画家 高松和樹さん | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」



みなさん、おはようございます。

毎週木曜日、「みんなの学び場美術館」担当の
「彫刻工房くさか」日下育子です。



本日は素敵な作家をご紹介いたします。


画家の高松和樹さんです。


前回の広野じんさんからのリレーでご登場頂きます。

http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11150210628.html


高松和樹さんの作品のテーマ、作品制作の思いについてインタビュ―をもとにご紹介させて頂きます。


お楽しみ頂けましたら、とても嬉しいです。 


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アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『 何ヲ求メテ良イノカスラ解ラズニ・・・ 』
2008・1620 × 1940mm
ターポリン・アクリル絵具・アクリルガッシュ・ピグメント(チタニュウム)




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『攻撃コソ最大ノ防護ナリケリ-ポイズン』

2009・803 × 652mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム





アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『 慎ましく密やかなる抵抗 』

2009・1620 × 1940mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館


『他人』

2010・5100 × 2000mm
ターポリン・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)アルミパイプ




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『独り』

2010・1620 × mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『いつか現れるかもしれない敵の為に、』

2011・1620 × 1620mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム





アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『今日も何かを想い、そして行動に移せぬままふわふわと、』

2011・1940 × 1620mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム


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日下
高松さんの制作テーマについてお聴かせいただけますか。


高松和樹さん
「作品テーマは『数値による現代っ子の感情の記録』ということをテーマにして制作しています。
 僕自身が『現代っ子』と呼ばれて最初の世代で、僕は今の学生の10代、20代、同年代との接点があるのですが、その世代とのお付き合いとか、インターネット上の掲示板などを見て僕が感じたこと、率直なイメージを作品として記録したいと思ったんです。
 
 みんながみんなとは言いませんが、僕を含めて彼らから感じられるのが、特にもめごとが嫌いだったり、何か事をを起こせば大人たちに嫌な目で見られたり、何かと面倒臭いことになったりとか、そう言った環境で育ってきたというのがあります。


 それで彼らはみんな他者を傷つけたくないし、きらわれたくないという感情が結構強く感じられます。他者との関係を最小限に抑えて、素直な感情を押し殺して道徳的で空気が読めて、周りから望まれるようなキャラクターを演じなければいけないような義務感、出る杭は打たれるということを学んできたところがあったと思うんですよ。 そういった感情を作品にしたいなぁと。
 
 それで線とか色とか質感の表現では、いまいち僕が現代っ子に感じるイメージに当てはまらなかったんです。それを例えば攻撃的な内容だったり 情熱的な内容だったり 卑猥だったり、喜怒哀楽、そういうものを表現してもそれが表に出ないこと、これが大切で、それが表に出ないように表現したいと思ったんです。
 
 そこで思い着いたのがデジタル世代の人間を数値で表現したらいいんじゃないかなと。でも数字だけ描いていってもビジュアル的に絵にはならないので、山岳地図の高さで区切られた、山を輪切りにして立体的な地図をつくる等高線の原理を使って描こうと思いました。その一定感覚で輪切りにされた等高線にグラデーションだけつけていったらいいんじゃないかなと考えました。


普通、立体物だと必ず影って出てくるのですが、光や影を無くしてしまって、手前か奥かだけのグラデーションそ数値として考えて、今の表現にしました。」


日下
「そうですか。確か高松さんの制作手法について、2007年にお話をお伺いしたときには、パソコンで、写真みたいなものを明暗で等高線状に加工したものを参考にして油彩で描くとお聴きしたかと思います。」


高松和樹さん
「今は制作方法を変えました。今は3DCGを使います。これは、アバターという映画のキャラクターデザインをしているソフトがあって、粘土をこねる感じで画像を作ることが出来ます。あ、ちょっと待って下さい。画面共有でコチラの画面を見れるようにしますね。」
 
 (※ ここでスカイプでの対話をしながら、画面をシェアしてソフトを見せて下さいました。
    私は、初めて3DCGというソフトを拝見しましたがとても、面白かったです。)


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館



高松和樹さん
「これをペンタブレットというペンで凹凸を作ってやると、粘土細工のように立体を作ることができます。これをモチーフに、これで等高線を作ります。等高線は作ったものを一定間隔で輪切りにしてやります。

