彫刻家 野島泉里さん 第4回 『言葉を発することが大事』 | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

みなさま、こんにちは。


彫刻工房くさか 日下育子です。



今日は素敵なアーティストを紹介させて頂きます。


長崎県島原市在住の彫刻家 野島泉里さんです。



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

野島泉里さん


お楽しみ頂けましたら、とっても嬉しいです。


* * * * * * * * * * * * * * * *

④ アートとは、表現することとは。

アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

大理石 木  110x55x175cm

2010




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

元初の太陽 
玄武岩 木    135x65x180cm 
2010




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

森の泉
安山岩  300x300x180cm

2001



日下
野島さんにとってアートとは、表現することとはどんなことでしょうか。



野島泉里さん
うーん。いろいろ考えるんですけどね。やっぱり、仕事かな。



日下
あぁ、いいですね。



野島泉里さん
やっぱり仕事にしたいし、日下さんのHPをみて共感するんですよ。



日下
そうですか。ありがとうございます。



野島泉里さん
モニュメントやアートに対する考え方とか、一般の方々に対するアプローチとか、
いろいろすごくこと細かに丁寧にアートの役割や取りいれる効果を
説明していらっしゃるじゃないですか。


それが全く僕と同意見で、HP上とかでちゃんと言葉に出していらっしゃるのが

日下さんだなと思うんですよね。


僕も本当にそう思っていて、モニュメントの仕事を通して、アートが持っている一つの役割、
力を伝えたいと思っているんですよ。



日下
はい、野島さんはしっかりと実績豊富に実践をされていてとても素晴らしいと思います。



野島泉里さん
曲がりなりにもこの方向に来たので、それを仕事にして行きたいなと。


それで出来るだけ広げて、社会の中でアートを通して役に立っていける人間に

なりたいなと思います。



日下
それは素晴らしいですね。



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館
ノースオークランドシニアセンター
Garden of joy
玄武岩 御影石
1998



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館
「Face」
設置場所   パソナ中九州大分支店 
白大理石 ピンク系御影石
600(L) x 300(W)x1390H)

