初めての作家さんだけど、気に入りました♪
死者の書 (創元推理文庫)

有名な映画スターだった父を持つ主人公トーマス・アビイは
無気味な仮面を愛好する一方、謎の多い作家
マーシャル・フランスの熱狂的ファンでもあった。
同じくフランスのファンである女性と知り合い
フランスの伝記を書くべく、彼が住んでいたゲイレンの町に向かう。
町に着いた早々にフランスの娘マリアと会ってしまう。
いわくつきの娘と聞いていたのだが、事態は思いがけず好転。
伝記を書き始めることになったのだったが、
村人の態度に疑問を持ち始める。
そしてある日、トーマスはとんでもないものを見てしまう。
説明を求めるべくマリアを訪ねたトーマスは
ゲイレンの町で起こっている事実を聞いて愕然とする。
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色んな場面でトーマスの妄想?想像?の描写があるんだけど
この描写が曲者で、何かに例えての説明が多い。
小説の主人公だったり、漫画の登場人物だったり
映画の景色や登場人物だったりと、例えられる作品の
ほんの一部しかわからなかったので、ちょっと損した気分です。
何より驚いたのが、フランスの残した作品の描写が詳しくて
てっきり実在の作家だと思ってましたが、騙されました。
架空の作家だったんですねぇ~
物語はゆっくりと進みますが、1/3くらいから
加速して一気に走り出します。
トーマスが感じた疑問。真実を知った時の驚きと動揺。
ホラーというよりは、ダークファンタジー?
あまりダークだとは思わなかったから幻想小説かな?
物語に起承転結があるとすれば、エピローグは
何にあたるんだろう・・・
この小説からエピローグを取り除いても
十分にダークファンタジーとして通用すると思う。
でも、エピローグでやられました。
最後の何行かで、やられました。
そこでダークを取り消しました。
これがデビュー作だなんて信じられないです。
別の本も是非読みたいと思いました♪
おっと・・・
何が気に入ったって、文庫の帯の紹介文が
恩田陸さんだったことですよ♪
「静かに沁みてくる不気味な美しさ。出口のない
キャロルワールドはここから始まる」