双頭の悪魔/有栖川有栖 | mokkoの現実逃避ブログ

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双頭の悪魔 (創元推理文庫)/有栖川 有栖
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他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する
木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。
救援に向かった英都大学推理研の一行は、大雨のなか
木更村への潜入を図る。
江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて
交通が途絶。
川の両側に分断された木更村の江神・マリアと夏森村のアリスたち、
双方が殺人事件に巻き込まれ、各々の真相究明が始まる…。

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久しぶりのアリスシリーズ
今まで読んでいたのは「作家アリス(火村)シリーズ」
でも、本作は「学生アリス(江神)シリーズ」の第三弾。


偶然手に取った有栖川作品が「作家アリス」だったので
調べてみたらシリーズが結構ある。
だから「学生アリス」は切り捨てたんですよ。


ところが恵さんが読んだ「新本格もどき」 が面白そうで

原作を読んでいた方が絶対に楽しめると思ったんで、
調べもしないで、いきなり本作に手を出した。


学生アリスに出てくる名探偵・江神に会いたかったのもあって
購入に迷いはなかった。
ただ、本作のヒロインのマリアは、前作で登場したらしく
頻繁に「あの事件」といって前作「孤島のパズル」を仄めかす。
ミスった・・・(;´д`)トホホ


読めないこともないんだけど、キャラの説明やマリアの
家出の理由やアリスとの微妙な関係なんかは
前2作を読んでいたほうがわかり易いし面白いだろう。
あぁ~痛恨のミス!il||li _| ̄|○ il||li


原稿用紙1000枚分と、mokko的にはぶ厚い部類に入る
しかし、あっという間に読めちゃいます。
だって、先が知りたくて知りたくてたまらないんだもの。
ミステリと推理小説の区別もつかないけれど
さすがにこれは、推理小説を読んでる!って思いました。



マリアとアリス視点に分かれて語られます。
前の事件で心に傷を負ったマリアは四国の山奥にある
昔の友人を訪ねるが、仕事の関係で会うことが出来ず
村を巡っているうちに、更に奥の村に入り込んでしまう。
村は芸術家だけを集めて生活し、他人を寄せ付けない木更村。


両親へのマリアからの連絡が途絶え、マリアの父親は

娘が所属していた英都大学の推理小説研究会の
4人(江神部長、望月(通称モチ)、織田(通称信長)、アリス)に
マリア救出を依頼する。


4人はマリアの友人が住む夏森村に宿をとり
徒歩で木更村に行くがマリアとは接触できず
電話すら繋いでもらえず、強行突入を図る。


何とか江神だけはマリアとの接触に成功するものの
その夜、木更村の鍾乳洞で発生した殺人事件に巻き込まれ
更に降り続く豪雨のため、二つの村を繋ぐ唯一の橋が決壊。
マリアと江神、アリス達3人は分断される事になる。
送電線が切れた事により電話も電気も使えない状況で
今度は夏森村で、カメラマンが絞殺される。


お互いの状況を知らないまま、江神とアリス達は
探偵活動を始める。
2/3を過ぎたところでそれぞれが犯人に思い当たり
そして読者への挑戦状が叩き付けられる。
犯人は誰だ?


全然わからん!どっちもわからん!


マリアの言葉を使わせてもらうなら
「乗り物に酔うように、謎に酔ってしまいそうだ」


そして、もう一騒動の後に、また読者への挑戦状。
真相は?


わからん!さっぱりわからん!


夏森村でアレが見つかったのは何でなのぉ~????

降参するから早く真相を教えてくれぇ~(((p(>◇<)q)))


そして江神の謎解きに「そうきたか!」と唸り
真相に驚愕する。


最後に江神は呟く
「神様だの運命だのに操られるだけで 充分なんや、
 人間は」


切ないなぁ~・・・


いやぁ~読み応えありましたぁ~
脳みそがゲッソリ疲れたけど面白かったぁ~
芸術村の住人達のキャラもよく描けているし
事件に香りが絡んで来るってのも面白い。
標準語?と関西弁と土佐弁も入って楽しい。


作家アリスシリーズの火村英夫のモデルが
本作の登場人物の芸術家の1人である
詩人・志度晶(しどあきら)だったとは収穫である。
そして・・・
江神二郎が・・・好き(〃▽〃)ポッ♪


アリスシリーズでは、火村派?それとも江神派?
ってのをよく目にするんだけど、ようやく参加できる。
mokkoは江神派です(*´◇`*)
江神二郎の事がもっと知りたいので前2作を読まなくっちゃ♪
これもハッピーループか?v(〃>∇<〃)v


このシリーズは、本作で一旦止まっていたらしいが
5部作になる予定らしい。mokko的にはラッキーだった。
ちなみに次作の「女王国の城」では2008年に
本格ミステリ大賞を受賞している。
でもまだ文庫落ちしてない。追いつけるわ( ̄▼ ̄)ニヤッ


恵さんが紹介した「新本格もどき」を読むための
準備だったはずなのに、とんでもないことになったわぁ~
これだからシリーズものって怖いのよぉ~


本作で、ちょっとだけ建築物が出てきた。
登場人物が語る夢の話に出てくるんだけどね。
それがたまたまテレビで見て知っていたので嬉しかった。


フェルディナン・シュバルの『理想宮』
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