吸血鬼カーミラ/レ・ファニュ | mokkoの現実逃避ブログ

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台風が接近していて、物凄い雨になってます。
部屋の中にいても結構怖いです。
風もゴーゴー唸ってます!
みなさん、気をつけてくださいねぇ~

吸血鬼カーミラ 創元推理文庫 506-1/レ・ファニュ
¥798 Amazon.co.jp
訳/平井呈一
サイズ:386P 15cm

正統派のホラー・ストーリーの第一人者として他を圧する
レ・ファニュの選びぬかれた傑作集。
夜な夜な窓辺に現われる白い手、
姿なき復讐者にとりつかれた超自然の恐怖、
犬に化身した父親の遺志、亡霊に恋人をとられた画家の怨念、
悪徳判事に復讐する刑死者たちの亡霊、
恋人の血を吸う美貌の令嬢など、
作者の真価を伝える七編を収録した。
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猫→鼠→鳥→きつね→犬→アヒルと鴨→鴉→猫ときまして
テーマ読み第9弾は「吸血鬼」です!

mokko基準の生きものですから!
認知されてますよね?吸血鬼って知らない人いないよね?
いるかいないかは別としても・・・
ヴァンパイアと言えば主流は男性なんだけど
そこはやはり女性も出しておかないと♪
女ヴァンパイアの本は大好きなアン・ライスさんが
「パンドラ 真紅の夢」というのを出してるんだけど
これはヴァンパイアクロニクルズの第7弾にして番外編。
しかもタイトルに生きものとしての名がない(/□≦、)

ってことで、女ヴァンパイアといえばカーミラですからねぇ~
1冊まるごとカーミラの話だと思ったら、短編集でした(^◇^;)
この著者知らなかったんだけど、ホラー作家として有名らしい。

で・・・最初に謝っておきます<(_ _)>
この作品を好きだという人がいるかもしれないし、
実際に褒めてる人もいらっしゃったので・・・

カーミラについては、あのブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」よりも
先に書かれていて、しかもかなりの影響を与えているらしい。

とは言っても、本作の前にも「The Vampyre」という作品があるので
そっちが元祖になるわけだけど、それでもアノ作品に影響を与えた
作家の作品というから期待度はかなり高かったんです。
とか言いながら7年も積んでましたけど(;^_^A

有名なのか・・・ってことは翻訳に問題があるのか?
そうとしか思えないんだけど・・・(-。-;)
カバー絵に惹かれて購入したのが間違いだったらしい。
この作品は、訳によって『吸血鬼カーミラ』『女吸血鬼カーミラ』
『女吸血鬼カルミラ』『吸血少女カーミラ』などがあるらしい。
別の訳者の作品を読む事を強くお勧めします。

読み始めてすぐに思ったのが、これって直訳?ってこと。
物凄く読みづらい。
漢字が読めないとかじゃなくて、平仮名も普通の文章も読みづらい。
ヴィクトリア時代の怪奇作家だからか?( ̄へ ̄|||) ウーム

レビューをチラ見した時に「丁寧な描写」と書いている人がいた。
人によって、これだけ感じ方が違うものかと愕然とした。
「丁寧な描写」というのは、情景や心情が目の前で見ているかのごとく
表現されている事だと思っていた。
決して見えるものをダラダラとシツコク、そして不必要に繰り返し
書き並べることではないと思う。
直訳?と思ったのも、それが原因だったりする。

頭の中で情景が動かないどころか、3行くらい読んでは
初めに戻って読み直さないといけない。
文章に慣れるまでは本当にそんな感じだったのよ。
会話だって、そのキャラの人となりなんかが表れたり
何かを暗示しているものだと思っていたけど、それもない。

褒めている人もいるので、mokkoの理解力不足が原因なのかもしれない。
作品によっては、田舎だから訛りを表現しようとしてるんだろうけど
紳士がいきなり「●●じゃろ」とか「そうじゃ」とか言うわけよ。
方言というか、いつから老人になったんじゃ?って感じで
変なところが気になってまるで集中できない。

ホラーなのに全然怖くない。
まぁ~イギリスの怪奇小説黄金時代のものだから
現代のホラーと比べるのは酷かとも思うけど
とにかくイライラして怖がる暇がない。
っていうか、どこが怖いの?

以下、ネタバレあり!くどくて長いですよ(○ ̄m ̄)


「白い手の怪」
夜、玄関のドアを誰かがノックしたので、出てみると誰もいない。
そのノックがだんだん屋敷の中に入ってきて
とうとう居間のドアをノックした。
ドアの隙間から見えた白い手は・・・

こう書かれた方が、まだ怖さを感じないか?
老婦人の手紙で書かれたという内容になっているんだけど
不必要にダラダラと書かれているので、最後には
だからどうした?って思ってしまった。

「墓掘りクルックの死」
一度町を出たクルックという男が随分経ってから戻ってきて
墓堀りの仕事を始めた。
しばらくしたら、変なところから変死体で発見された。
色々調べてみたら、悪いことをやってたらしい。
で、検視官?が来るまで宿屋の厩に遺体を入れておいたら、
変な男が宿にやってきて、宿の厩番の男を連れて遺体を覗いたら
遺体が起き上がったように見えて、怯えた厩番は宿屋の主人に報告。
そして・・・
o(゜◇゜o)ホエ?

