コッペリア/加納朋子 | mokkoの現実逃避ブログ

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コッペリア (講談社文庫)/加納 朋子
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恋をした相手は人形だった。作者は如月まゆら。
だが、人形はエキセントリックな天才作家自らの手で
破壊されてしまう。
修復を進める僕の目の前に、人形に生き写しの女優・聖が現れた。
まゆらドールと女優が競演を果たすとき、僕らは?
日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く、
初めての長編ミステリー。

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初めての作家さんです。
「ななつのこ」が気になってチェックはしてたけど
購入まではいかなかった。
しかし、去年、恵さん のレビューを読んで即買って
安心して積んでおりました(^◇^;)


タイトルの「コッペリア」はバレエでおなじみのコミカルな作品。
天才的な人形作り職人のコッペリウス博士が作った
機械人形の少女コッペリアに、村の青年フランツは恋をする。
フランツの婚約者スワニルダは不安になり、博士の家に忍び込む。
そこでコッペリウス博士はフランツの魂を人形に入れ、コッペリアを
人間にしようとしていたことを知る。
しかし、コッペリアが人形だとわかったフランツは、婚約者と
仲直りしてハッピーエンドという内容。


本作の登場人物の女優も「コッペリア」で人形役を演じますが
演目のコッペリアはバレエのそれと、ギリシャ神話の
「*ピグマリオン」を足して2で割ったような内容だそうです。
*キプロスの若い彫刻家が自分で作った彫像に恋をする話し。


問題は人形なんですよ・・・


これはミステリーのはずなんですよ。
そのつもりで読み始めたんですよ。
多視点構成でトリックがあるってのは、恵さんのレビューで
わかってはいたんだけどね、その場面にたどり着いたときに
一瞬、頭が混乱したんだけど、そういうことだったのか・・・と
サラっと流せてしまったのですよ。


いや・・・確かに事件はあるのよ。謎もあるのよ。
だけどmokkoはミステリとしてではなく、人形に魅入られた
もしくは、人形に憑かれた人たちの物語として読んでました。


だから、本作のまともなレビューをお望みでしたら
上の「恵さん」のレビューを読んでくださいね♪
文字にリンク貼ってますから。


そもそも、本書を買った理由は
恋をした相手は人形だった。←これですもの!
mokkoのような妖しいモノ好きで、人形が「怖い」ではなく
妖しいモノに含まれる人は、この作品読むとヤバいですよ。


だって、人形がヤバいんですってば!
人形に対する執着と執念がもの凄いんですってば。
それがコレクションだったり、恋する相手だったり
子供の欲しがったモノだったり、子供の身代わりだったり
それを作り上げる人だったりするんだけどね
それぞれの人形に対する情念たるや、凄まじいのですよ。


壊れた人形でも欲しいと思ったのに
人形作家の手で、目の前で更に破壊されても
それを自ら修復する執念!
魂を削ぎ落とすかのような勢いで人形を作る人形師「如月まゆら」
まゆらドールを販売しながらも自らもコレクターとして
作品を作らせる男。
人形に死んだ娘の名前を付けて生きているように振る舞う母親。
自分と瓜二つの人形と舞台に立つ女優。


登場人物たちは、それぞれ心に欠損がある。
特殊な環境や過去によって歪んだのか欠けたのかは知らない。
心の欠損は乾きに似ているのだと思う。
そこに人形がいた。
乾きを満たすかのように人形を渇望する。
そんな感じなのである。


バレエのコッペリアでは、人形師が青年の魂を人形に入れ
人形を人間にしようと企む。
けれど本書の人形師は、空洞となっている自分の心を
埋めたかったのだと思う。
人形を作り続けることで、欠損が埋まると信じていた。
相手には人形しか見えていなかったのに・・・
悲劇だ!


自分の作った人形とそっくりな人間。

自分にそっくりな人形と出会った女優。

人形と瓜二つの人間を見てしまった男。

人形を挟んでの三角関係から四角関係
恋の対象が人間なんだか人形なんだか

そもそも人形に対する気持ちは恋なのか?
ともかく、その執念が恐ろしい


まぁ~最後は、ほっとする内容にはなっているんだけどね・・・

ミステリを読んだというより、人形に惑わされた人間の

物語を読んだって感じでした。

別の意味で面白かったです。(^◇^;)


出来の良い人形って本当に魂取られそうだったりするでしょ
特にmokkoみたいな妖しいモノ好きには
ヤバいアイテムなのよ。
アニメの模倣のフィギュアじゃなくて完全な創作人形。
スーパードルフィーなんて、完全にヤバいです(○ ̄m ̄)


文中にも、理想の人形が描かれている。


様々なポーズによって、表情を変えることのできる
人形が欲しかった。
眼は描き眼などではなく、ガラス球のはめ込み式でなくては
ならなかった。
肌はあくまで滑らかで、その上、血が通っているかのような
質感を持っていなくてはならなかった。
さらには鎖骨や踝の骨が作り出す美しいカーブや
手指や喉元の優美なへこみが表現できていなければ
ならなかった。


そうなのよ。欲しいとなったら、そんな人形が欲しいのです。

鎖骨や踝の骨が作り出す美しいカーブ

(*~○~*)アァーン わかってらっしゃる!


とことん自分の理想に作り上げたくなる。
そういう自分をわかっているから、手は出さないんだけどね・・・
手を出したら戻れなくなる(^◇^;)

危ない危ない・・・


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