満月の夜 古池で (角川文庫)/坂東 眞砂子
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「満月の夜、古池で、俺たちは黒鳥になる」。
小学生の透は古池公園で人間の言葉を話すカラスに出会うが、
その直後から数々の危険に見舞われる。
透を助けてくれた老人は、カラスが人間に変身できる
不思議な池の存在を教えてくれた。
しかし老人は、人間支配を目論む闇組織「黒鳥親切会」に殺され、
透もカラスに変身させられてしまい…。
直木賞作家の原点ともいえる呪術性あふれた幻想ファンタジー。
二度目ましての作家さんです。
「桜雨」を書いた人とは思えない作品です。
他のブロガーさんによると、どうやらホラー系の作家らしい。
桜雨が異色作だったらしいです(^◇^;)
今回は、子供向けの作品を読んでしまったらしい・・・
野外授業で動物園を訪れた透は、皆から離れて
公園の中に一人足を踏み入れる。
そこで暗号めいた言葉を聞き、声の主を確かめるとカラスだった。
カラスと目が合った途端に襲われる透。
偶然居合わせた老人に救われるが、その後、透は
カラスに付け狙われ、襲われるようになる。
マンションの9Fの手すりから落ちそうになったり
道路でも、群れで襲われ車に轢かれそうになる。
親に話しても信じてくれない。
助けてくれた老人の居場所を突き止めた透は
アパートに乗り込み、老人が元はカラスだったと知る。
カラスは満月の夜に古池公園にある古池に浸かると
人間になれるというのだ。
そこに黒鳥親切会の若い男達が乗り込んできた。
カラスそっくりな、黒いビー玉のような瞳。
透はカラスにされ、老人は殺されてしまう。
カラスにされた透は上手く逃げ出す事が出来たが
自宅マンションを覗いてみると、透が誘拐されたらしいと
刑事が来ていた。
彼の瞳もまた、黒いビー玉のようだった。
そして黒鳥親切会が環境保護や身寄りのない老人を
助けると偽って、人間社会を征服しようとしている事を知る。
人間に戻るには、古池公園の古池の水を浴びるしかない。
しかし、古池がどこにあるのかわからない。
透は逃げ込んだマンホールで公園から脱走したワニや
ニシキヘビ達と出会い、古池を目指す。
幻想ファンタジーというか、小学生の目線で書かれた
不気味な冒険ファンタジーかな?
人間になりたい動物と、動物に戻りたい動物人間と
元の姿に戻りたい人間と・・・
人間になった動物達は幸せになったのか?
ちょっと皮肉交じりの内容になっているけれど
子供向けでは、これくらいが限度かなぁ~
最後が急ぎすぎた感じだけど面白かったです。
群れるカラスって、やっぱり怖いし、
黒いビー玉のような瞳がリアルに想像できて
そっちが怖かったです(^◇^;)
月特集の月判定は・・・
新月 :タイトルのみで月の登場はほとんどなし
三日月:作品の内容には特に関係ないが、月に関する描写がある
半月 :月が作品の内容に関わるキーワードになっている
満月 :月がテーマの作品である