その輪切りの線を使って今のグラデーションを作っています。」


日下
「これを使ってCGでわざわざ作って手描きで起すんですか。画面にトレーシングペーパーを当てて上手いこと起すというような感じでしょうか。」


高松和樹さん
「このCGで作ったものを印刷の業者さんに出します。業者さんに出してその印刷を下描きとして制作しています。」


日下
「なるほど、ありがとうございます。送って頂いた作品写真キャプションの素材がタ―ポリンとありますが防水布のことだそうですね。キャンバスとは異なるものなのでしょうか。」


高松和樹さん
「はい、タ―ポリンというのは、よく運動会のテントに使う素材です。白っぽい分厚い生地の素材です。あとは工事現場で垂れ幕とかしてあるあの生地なんですが、あれをキャンバスの代わりに使っています。


それに野外用顔料溶剤があるんですけれども、日本画とか洋画で使う顔料なんですけれども、それを使って印刷を施し、その上からアクリル絵の具で色をつけていくという作業をしています。」


日下
「細かいことを聴いて失礼ですが、業者で印刷をする時は、その生地に下描きが線で印刷されてくるのでしょうか。」


高松和樹さん
「いいえ、普通の家庭用プリンターと同じように印刷されて出てきます。その印刷が、ふつう家庭用プリンターだと染料を使っていますが、その染料がすぐに日焼けしてしまうので野外用顔料で印刷をします。


それだと野外でも3年位持つので、普通の油彩の絵具よりもより耐光性が強いと思われるものを使っています。」


日下
「そしてその上からさらにアクリル絵具を使って描いているということですね。」


高松和樹さん
「はい、CGと絵の具のハイブリットにしたいなというのがあります。」


日下
「ああ、そうなんですか。とてもよく考えられているのですね。すごいです。
 以前、2007年に高松さんとお話させて頂いた時も、現代の人間について感じることや、作品で何をどう訴えかけたいかということはよくお話されていたと思います。
 その頃は油彩で描いていらっしゃいました。今、思うと作風の過渡期だったのですね。」


高松和樹さん
「そうですね。実際には2007年にこういう実験をしていて、2007年の終わりから2008年にかけて、こういう絵を発表するようになったと思います。」


日下
「そうですか、それ以前ですと河北美術展などでも精力的に発表されて、評価されていらっしゃいましたものね。
 それで、そういうコンセプトで今の作風になっていらしたのですね。」


高松和樹さん
「はい、とにかく今の現代っ子の事を表現できる媒体が欲しいなというので、こういう制作を始めました。」


日下
「作品を拝見して、私には現代っ子という言葉は浮かびませんでしたが、現代の気質を表現しているとは感じました。作品の中身を拝見すると、携帯やヘッドフォンがでてきたりして。

 作品の『独り』などは群衆の中で独りヘッドフォンをする人が描かれていて、自分とか他者の意識がとても強い絵だなというのを感じました。

 高松さんの仰る、もめごとを嫌いとか防御するイメージなどとはうらはらに、例えば『攻撃コソ最大ノ防護ナリケリ-ポイズン』とか『いつか現れるかもしれない敵の為に、』とか、かなり攻撃的な言葉が題名になっていますが。」


高松和樹さん
「そういうかなり攻撃的な部分を表現しつつも、実際はそうは見えない絵柄というのを、心の中の感情で、でもかといってそれを表には出さない、実際の行動には移さないというものを考えて描いています。」


日下
「なるほど~。そういう自分と他者の関係を考えて描いていらっしゃる作品なのですね。よく伝わってきます。
 高松和樹さんのホームページのタイトルが『距離感主義』ということですが、自分と他者との距離を考えていらっしゃるのかなと思いましたが。」


高松和樹さん
「人と人との距離でもあるのと同時に、グラデーションで描いている物体の手前か奥かの奥行きの距離、自分の中の心の距離、その三つをかけあわせて『距離感主義』と名前をつけています。
 

それで素材自体も、3DCGとアクリル絵具の筆塗りというアナログの作業、デジタルとアナログを合わせてハイブリッドの技法にしています。このハイブリッドというのが日本の現代っ子を表現するのに最も適しているんじゃないかなという考えです。


 もともと初期の頃はアクリル絵の具とか油彩だけ使って画いていたのですが、このハイブリッド、3DCGとアクリル絵具の合成にした方がより現代っぽい、表現するうえでより現代っ子っぽいかなと考えました。」


日下
「なるほど~。そうですね、面白いですね。
 高松さんの作品を拝見していた時に、何か人との距離感みたいな、殻に閉じこもっているような、私というものを大事にしているというか、傷つかないようにとしているのかなという感じがしました。


