きみにしか聞こえない―CALLING YOU/乙一 | mokkoの現実逃避ブログ

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きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)/乙一
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私にはケイタイがない。友達が、いないから。
でも本当は憧れてる。
いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。
「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、
とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。
美しい音が私の心に流れだした。


それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える
少年からのSOSだった…。(「Calling You」)

誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる
“切なさの達人”乙一。
表題作のほか、『傷-KIZ/KIDS-』『華歌』を収録。
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『きみにしか聞こえない―CALLING YOU 』


携帯を持っていなくて、クラスの人とも馴染めない。
だから自分だけの携帯を想像した。
色や形、質感まで想像した。
着信音は映画『BAGDAD CAFE』のテーマ曲『Calling you』


ある日、自分の頭の中の携帯が鳴っている。
おそるおそる実在しない携帯を手に取る。
「もしもし・・・」
「あ!・・・本当につながった」
彼は感嘆するようにつぶやいた。そして・・・


迂闊にも泣いてしまった。(━┳━ _ ━┳━)


『傷-KIZ/KIDS-』


問題のある生徒が集められている特殊学級。
暴力事件を起こしたことから特殊学級に入れられたオレ。
4月に特殊学級にやってきたアサトは誰とも口をきかない。
そして他人の傷を自分に移動させる能力を持っていた。
「傷の深さも痛みも二人で半分こ」


純粋すぎます!ギューって抱きしめてあげたい。


『華歌』


駆け落ちした先で悲惨な列車事故に巻き込まれた私。
病院という巨大な棺に入院して1週間。
列車内の地獄が目蓋に焼き付き、精神状態は酷かった。
ある日、病院裏の森に足を踏み入れた私は
巨木の根元で奇妙な植物を見つける。
それはハミングする花(蕾)であった。
その花にまつわる切ないエピソードと結末。


やられた!最後の最後に騙されたぁ~


乙一氏の作品には気持ちをグチャグチャに乱される。
本作も3つの短編集で、内容は全然違う。
なのに孤独とか疎外感、怒り、やるせなさ、痛み、無力感
絶望、闇、諦め、期待、不安、希望といった色んな感情が
分刻みで顔を出してくれるからたまらない。


心臓の弱い人は読まないほうがいいのかもしれない。
発作を起こしそうだわ。
血管の弱い人はプッツンするかもしれない。
mokkoみたいに喜怒哀楽の激しい奴は、本当に辛い。


そうやって散々振り回しておいて、
めちゃめちゃ切ない思いを味あわせて
最後にふんわりと優しいベールで包んでしまう。
卑怯ではないかぁ~(((p(>◇<)q)))


熱せられたフライパンに濡れ布巾を被せても
簡単に熱は収まらないのよぉ~ヽ(///>_<;////)ノ


すさまじい現実逃避をさせてもらったわ。
いくら妄想が日常化してるとはいえ
こんな世界を誰が創造する?


しかもこの作品達が、大学の研究室に所属していた時期に
研究をサボりつつ書いてたっていうんだから
どんだけぇ~(死語?)(((p(>◇<)q)))


ハァε-(・´д`・,,)≡(A-´д-)ツヵレタ


最初の2作品は映画化されてるそうです。


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