みなさま、こんにちは。
彫刻工房くさか 日下育子です。
今日は素敵なアーティストを紹介させて頂きます。
岩手県盛岡市在住で、おもにヨーロッパで発表活動をされている
彫刻家 田村茂直さんです。
田村茂直さん
前回、 第1回目 ~「文明」というテーマで「壁」の作品を作る
に続き、今日は素材についてお伺いしました。
お楽しみ頂けましたら、とっても嬉しいです。
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2 素材について
素材 レジン
破壊する沈黙
素材 レジン
衰えた愛 恨み 情熱
素材 レジン
素材 レジン
素材 レジン
日下
田村さんのホームページで
「文明」をテーマにした「壁」の作品と
「あまりにも深いところにある思い」というテーマの
作品群は、両方ともコンクリートで作っていらっしゃいますね。
田村茂直さん
僕は彫刻家とは名乗っていますが
木・石・ブロンズなどの素材にはあまり思い入れが無いんです。
最初「壁」の作品をコンクリートで作ったら、
とても重かったんです。
それでレストランに設置する仕事で、壁に取り付けられなくて
RESINで制作するようになりました。
日下
そうなんですか~。
壁のシリーズはコンクリートを素材にして
制作されていますが、どんな風に作られるのか、
興味があります。
キャスティング(型取り)か、カービング(彫ること)かなど
どのようにして制作していらっしゃるのでしょうか。
田村茂直さん
最初は粘土で作っています。
学生の時に最初にやるような、
塑造、石膏どりの作業と同じです。
ですからわりと古臭い作業で作ったんです。
素材 陶
日下
そうですか。
そのあとの、「我々は海から来た」のシリーズでは
網目状の作品を制作されていますが、
そちらは素材、彫刻の作り方(キャスティングか、カービングか)など
はどのようにして制作していらっしゃるのでしょうか。
田村茂直さん
あれは陶器ですね。
手で持つことは無いでしょうけど
持ったときの質感が良いんです。
日下
そうなんですか(驚き)
すごいですね!!
素焼きに着色されるのでしょうか?
それとも本焼までする陶器ということでしょうか?
色はどうやって出していらっしゃるのでしょうか?
田村茂直さん
本焼きまでちゃんとやって制作します。
色は釉薬の色です。
しかし思った通りにいかないので
今後は今まで通りレジンで制作しようと思っています。。
2011年の7月に銀座で※二人展をしたのですが、
陶器で作っていたものが震災で転がって壊れてしまったんです。
※ - A ROOM IN THE DEEP SEA -
田村茂直 / 岩野仁美 二人展
日下
ああ~、それはとっても惜しいですね。
田村茂直さん
はい。陶器で作るのはとても苦労しました。
僕の制作は、作品によって作り方が違うんです。
鉄を芯に使うと中で溶けて壊れるんです。
融点が違うので駄目だったですね。
我々は海から来た連作より 3
素材 陶
日下
焼成の時に鉄が先に溶けるということでしょうか?
田村茂直さん
鉄が溶けて吹いて来るというか、
鉄の塊が溶岩みたいに中から出てるんです。
「我々は海から来た 」のシリーズの一部の作品は陶器で
青い釉薬をかけていますが
この作品では、なかなか最後まで作れないんです。
途中で壊れてしまったり、手間がかかり過ぎて作りきれないんです。
日下
ホームページの※2006年ミラノの展覧会
の作品
女性が手で持っている作品、
これはとっても小さいですが これも陶器でしょうか。
田村茂直さん
これはレジンですね。
小さいものは陶器で作りたいと思ってはいますが。
陶器とレジンでは全然作り方が違います。
作り始めの心棒とか、作っている作業が全部違います。
作りたいかたちのイメージスケッチがあるんですが
やってみて上手くいかないと、いろいろ芯を変えたりします。
レジンは塗装が付き難いですし。
日下
そうですか~。(感心)
芯を用いて作られているかたちなんですね。
田村茂直さん
このシリーズを作っているなかでも、
作品サイズの大中小によって作り方が全然違います。
日下
それはとっても興味深いです。
そうなってくると、田村さんの作品というのは
本当に真似の出来ないお仕事ですね。
田村茂直さん
出来るんじゃないでしょうか。
僕はいろんな作家との交流が無いから
どうやって制作するかとか話すことも無いんです。
全く一人ですから。
日下
私も一人で制作してはいますが、
田村茂直さんの制作はとっても独自性が
強いと思います。
貴重な制作談をありがとうございました。
素材 レジン
素材 レジン
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今回、彫刻家の田村茂直さんに初めてお話を伺いました。
田村茂直さんのご登場の経緯は、
2012年10、11月ご登場の斎正弘さんが
社団法人 宮城県芸術協会 彫刻部主任で、
宮城県美術館創作室ご勤務でもいらっしゃる彫刻家
菅原裕さんをご紹介下さいました。
その菅原裕さんが田村茂直さんをリレー作家としてご紹介下さいました。
初めて、お話をお伺いしましたが、飄々と訥々と、
お話をお聴かせ頂けて、とても有意義な時間でした。
お話を終えて後から気がついたのですが、
私自身も若いころに、田村さんの作品
を拝見していたことが
ありました。
その時は、自分が未熟過ぎて感知できなかったのですが
今は、とても内容豊かな、造形表現としてとっても興味深い
作品を創っていらっしゃると感じます。
皆さまも、田村茂直さんの作品をご覧になって見てはいかがでしょうか。
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◆田村茂直さんのホームページ
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