『独り』という作品、『何ヲ求メテイルカ分カラズ』『今日も何かを想い、そして行動に移せぬままふわふわと、』などを拝見して、自分に対する問いかけとか、 他者に対するい距離の測り方とか、とても独特なものがあって、でも関係を作りませんと拒否しきっているようには見えないというか・・・。」


高松和樹さん
「はい、どっちつかずのポジションを。そういうものを含めて素材もハイブリッドにしようかなと考えました。」


日下
「高松さんの作品の最大の特徴はグラデーションでもありますが、同時に白と黒だけのモノクロームということにもあると思いますが。」


高松和樹さん
「そこは断面図の距離を数字と見立てて、白と黒のグラデーションを定間隔にしています。数字を具現化するためにグラデーションを用いています。それともう一う意味があって白と黒というと、善と悪というか、それを取り払うようなどっちつかずなあいまいさ、全体の意味合いを含めて白と黒にしています。」


日下
「白と黒の諧調でもあり、善と悪の間の諧調でもあるということでしょうか。」




高松和樹さん

「例えば人種的にいったら白人、黒人でもないとか、宗教でいったら何教でも何教でもないとか。
 善と悪というとちょっと表現が適切ではないかも知れませんが、例えは嬉しいでもなければ、悲しいでもないとかですね。それを表現するのに一番しっくりきたのが白と黒のグラデーションでした。」


日下
「白と黒のグラデーションにいろんな意味を込めていらっしゃるのですね。そしてまた、白と黒というところがクールで洗練された感じですよね。
 今お伺いしていても造形表現のお考えがしっかりと確立されていらして、たくさん考えていらっしゃるのでそれだけ言葉も出てくるのだと思うのです。


 それに反比例してというか、作品の表現は本当に色を排除して、白と黒のグラデーションでと、余計な表現を排除したそぎ落とし具合が作品からとても洗練されて、格好良く感じられて、それがみなさんが高松さんの作品をご覧になりたいという魅力になっているのかなと思いました。」


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アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『お湯を与えて上げてます。』

2011・1620 × 1620mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『絡めとりにやって来ました。』

2011・1620 × 1303mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム


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日下
「ここで高松和樹さんの作品についてもしよろしければ少し作品の読み解きをして頂いてもよろしいでしょうか。
 『お湯をかけてあげています』という作品に興味があるのですが、これはどんなイメージでしょうか。」


高松和樹さん
「これは少女が携帯電話を持っているのですが、現代っ子というのは、単純で他者から言われた事を結構素直に行動に移すところが多いというところがあります。


それで例えば電話の向こうから、死んだ人間の頭骸骨にお湯をかければ復活するよということを言われた場合に、特にまだ自我のしっかりしていない低学年の子供なんかは、素直に言われたままやって
 しまうような、そう言ったものを表現した作品です。


一昔前の子供だったら、そんな訳ないとか嫌だとか、はっきり言えたのが、最近の子供だったら、言われたことを素直に受け取るのが強いかなと思っています。」


日下
「なるほどそうですか。ちなみにお湯をかけると死んだ人間が復活するというような話は、実際にされていることがあるのでしょうか。」


高松和樹さん
「いいえ、そういうことはなくて僕の考えたイメージです。」


日下
「もう一つ『絡めとりにやって来ました。』についてもうかがってみたいのですが。私はこれは、若い女の子の流行で髪の毛をグルグルにカールするのにかけていらっしゃるのかなと思いました。

でも絡めとっているモノが様々というか。」


高松和樹さん
「はい、そうですね、兵器だったり、世の中にとって悪と称されるような物とか、武力と称されるようなものとか、もめごと的なものを排除しているイメージです。自分の住む世界にはそういう物は要らないというイメージです。」


日下
「そうですか~。私から見ると髪の毛をくるくるにしてお洒落することの方が、絡めとっているものについて考える事よりも価値観が大きいというようなイメージにも取れますね。」


高松和樹さん
「はい、そういうこともありますね。一昨年くらい前に流行ったのがスカル系の服だったり、ゴスロリだったり、今は盛りヘアーでいろんなものを頭に着けたりだとか、結構毒々しいものがついていたり、そういったイメージも入っています。


 とにかく、今10代20代と話をしていると、とにかく平和主義であって、例えば絵を描いている子だとかも、自分の絵で世の中を平和にしたいとか、そういうことをよく聴きます。
 結構自分のことより他人のことを意外と考えているなぁと思います。本当にびっくりするぐらい素直というか、純粋で、素直で、打たれ弱い感じがするなと思います。」


