- ダリの繭 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)/有栖川 有栖
¥700 Amazon.co.jp
幻想を愛し、奇行で知られたシュール、リアリズムの巨人―
サルバドール・ダリ。
宝飾デザインも手掛けた、この天才の心酔者で知られる
宝石チェーン社長が神戸の別邸で殺された。
現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見された
その死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。
そして他にも多くの不可解な点が…。
事件解決に立ち上った推理作家・有栖川有栖と
犯罪社会学者・火村英生が難解なダイイングメッセージに挑む。
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作家アリスシリーズ第2弾です。
順番に読む予定はなかったものの
このタイトルとカバーイラストに惹かれて
つい手に取ってしまいました(^◇^;)
心斎橋のフランス料理店で火村の33回目の誕生日と
アリスの最新作を祝して乾杯する仲良しコンビ。
そこにサルバドール・ダリの心酔者として有名な
ダリ髭の宝石チェーン社長が女性と食事に来ていた。
最近、警察からお声が掛からないとボヤく?火村に
1週間もしない内にお呼びが掛かった事件は
ダリ氏を巡る不可解な殺人事件だった。
しかも事件関係者にはアリスの昔の同僚が含まれていた。
火村が現場検証に立ち会った感想は
「ちぐはぐ」であった。
証拠隠滅や小細工した痕跡はあるのに
それが意味不明なのである。
関係者に事情を聞いて考えられる殺害理由は
遺産相続(異母兄弟がいた)絡みなのか?
秘書の女性の取り合いによるものか?
ワンマン社長に対する怨恨か?
推理は苦手なのに、かなり振り回されました。
お前が怪しい!アリバイが無いではないか!
何でそんな物をお前が持っている?
犯人はお前なのか?
証拠が出たぞ!
ってことは、犯人はお前か?
諮問が出たぞ!
何?お前だったのか?
目撃証言が出たぞ!
( ̄O ̄;) ウォッ お前なのか??
ってな具合で、容疑者が次々と出てくるもんだから
犯人探しの方は二転三転する。
探偵・火村とワトソン・アリスも散々振り回される。
でもキャラ設定がしっかりしてるから、わかり易い。
サルバドール・ダリやダリ夫人の話から
宝石の話から、それぞれの繭についてなど
推理の合間の話も実に興味深い。
読後に感じたのは、よく作りこまれてるなぁ~ってこと。
隙がないっていうの?
プロローグからして見事にやられました(^◇^;)
火村とアリスの会話のやりとりも楽しい。
火村の意外な一面や、アリスの過去の傷もわかったし
後は、アリスでも聞けない火村の過去が知りたいなぁ~
それにしても忙しい話だったわ。楽しめたけど( ´艸`)
大阪ミナミというのは時々耳にする場所だけど
その表現の仕方が面白い。
新宿にも香港にも負けない世界中で一番ケバイ夜。
やくざの輝きさえ褪せる街って・・・
そんなにすごいのか?
警察用語で怨恨のことをハスって言うのねぇ~
ハス=蓮=蓮根=怨恨
(。・o・。) ホー