この変な男が宿にやってきて、宿の客に「沼地を通って来たのか?」と
聞かれて答えた内容が↓(文中より)

「いかにも、おっしゃるとおり、わたしはダーデール沼地を通ってきた。
瀝青のようにまっ黒で、墓場のように腐ったところだ。あれから、
あんたがロードという、曲がりくねった壁をのぼると、月の光に道が
チョークのように白く見えた。それから炭のようにまっ暗なダンナーの
谷をぬけて、この『●●(宿の名前)』へ下りてきたんだが、ここへ来てみると、
暖炉に火はゴーゴー燃えておるし、賢い方々はおいでだし、
うまいパンチはあるし、・・・おまけに馬車小屋には
死骸まであるときている。死骸のあるところには、鷲が寄ってくる。
おやじ、酒をつげ。さあ、みなの衆も飲んだり、飲んだり。おやじ、
もうひと鉢こしらえろ。辛口で、なかなかよろしいぞ。みなさんも
辛口がお好きなんだろう。香料がプーンと、ミイラのような匂いだ。
さあ、飲め飲め。おやじ、注げ注げ。みんな飲め飲め。注いだり、注いだり」


こういう会話がダラダラと続くのよ・・・
この会話に何かのヒントが隠されてるわけでもないのよ。
ホラーというか幻想小説って、霧とか靄がかかったような雰囲気が
妖しくていいわけでしょ・・・
間違っても焚き火の煙で燻したらいけないわけよ。
あまりにも煙くて、咳き込んでるうちに現実に戻るわ!

「シャルケン画伯」
シャルケンの描いた1枚の絵に纏わる物語。
シャルケンが巨匠である師の元で絵の勉強していた時
師の娘と恋に落ちる。
その事を知らない巨匠は、突然訪ねてきた異様な男に
娘をくれと言われ、金に目がくらんで無理矢理結婚させた。
ところが娘が嫁いだ日から消息が掴めなくなった。

しらばく経ったある夜、娘が怯えながら逃げ帰ってきた。
誰も部屋に入れてはいけない。部屋のドアを開けてはいけない。
そして神父を呼べと・・・
ところが父はウッカリドアを開けてしまい、風が吹いて
蝋燭の火が消えてるうちに娘は再び消えた。
シャルケンは娘が嫁いだ日に何があったのかを調べ
街を彷徨い、月日が経ったある日。
とある場所で昔とちっとも変わっていない娘の姿を見た。

(  ° ▽ ° ;) エッ?それで終わり?
よく聞く話ではあるけれど、そりゃないよぉ~
ちなみにゴドフリ・シャルケンは実在する画家だそうで
この作品に出てくる絵が実在のものかどうかは不明とのこと。

「大地主トビーの遺言」
物凄くへそ曲がりで偏屈なトビーは息子兄弟にも容赦なかった。
兄は不細工な顔で、弟はイケメンだったので、
トビーは弟の方を可愛がっていた。
やがてトビーが亡くなり、兄弟の間に確執が生まれていた。
弟はそのまま屋敷に住み続けたが、弟は落馬して片足が不自由になった。
兄は家を出て行ったきりだった。
弟は偶然にも全財産を兄に残すと書かれた父トビーの遺言書を発見した。
弟は黙っていることにしたが、兄の弁護士がそのことを発見したらしく
文句を言ってきたが、知らないフリで通すことに決めた。
ある日、奇怪なブルドックが弟に懐いて屋敷で飼う事にしたが
あまりにも奇怪なので銃で撃ち殺した。
そうこうしているうちに兄が死んでくれた。
その時から幽霊が出るという噂が女中の間で噂されるようになる。
で、弟も死んだ。

(; ̄ー ̄)...ン?
父と兄は何で死んでから仲良くなったんだ?
理解不能だわ・・・

女中達が幽霊が出ると噂してるのを聞いた弟が、
老執事を呼びつけて言った言葉↓(文中より)