日下
「そうですか。私が若い世代にもっているイメージはファッションのイメージなどで突き放すようなところがあるのかと思いきや、とても内面がピュアで、外見のイメージとギャップがあるように感じられることがあるのですがどうでしょうか。」


高松和樹さん
「そうですね。そういうところはあると思います。」


日下
「独特の世代かもしれないですね。」


高松和樹さん
「そうですね。僕は現代っ子とその前の世代の間ぐらいの世代だったので、自分の頃も現代っ子臭がプンプンしている感じでしたが、今自分が接していると今の10代20代の方がもっとすごいことになっているように感じます。」


日下
「そうですか。私は1970年生まれですが、私の世代はいまでも引きこもりをしている人々がとても多い世代なのだそうです。私のちょっとあとぐらいの世代は新人類と呼ばれていたと思いますが。」


高松和樹さん
「あっ、僕がその世代です(笑)。ファミコン世代とも言われました。現代っ子という言葉ができた頃の世代で、ジュリアナ東京に行けなかった世代です。」


日下
「そうですか。高松さんはご自分の体感を持って、ご自分の世代の事を描いていらっしゃるのですね。」


高松和樹さん
「どちらかというと僕の世代よりもさらに若い世代のこととかを中心に、その辺に感じたイメージを。

全員が全員そういうイメージではないと思うのですが、インターネット上に書かれていることだったり、

実際に接している子だったりとか。」
 

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アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

『与えられし物は全てで遊び、そして知恵となる。』

2010・1303 × 1303mm
ターポリン・白亜地・ジクレー版画(野外用顔料溶剤)・アクリル絵具・アクリルガッシュ・メディウム




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

リアス・アーク美術館での個展風景 2010年


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日下
「そうですか~。高松さんの作品をご覧になっている方というのは若い世代の方も多いのでしょうか。
 単刀直入にお伺いしてみますが、作品を求められる方も若い世代の方が多いのでしょうか。」」


高松和樹さん
「作品を見て下さっているのは若い方も多いですね。作品をご購入下さるのはこ高収入の方というのが大半ですが、中には20代前半の方もいらしゃいます。


 アートフェア東京というのがあるのですが、以前そこでは20代で初任給で買って下さった男性の方がいらして、その後もまた去年もご購入頂きました。


 価格的にいったら、初任給の半分とか半分以上の金額だったので、とてもビックリし、嬉しく励まされました。」


日下
「高松和樹さんはギャラリー戸村さんに専属で活動していらっしゃるのですね。」


高松和樹さん
「はい。ギャラリー戸村をホームとして専属しています。

そこをホームとして、アメリカRoq La Rue Galleryさんというところ、これはシアトルのギャラリーですが、

ここと ロスアンジェルスにあるCorey Helford Galleryさん、それからヨーロッパでは来年1年限りの短期契約なのですがイタリアローマのDorothy Circus Galleryさん、複数のギャラリー に関わっていますが、マザーギャラリーが戸村さんで、全部通訳とか、戸村さんに間を取り持ってもらっての展示です。」


日下
「本当に専業作家でいらっしゃいますね。」


高松和樹さん
「はい。今のところ人並みの収入とは言えませんが、何とか皆様の助けで、ありがたく制作、研究、活動費は出ています。」


日下
「これだけのところとお仕事されるようになったら、年間でかなりの作品数を制作されるのでしょう。」


高松和樹さん
「はい、年間で大作、小作品合わせて40~60作位です。」


日下
「年間で40~60作位となると、週に1作品のペースですね。普段からかなりお忙しい感じですよね。」


高松和樹さん
「そのぐらいのペースになります。大学の時の卒業制作展のラストスパートが毎日という感じです。」


日下
「そうですか。素晴らしいですね。
 ところで、高松さんの今後の発表予定や抱負などお聴かせ頂けますか。」


高松和樹さん
「はい、今後いろいろやってみたいなと思うものとして、社会との接点というお話では、このインタビューの紹介者でものある広野じんさん、美術関係者さん、コレクターさん、友人知人とかネットの住民の皆様とか、凄く助けて頂き、命の恩人です。


 多くの知識だったり、金銭的な助けであったり、作品を広げてもらったり、パワーもらったり、そう言ったところから力をもらっているので、自分がもらうだけではなく、これから若い世代、これからアーティスト志望の人とか、そういう人とか少しでもこれから世界とか進出していきやすいような間口を広げられたらいいなという、そういった活動をしていきたいと思っています。」