2008


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

「希望の風になる」

設置場所  パソナ中九州大分支店 
白大理石 ピンク系御影石
550(L) x 510(W)x1360(H)
2008



野島泉里さん
日下さんのHPはとても感動しました。



日下
ありがとうございます。そうは言っても、私はまだまだ実績は少ないんです。


以前、インタビューさせて頂いたある作家さんのブログに書いてあったことなのですが、
日本は、学校でアートを勉強する人が最も多い国で、けれども、最も仕事にするのが

大変な国なのだそうです。それを見て本当にドキッとしました。


私は全然力は及ばないのですが、何か言葉でも、かたちでも伝えることに

関わらせて頂けたら、という想いでいます。それで、今こんなことをさせて頂いています。



野島泉里さん
アートで生きて行くということは、アートを取り巻く経済の中で生きて行くことでもあります。
その経済のあり方というのは、世界を見ても特殊なんですよね。


それでまあ、ほんの一部の人しかその構造の中に乗れないというのもあります。

もう一つはもっと狭い、アーティストがアーティストを育てる、専門家が専門家を育てる

という教員の現場、そこには一つの道がありますね。

それで自分自身のアートを捕まえていくという生き方はあると思うんです。


だけどもそれ以外の生き方、アーティストが全く生の社会の中で、何が出来るのかとか。

それとを落とし込んでいくやり方というのは、あんまり確立されていないと思うんです。


そういうことを僕もモニュメントを作りながら考えてきていて、

それがなかなかうまく機能しなかったりもするんですけど。


アートというのはそこをきちんとして、存在意義を確立していく必要があると

思うんですよね。


今日のインタビューで、日下さんはこれからの作家が社会に対して持っている
アプローチの仕方、考え方をお聴きしたいという質問をされました。

そういうアートの社会的な意義、日下さんの問題の投げかけ方というのは、
これからアーティストをめざす人にとって大事だと思います。



日下
ありがとうございます。
そうは言いながらも、私自身、本当はもっと、もっと実践の体感を通して
そういうことを言いたいと思っているんです。



野島泉里さん
日下さんの言われていることは
非常に実戦感覚に基づいているものだと思いますよ。

私も苦労していますが、社会的な枠組みがあまりできていない状態では
そんなにやろうと思っても簡単じゃないですよね。


その直感に動かされた人間が、「ああ、もう難しいから止めよう」とかじゃなくて
続けられる中で、言葉を発することが大事だと思います。


アーティストをやっている人間は社会の中で生きて行くというのはこうじゃないかなとか
彫刻ってこういうことじゃないかとか。


アートというもの、彫刻というものを一般の方にお勧めしていくときに

こういう言葉になるんじゃないかなとか。

それが、現実に生きているアーティストの言葉として出てくるということがすごく大事で、
こういう言葉はあんまり聞かれないんですよ。



日下
そうですか。



野島泉里さん
はい、聞かれないですね。

日下さんのHPでは、彫刻は幾らですとか、こんなところにどうですかとか

書かれているじゃないですか。



日下
ええ。



野島泉里さん
それがアーティストの側からの一つの社会に対する投げかけだし、存在意義や、

存在する場所をそれで作りだしていることになっていると思うんですよ。


直感的なことを、そういう風に言葉で表現しているだけでも素晴らしいことなんですよね。



日下
ああ、ありがとうございます。嬉しいです。



野島泉里さん
そういうことを多くの人に、アートをやる人にも広げられたらいいと思います。


アートをやる人間も、今の特殊なアートの世界の中で、少しギャンブル的な

気持ちになったりとか、アートの世界も少し偏頗なところがありますからね。

勝ち馬に乗るとまでは言いませんが。


もっとアーティスト自身が独立した、自分自身がたった一人でも社会に対して

関係を結んで、アーティストとしての提案をしながら、やっぱり社会の人に恩恵を

与えて行くというか・・・。

それはもう、魚屋さんが魚を売って、晩御飯に美味しい魚が食べられるというのと
同じようになレベルで行くべきだと僕は想っているんですよね。



日下
はい。



野島泉里さん
でもそれは、今の段階では、アーティスト自身が作っていくしかないような気がします。
そんな気がしていますね。



日下
そうですね。
私自身は大したことは出来ないのですが、こうしたインタビューでたくさんの作家の方々の

お話をお聴かせ頂くこと自体が、長く続いたらすごいなと自分でも想います。



野島泉里さん
日下さんは公共作品も残していらっしゃいますし、
お墓なども作られていますね。
私もお墓はやってみたいと思っているのですが・・・。


(このようなインタビューは)ほかに無いですしね。

本当にこういうのは日下さんの素晴らしい、一つ持っていらっしゃるバランス感覚だと

思いますね。


日下
ああ、どうでしょう(笑)そう言って頂けて光栄です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

四小ストーリー
中国産御影石   1450x1200x450cm  
2000


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館
四小ストーリー



日下
野島さんのこれからの活動のご予定をお聴かせいただけますか。



野島泉里さん
来年春に佐賀市内のギャラリー シルクロで、僕と奥さんのマ―サさんと

二人展をやります。
来年1月には長崎の美術館で
グループ展に参加する予定です。


今やりたいと思っているのはオープンスタジオで僕の仕事場でアトリエ開きをやろうと

思っています。

雲仙岳が見えて、いいところですので、肉でも焼きながらやるのもいいなと思っています。
これからいろいろ考えるつもりです。



日下
それは素晴らしいですね。それは、アーティストの側からの力強い発信ですね。


やはり、野島さんは実践されるところが素晴らしいと思います。


今回は貴重なお話をお訊かせ頂いてありがとうございました。



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館
雲仙岳災害記念碑
素 材 : 白御影石
作成年月日 : 2007

* * * * * * * * * * * * * * * *


野島泉里さんとは、今年10月に開催されていた宮城県芸術祭彫刻展で

初めてお目にかかりました。

招待作家として素晴らしい作品を7点ほど展示してくださいました。


野島泉里さんはご出身の長崎県の雲仙普賢岳噴火の慰霊碑モニュメントを

制作された実績をお持ちです。


また昨年はご自身で、モニュメント制作専門のアートスケープという会社を

起業していらっしゃいます。


穏やかでとっても親しみやすい語り口でいらっしゃいますが、アートで社会に

関わっていくということについてとても明確な意志をお持ちでいらっしゃいます。


そしてまた何か体温を感じさせるような、いきいきと温かみのある作品制作を

されていることがとっても素晴らしいと思いました。


皆さんも、各地に設置されている野島泉里さんの作品を

ご覧になってみてはいかがでしょうか。



* * * * * * * * * * * * * * * *


◆野島泉里さんのホームページ
 


◆ ギャラリー シルクロ
  
 ブログ     紹介WEB 




長崎県立美術館










人気ブログランキングへ
ポチっとおしてね!



にほんブログ村 美術ブログへ

にほんブログ村
ポチッとおしてね!