「クーパー(執事)、おれはな、おまえがなにかしてくれる時は、
けっして馬鹿じゃないことはわかっている。かりにここの家に
幽霊みたいなものが出たとしても、まさかあんなシギ頭の女どもの
ところへ、そんな話をしに行きはしまいさ。そんなことがあれば、
おまえは当然考えるべきことを考えるはずだものな。今おまえ、
わしの考えることなんか・・・といったが、一体、なにを考えているんだ?
おまえも、昔はなかなか頭の切れる男だった。おやじがよくいってたように、
おまえはその切れる頭に、馬鹿のシャッポをかぶっちゃ駄目じゃないか。
あんな女子どもを馬鹿にしむけるようなことは、よしなさい。
そんなことをすれば、あいつらのむだ口に、もう一つべつのむだ口を
のっけるようなものだ。ということはだ、ジリングデン一家のことで、
しゃべってはならんことを、やつらにしゃべらせることになる。
おまえがそれを好むとは、おれは思わん。そんなことはおまえには絶対に
ないと、おれは信じている。もう女どもは台所におらんだろうから、
クーパー、おまえ火をおこしてな、あっちで一服やれや。おれも
この一服のんだら、そっちへ行く。一緒に一服やろうや。ついでに、
ブランデーに水も用意しとけ」


たった1回、口を開いたら、こんな感じなの。
もうウンザリです。

ってことで、「仇魔」「判事ハーボットル氏」の2作品は
飛ばしました。
それまでの4作を読んだmokkoを褒めて欲しい。

「吸血鬼カーミラ」表題作

一番読みたかったのが最後というのも・・・(^◇^;)
もう1度言います。
この作品、あのブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」よりも
先に書かれていて、しかもかなりの影響を与えているらしい。
それについては大いにわかりました。

本作は被害者ローラの回想という形で書かれています。
もちろん、文章はクドイです。
でも興味のあるものなので、他の作品よりはマシに思いました。

オーストリアの山奥の城に父親と使用人と一緒に暮らす18歳のローラ。
隣の城(田舎の隣は相当遠い)の将軍が同い年の姪を連れて遊びに来るのを
楽しみに待っていたのに、将軍から姪が急死したとの手紙が届く。
姪を溺愛していた将軍の手紙には悲しみだけでなく、姪を死に追いやった
怪物の正体を突き止めるような事も描いてあった。
同い年の友達が出来るのを楽しみにしていたローラは悲しんだ。
そんなある日、城の門の近くで暴走馬車が事故を起こし、
馬車から出てきた美しい婦人は、急ぎの旅の途中なので
3ヵ月後に迎えに戻るまで娘のカーミラを預かって欲しいと頼む。

予想外に出来た友達に大喜びのローラだったが、その頃から
近隣の村では若い娘が妙な病で何人も死んでいく。
そしてローラにも少しずつ異変が忍び寄っていた・・・
そこに遅ればせながらやってきた姪を亡くした将軍がやって来る。
姪の身に起こった不可思議な出来事はローラが体験している事と
ほとんどが同じであった。
そして、将軍達は妙な病の正体を突き止める。


カーミラが直接牙を肌に突き立てるような描写は一切ない。
けれど喉元に残された牙の跡や、吸血されているであろう時に
少女達が見ている夢や感覚が妙に生々しくて、他の吸血鬼作品でも
表現されるように、恍惚となる感覚はここから来てるんじゃないのかな?

ただ、ホラーでは見せ場になるはずの後半部分がアッサリし過ぎ(^◇^;)
解決を急ぎすぎた怪奇サスペンスって感じになってます。
いきなりどっかの男爵が出てきて、サクっと説明して解決してしまう。
そりゃないでしょ~
言い訳のように、男爵の事が書かれてたけど、遅いってば!
せめて仄めかすような事でも書いていてくれれば
もっと面白かったのに・・・

何件かのレビューにレズビアン的表現があると書かれていた。
あれをレズビアンというのか?と思ったら
解説文を訳者本人が書いていて、その中にレズビアンムードが濃厚だとある。
ここからして考え方が違う。

相手は吸血鬼で、目の前に新鮮な血をたらふく含んだ
若い娘がいるんだもの、そばに寄れば頬は赤く上気するだろうし
目もギラギラするだろうし、吸血衝動に襲われて、
つい頬に口付けしたり、首筋に唇を這わせたりしたくもなるだろう!
それを理性で必死に押さえ込んで握った手が震えることもあるでしょう。

やたらとベタベタするのは、完全に手中に落ちた餌を目の前に、
その死の瞬間を想像して浮かれる狩人そのものだろうに・・・
狩った獲物をもてあそぶ猫さんみたいなもの?
しかも、見た目は美し過ぎるとはいえ、少女である。
一緒にいても怪しまれない若い女だけを狙うのも頷けるでしょ。
レズビアンというのは、穿ったものの見方だと思うんだが・・・
ちょっと著者を擁護してみた(○ ̄m ̄)

やはり訳者がmokko的に合わなかったらしい。

ただ、何が一番怪奇かっていうと、著者の最後ではないだろうか?
怪奇に復讐されたように亡くなったというのが
何ともホラー的でした。

最後まで読んでくださった方
お疲れ様でした<(_ _)>


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パンドラ、真紅の夢 (扶桑社ミステリー)/アン ライス
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