日下
「素晴らしいですね。私のこのブログの読者の中にも美大生の方とか美術をしている方がたくさんいらしゃるんですね。その方々に向けて、高松さんの体験をシェアして頂けますか。

 それで、若手の作家さん、私もそうでしたが、取り扱い画廊さんについてほしいというのがあると思います。でもそれはなかなか難しい事でもあります。


 高松さんご自身がギャラリー戸村さんに取り扱いしてもらえるようになった経緯や、そこからどうやって海外にいかれたのかなど、お聴かせ頂けますか。」 
 

高松和樹さん
「若い世代でも、東北にも良い作家って大勢いるんです。でも活動の仕方っていうか、その発表の場所を地元でしか展示しないとか。コンクール展のみとか、そうするとどうしても、一部の人にしか人目に触れないという事になってしまいます。もちろんそういった発表も大切だと思います。


 もし画廊さんについてほしいという願望がある人であれば、直接アポを取って作品を持って行くとか、

もしくはその画廊さんが見にくるような環境で発表してみるとか、そんな活動がないとなかなか難しいです。


 僕の知りあいの画廊さん達の話だと、貸し画廊さんとか全ての画廊さんとか含めて日本には一万件近くのの画廊さんが存在するらしいんです。それでそこで毎週毎週のように行われる展示を全部見れるわけもないので、学生だったら卒展見に行くぐらいとか、同業者のところにあまり足を運べないので、他の画廊で展示をやっていてもあまり見には行かないので。
 
 招待状とか送られてきた場合のみ、時間と興味があれば見に行くという感じらしいです。
なので、自分と一緒に仕事をして欲しい画廊さんに直接アポを取って、ポートフォリオとそれだけではわからないので、小さい作品を数点でも担いで、持っていって見てもらうのが一番手っとり早いかなと。


 企業への就職活動と同じで、だだ待っていても、ヘッドハンティングみたいなことは、まず滅多にあることではありません。地方だとそういったラッキーな形でのデビューが多かったため、<良い作品が出来れば必ず認めてもらえる信仰>が主流となっってしまった傾向があると思います。
 存在を知ってもらわない限り、良い作品も悪い作品も無いと思います。


 そして、各画廊さんの好みは千差万別であり、特色があり、たとえどんなに有名な作家であっても、どんなに受賞歴があろうと好みに合わなければ、契約には繋がりません。

 そのギャラリストさんが自信を持って、この作品はアートであり、世に発表し、お客様へ提供出来る作家の作品が重要なのだと思います。 それゆえ、一件の画廊さんに断られても、そんなにガッカリする必要はないと思います。

 
 世界には数えきれないほどのギャラリーがあるので、自分の作品と相性の良いギャラリーを探せばきっと良い出会いがあると思います。
そして、ギャラリストさんの好みも、作家自身の作品も時とともに変わって行くので、どうしてもここのギャラリーで展示がしたい!という所があれば、作品が溜まったら、もちろん再チャレンジも有りだと思います。


 まず、その前に、いったいどういったギャラリーが在り、どんな作家を扱っているのか、ギャラリーとしての活動はどうなのかを調べることは必須です。でも調べ方が解らないという方は、主要ギャラリーが多数集まるアートフェア東京の出展者リンクなどから、とりあえずは探してみると良いかもしれません。
 http://www.artfairtokyo.com/gallery.html
 

 もちろん、全ての主要ギャラリーが集まっている訳では無いので、美術雑誌やインターネット
 一例として、展示レビューサイトex-chamber、http://ex-chamber.seesaa.net/ や jpartmuseum、http://www.jpartmuseum.com/ などの画廊リンクなどなど。
 検索サイト駆使してより多くのギャラリーを調べてみるのも一つの方法として良いと思います。

 
 また好きな作家のHPの活動略歴などから辿ってみるのも在りかと。
 そして、気になるギャラリーを見つけたら展示会などにどんどん足を運んでみて下さい。 
 

 
 それと必須アイテムとして、ホームページ、作品写真入りの名刺、ポートフォリオです。たとえ自分で作れなくても、業者依頼して作ることも可能です。
とにかく自分の存在を知ってもらう為に積極的なアプローチと、アーティストも社会人でるとゆう自覚を持った行動と仕事を!」


