どきどきフェノメノン/森博嗣 | mokkoの現実逃避ブログ

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どきどきフェノメノン A phenomenon among students (角川文庫)/森 博嗣
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窪居佳那・二十四歳、
大学院のドクタコースに在籍して研究に没頭中。
趣味は起き抜けのシャンプーと「どきどき」の探求。
悩みは飲酒時の記憶喪失とよくわからない自分の気持ち。
後輩の爽やか青年・鷹野と人形オタクの水谷、
ダンディな指導教官の相澤、謎の怪僧武蔵坊。
佳那を一番どきどきさせるのは誰か?―
『すべてがFになる』でミステリィ界の地図を
塗り替えた異才がおくる初のラブコメディ。
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翠香さん のレビューが気になって読んでみた

森博嗣作品は4作目である。
Vシリーズの1巻と、女王の100年シリーズ2作と本作である。
どうも、普通の人が辿るシリーズから外れているらしい。


これは正に妄想爆走純情@ミステリ
主人公は窪居佳那・理系の二十四歳。
ミステリってのは、何か事件が起こるわけではない。
いや・・・起こってはいるけど、殺人ではない。


ミステリなのは窪居佳那。
理系の女ってのは、こうもゴチャゴチャと
頭の中で分析ばかりしてるものなんだろうか?
と思っていたんだけど、終わらない探求と分析。
そこに妄想が加わって更によく暴走する。


栗本薫さんも真っ青な妄想の暴走。
でも、陰鬱じゃないから笑える。


妄想がしばしば暴走するmokkoが面白いと感じるのだよ。
「妄想が趣味」の人が読むと、面白い現象が起きると思う。
窪居佳那の妄想を活字で読みながら、妄想できるのである。
妄想の脱線っぷりも笑える。
妄想が言葉遊びになってるから、かなり笑える。

時にオヤジギャグだけど(○ ̄m ̄)


窪居佳那のお父さんも面白い。お父さんは電話の声のみの登場だ。
「恋の病かもしれん」
「鯉の病?」
「知らないのか?」
「知ってる。ニュースで見たよ。沢山死んだんだよね」
「いや、それほどのことはないと思うが」


ヾ(>▽<)oきゃはははっ!
ここで窪居佳那がウブな娘だと思ったら大間違い。
ちょっと危ない事もしている。
どうすればそんな行動を起こせるのか不思議でならない。


そして窪居佳那「どきどき。」する。
鼓動の音である。
窪居佳那は、どきどきが大好きである。
恋であったり、悪戯であったり、緊張やワクワク感で
どきどきするのだ。


活字で書かれると、確かにドキドキする。
紡木たくの「ホットロード」を思い出した。
こちらは、あくまでも恋の切ないトキメキ。
とくん とくん
トキメキブラボー\(o⌒∇⌒o)/


しかし、やはり窪居佳那は変である。
冷静を装いながら妄想する。


カラオケに初めて行った時は・・・
自分の家で歌うと近所迷惑だから、ここに来るのか。
それとも友人どうし迷惑をかけ合って、一体感を育むのだろうか。

ディスプレイに表れる文字を目で追っていた。
どれも例外なくつまらない内容だ。
こうやって歌にしなければならないほど、愛とか恋というものは、
つまらないものなのかもしれない。
本当に楽しいものだったら、歌っている場合ではないだろう。
違うか?


読みながら、ごもっとも!と呟いてしまう。
厄介なのは、飲酒時に一線を越えると記憶喪失になる事。
記憶がスッポリ抜け落ちてしまう。
素直に聞けばいいものを、それが出来ない。
何故なら、彼女が酔っているなんて周りの人間は気付かない。
いつも沈着冷静。そう思われたかったりする(○ ̄m ̄)


だから、一緒にいた人からさりげなく情報を引き出そうとする。
手に入れた小出しの情報を組み合わせて、抜け落ちた記憶を
組み立て直そうする(○ ̄m ̄)
確かに、飲んべたれ的には、記憶の空白は恐ろしいものなのよ!


後輩の爽やか青年・鷹野と人形オタクの水谷、
指導教官の相澤や、やたらと惚れっぽい藤木三保
お父さんの知り合いで、時々ご飯を食べに来る怪僧武蔵坊。
深夜の公園で犬の銅像をなでている謎の男。
これらの登場人物たちと窪居佳那が関わって起こる
小さな出来事が巨大な妄想をかきたて窪居佳那を翻弄する(○ ̄m ̄)


いやぁ~楽しかった。
人の妄想を読むのって楽しい。
考えて見たら、妄想で言葉遊びはしないけど
こういう妄想はしてるはず。
例えば自分に対する言い訳とか、恋を意識しながら
そんなはずはないと否定する時とか、希望的観測とか
色んな場面で色んな事を妄想してるはず。
想像なんて言わせないわ!
窪居佳那ブラボーなのである。


ラストは落ち着くところに落ち着くんだけど
それでいいのか?窪居佳那!と突っ込みたくなったけど

最後まで笑えました。