活だけは慎ましく規則正しい生活をしていた。
そこに風貌は子供だけれど百鬼夜行に並ぶくらいの
力の強い鬼が落っこちてきて、一緒に生活することになる。
小春が鬼だとわかっても動じない喜蔵。
小春の登場で今まで気配だけだった怪たちが姿を見せても動じない。

まぁ~小春にしてみれば、化けの皮をかぶったり剥がしたりする
人間の方がよほど妖怪だってことらしいが・・・

へそ曲がり同士の共同生活?は、それなりに充実?していて
やがて小春は喜蔵に代わってお遣いに行ったり
喜蔵と一緒に牛鍋屋で食事をしたりしながら町の人に馴染んでいく。
喜蔵も町の人とは一線を置いたままでも怪たちと
小春を交えて遭遇する確率が高くなる

そうするうちに小春と喜蔵は怪がらみの問題を
解決してくれると噂が立ち、今度は喜蔵の周りで
怪がらみの被害が出てくる。
そこで小春のとった行動とは?そして・・・


へそ曲がりで口が悪い二人と、頑なに人を信じようとしない
喜蔵の気持ちや小春の思いが根底にあるもんだから
なんとも切ないという感じが始終つきまとった状態で
読み進める事になる。
二人の会話や呟き、怪との会話からチラホラと心が読み取れる。
河童の女棟梁:弥々子から「小春は経立(ふったち)だ。
本来生きるべき生を外れて怪になった、本物の化け物さ」
油断してると首を取られると警告されても動じない。

経立・・・初めて聞く言葉です。
意味の方だけ漠然と知ってはいたけど、呼び方は初めて知ったわ。

更には喜蔵の周りの人間たちとの思い出話やら、
河童の弥々子の思い出話などを間に挟んでいるんだけど
これが最後の方で繋がって、絶大な効果を発揮する。

ある程度、予想はついてはいたんだけど
もうねぇ~ウルっとするのよぉ~
小春の正体については、最後の方で語られるんだけど
その語り手である妖も、あと200年も生きたら
薬屋探偵に登場するカイのようになるんだろうなと
他の作品と繋げて楽しんでみたり・・・(^◇^;)

そしていつか・・・と近い未来を想像させる終わり方が
とってもいいのですよぉ~(o^o^o)
心の底からジワーっと暖かくなる優しい作品です。
いいものを読んだわぁ~(*´◇`*)

これ、シリーズなのねぇ~о(ж>▽<)y ☆
明治人情妖怪譚シリーズ
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