乾燥肌をやっつけろ!!(化粧水VSクリーム) | 化粧品開発者のひとりごと

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たまにお客さまからこんなことを聞かれます。

いくつもスキンケア使うのが、面倒で・・・
どっちか一つ使うなら、化粧水と保湿ゲルどっちがいいですか?

・・・と。

ではでは、その答えを。

ここまでの話しでは、「保湿」=「水分を閉じ込める」
という前提で進めてきちゃいましたけど、
本来、「保湿剤」には2つの種類があります。

①水分を抱きかかえる保湿剤。(これをヒューメクタントと言います。)
②水分の蒸発を抑える保湿剤。(これをエモリエントと言います。)

保湿の意味をきちんと理解されていないことが多いのですが、
保湿の目的というのは、角質層の水分をキープすることです。
そうすることでトラブルを起こしにくい肌を維持するということです。

角質層のしくみの復習ですが、
http://ameblo.jp/moderatescene/entry-11311925540
角質層はスポンジのように水分を抱きかかえる角質細胞の周りを、
その水分が外に流れ出ないように細胞間脂質が覆っているという話をしました。

この状態をキープすることが正しい保湿で、
水分の蒸発を抑えたとしても、
角質細胞が水分を抱きかかえていなければ、
正しく保湿されているとは言えません。

なので一般的には化粧水で、
水分を抱きかかえる保湿剤と水分を与えて、
次にクリームなどで水分の蒸発を抑える、
という2ステップになります。

ちなみに一般的には
水分を抱きかかえる保湿剤として、
グリセリン、尿素、ソルビトール、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの水溶性成分が使われ、
蒸発を抑えるものとして、
セラミド、ワセリン、スクワランなどの油性成分が使われます。

ヒアルロン酸やコラーゲンなども、
たくさんの水分を抱えられるためヒューメクタント成分として使われますが、
分子が大きくて、現実的には角質細胞の中に到達するのは難しく、
肌の表面に被膜を作って保湿すると考える方が妥当です。
ですがうまく使えば、
逆にその被膜によって水分の蒸発を抑えるエモリエント成分にもなりえます。
僕はこういった特徴を活かして、
オイルフリーでありながら、
水分を閉じ込めることを研究テーマの一つにしています。

ちょっと脱線しちゃいましたけど、
ということで、化粧水だけ、クリーム(保湿ゲル)だけ、
どちらも正解ではありません。

ただ、化粧水だけを使った場合、
その化粧水が蒸発するときに、
肌にもともとあった水分も失われていしまいます。
濡れた新聞紙を放置するとパリパリになってしまうのと同じです。

クリーム(保湿ゲル)だけは、特に問題はないけど、
化粧水だけは絶対にダメ!!

そう考えると、「化粧水VSクリーム」は、
クリームの勝ちかもしれませんね。。

「じゃあ、オールインワンは??」
すみません。僕はノーコメントです。
皆さん、ぜひメーカーさんにこの話をぶつけてみてください。
そんで、その回答を聞かせてください。