夜市/恒川光太郎 | mokkoの現実逃避ブログ

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いやぁ~本読んでました(^◇^;)
自宅では本を読まないmokkoが読むという事は
久しぶりにお気に入りの作家を発見してしまったのよ♪

夜市 (角川ホラー文庫)
¥540 Amazon.co.jp

何でも売っている不思議な市場「夜市」。
幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに
「野球選手の才能」を手に入れた。
野球部のエースとして成長した裕司だったが、
常に罪悪感にさいなまれていた??。

第12回日本ホラー小説大賞受賞作
デビュー作にして第134回直木賞の候補作

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ホラー大賞っていうからホラーかと思ったけど
これはファンタジーと言ってもいいのかも・・・


現実世界に時々沸いて出る不思議な空間「夜市」
決まった場所にあるわけではなく、誰しもが行けるわけでもない。
そこでは妖たちが色んな店を出している。


神社の境内。祭り。木々の奥に見える提灯の灯り・・・
好奇心に駆られた幼い祐司は弟と一緒に
「夜市」に紛れ込んでしまった。


そこには何でもあるけれど、子供の小遣いで買えるものはない。
そして、夜市には決められたルールがあって
一度入り込んでしまったら、買い物をしない限り
元の世界に戻る事はできない。
恐怖を感じるとしたら、この事に気づいた時かもしれない。


祐司は弟と引き換えに野球の才能を買った。
野球のエースとして活躍していた祐司だったが
罪悪感と虚無感から逃れる事はできず、弟を買い戻す決心をする。
夜市に一度でも足を踏み入れた事がある者は
夜市が来る事を知る事が出来るからだ。


高校時代の同級生を伴って夜市に再び足を踏み入れた祐司は
幼い頃、弟を売った店を探すのだが・・・


こういう設定だと、ある程度の結末を予想できる。
だけど、これはまるで想像が出来なかった。
結末はあまりにも切なくて、後を引きます。
良い意味で裏切られたい人にはお勧めです。
この結末を予想できた人って、いないと思うんだけど・・・


余計な装飾をせずに淡々と語られているのに
情景や心の動きがリアルに伝わって来るんです。
これがデビュー作っていうんだから、恐ろしいです!
別の作品も是非読んでみたいです。



もう1編。「風の古道」も収録されています。
これがまたいいんだ!


やはり異世界ものです。
幼い頃に父親と桜並木の下を散歩していた時、
ふいに足を踏み入れてしまった奇妙な世界。


何とか元の世界に戻る事ができた少年は、
同級生と再びその世界に足を踏み入れる。


どこまでも続く未舗装の道。住宅街やビル街や森や山・・・
現実世界と隣接しながら、どこにでも繋がる古道。
そして古道で生まれた人間レンとの旅。古道のルール。


ここでも余計な装飾をしていないのに
その情景がクッキリと見えるようで素晴らしい。
mokko的には、こっちの方が好みです。


あぁ~楽しい時間を過ごしました♪