アクナーテン/アガサ・クリスティー | mokkoの現実逃避ブログ

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アクナーテン (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー
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古代エジプト第十八王朝の王アメンヘテプ四世(アクナーテン)は、
勢力を増すアメン神の神官団排除のため、太陽神アテンを
唯一神とする宗教改革を断行。
その歴史的事件をベースに、若き王アクナーテンと
美しい妻ネフェルティティの愛と、民に自由を与えるはずの
彼の企てが無残に崩壊する様をドラマチックに描く。

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初クリスティーです。
クリスティー原作のドラマや映画は結構好きで
ポアロやマープルは未だに気にして見てますが
活字で読むのは初。


しかも、表紙買いというか、タイトル買いしてたので
積本を消化しようと手に取るまで
クリスティーの本だと気付いてませんでした(^◇^;)
更に、クリスティが劇作家としても有名だったなんて
知らなかったです(゚O゚;


これ、小説ではなくて戯曲です。
だから初戯曲でもあります。
台本を読んでるみたいだと思ったんだけど
それも最初の内だけで、すぐに舞台世界に引き込まれました。


古代エジプト第十八王朝のアメンヘテプ四世
アクエンアテンという名の方がわかりやすいかも。
ツタンカーメンの父と言えばもっとわかりやすいかな?


アメンヘテプ四世は、アメン神の信仰を放棄しただけでなく
他の神々の信仰も禁止し、アテン神を唯一の神とする宗教改革をし
名前もアクエンアテンとした。
更にテーベの都を捨て、アケトアテンという都を築いた。
王が宗教と芸術に熱狂し愛と平和を語っている間に

外交はガタガタ、内政はボロボロになり、都を築いて

10年足らずで歴史から消える。


その後、アメン神が復活し、王の棺からは

名前も顔も削り取られた。
というのが伝わっている大まかな話ではある。


本書では、アメンヘテプ三世との共同統治から
軍人ホルエムヘブとの出会い、ネフェルティティとの愛
国の衰退、神官たちの悪巧みと画策と王の死、そして
ツタンカーメンが王位につくだろうというところまでを
ドラマチックに描いている。


アメンヘテプ三世が絶大な勢力をもって国を統治してる時は
アクナーテンの詩も美しいと思っていたけれど
王の座についてからも、詩や彫刻にうつつを抜かし
理想を夢見て現実を見ようともしない。
その辺りからイライラしてきます。


民ですら、やけっぱちになっています。

王さまがおれたちを、こんなみじめったらしい

境遇にしたんだからね、平和だの善意だのっていう

響きのいいご託を並べてさ・・・


血を流す事を許さずに、エジプトが治めている小国が
危険に瀕している時にも、愛があれば

平和で美しい世の中になると言葉のみで心理を説いて

軍を動かすこともしなかった。
もしかして、この王はバカか?って思ってしまった(^◇^;)


アメンヘテプ三世の代から仕えた軍人ホルエムヘブは
王に中世を誓いながらも苦悩します。
アクナーテンの美しい妻ネフェルティティだけを妻とし
その胸像を作ったエピソードや、その行く末までも含まれてます。


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この胸像は何度もテレビの画面で見ているけれど
これが発掘されることまで想像している
ネフェルティティのセリフがあるのですよ。
まるで、その場で立ち聞きしていたかのようです。


そして神官たちは裏で色々と画策しているわけで
アクナーテンの死や、ツタンカーメンが王位を継承するまでの
青写真まで用意しているという狸っぷり。
(本書ではツタンカーテンとなっています。
 アメン神を信仰するかアテン神を信仰するかで名が変わる)


アクエンアテンの死の真相やツタンカーメンの死の真相は
諸説ありますが、アクエンアテンについては
クリスティーの説を信じたくなります。
ツタンカーメンについては、大腿骨の骨折と
マラリアの合併症によるものとなっているけど
直接の死因は病死であるにせよ、原因を作ったのは
神官たちではないかと思っているわけで
それも本書を読んでますます強くなりました。


軍人ホルエムヘブに関しては、良い印象を持ってなかったんだけど、
本書を読む限りでは最後まで苦悩する姿を描いている。
更に、一般的に言われている王の死の真相も
別の解釈をしている。
mokko的にはもの凄く複雑な心境なんですよ。
それくらい、見事な出来なんです。
これは本当に感動ものです。


そして解説を書いているのが、日本では誰もが知っている
エジプト考古学者:吉村作治さん。
クリスティーがあの時代を、ほぼ自分と同じように
感じ取っていることに嬉しさを覚えると書かれていた。


いやぁ~面白かった!
もの凄く面白かった!
まだドキドキしてるわよぉ~
古代エジプトにトップリと浸っていたわぁ~
どうしよう・・・他の作品も読むべきよね?(^◇^;)