日下
「なるほど~。高松さんご自身がそれをされたのですね。」


高松和樹さん
「それをしようと思っていたら、僕は貸し画廊での展示が決まっていたのです。ちょうどアートフェア東京というイベントが4月にあったのですが、そこは企画画廊さんのみで構成され
 ていて、日本の画廊と多少の海外の画廊、だいたい100数十件が集まってきていて。」

日下
「国際フォーラムでのイベントだったでしょうか。」


高松和樹さん
「はいそうです。それでちょうど2週間後くらいだったら画廊さんも仕事が落ち着いて、次の新しい作家を探すんじゃないかなとと思い、その2週間後くらいに貸し画廊で自分の個展を組んで、そこに集まってくる作品のチョイスが好みの画廊さんにDMをいっぱい出したんですけども。


そこで結果、声をかけて頂いてギャラリー戸村さんに出会いました。


 ですが、これは実は本来は駄目な方法で、というのはいろんな企画画廊さん節操なくいっぱい出していまうと、そこに良くないことがでてきますし、例えば今、展示をしている画廊さんにも失礼になってしまいます。


今、思うとそういうことを考えられなく無茶をしてしまったと思っています。

 その他にも、いつも拝見させて頂いているアート系ブログや美術館、出版社、一般企業、学校関係などにも大量に送らせて頂きました。」


日下
「そうでしたか。けれども高松さんは、ご自身にとって一番いい画廊さんと出会えたということでしょうか。」


高松和樹さん
「はい、自分にとって最高のパートナーです!」


日下
「素晴らしいですね。やはり世に出て行くためには、ご自身での種まきが必要だということですよね。」


高松和樹さん
「はい、基本的には他力本願ではありますが、多くの人に方に助けて貰うには、まず自分の存在と何がしたいのかを最低限、知ってもらわない事には始まらないと思うんです。
 

  また、先程お話したインターネットの住人の方々がブログやツイッターに書いて下さったり、そういった助けから広まって海外の方がまたブログに書いて下さったり、そういったつながりでの広がりがすごく大きかったなと思います。


 実際に海外での発表のきっかけは、画廊や美術関係者、コレクター様などの助けはもちろんのこと、インターネットのお陰が大きかったなと思っています。
 とにかく多くの人の目に触れる形を取っていくのがいいんじゃないかと思います。」


日下
「そうですか。はい、ありがとうございます。
 私もインターネットでこういった情報発信をしていますので、何らかの形でお役に立てることができればと思っております。
 さて、高松さんは海外の展覧会の時には行かれるのですか。」


高松和樹さん
「ありがとうございます。全部ではないのですが、はい。昨年アメリカに行く予定だったのですが、ちょうど震災になってしまいかないませんでした。
 
 今のところは韓国や台湾などに行きました。今年こそはアメリカにも行きたいと考えています。」


日下
「素晴らしいですね。高松さんの今後の展覧会など発表予定がありましたら教えていただけますか。」


高松和樹さん
「4月21日から1か月弱の予定で東京のギャラリー戸村さんで個展があります。
 それからグループ展ですが、4月にアメリカ・ロサンゼルスのコリ―ヘルフォードギャラリーさんで展示があります。
 それから、3月30日から4月1日の予定で国際フォーラムで開催されるアートフェア東京2012にギャラリー戸村ブースで出品します。
 
 あとは"TOKYO LOVE SHOW"という表参道ヒルズで開催予定のチャリティー展なんですが、アメリカなど海外の乳がんのイベントで、それが日本で初めて開催されるということです。
 著名外国人作家さん中心に、もしかしたら村上隆さんとかも出品する大掛かりな展示イベントなると思います。
 
 あとは他にもシアトルやら、7月には東京で『究』展というグループ展や、8月には「宮城独立美術展」(せんだいメディアテーク)や9月末からは「宮城県芸術祭」(せんだいメディアテーク)などがあります。」


日下
「本当にたくさんの発表が目白押しですね。
 とっても内容の濃いお話を聴かせて頂いてありがとうございます。
 では、最後に次回のリレー作家をご紹介頂けますでしょうか。」


高松和樹さん
「私からの紹介作家は現代彫刻家の<舩木大輔さん>です。日本、オランダなどでギャラリー、アートフェア、イベント展を中心に活躍している現代アーティストで、僕にとっての最大のライバルであり親友です。どうか宜しくお願い致します。」


日下
「高松さん、今日はお忙しい中、素敵なお話をたくさんお聴かせくださいましてありがとうございました。」


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高松和樹さんには、前回の広野じんさんのリレーでご登場頂きました。

高松和樹さんとは、以前2007年のCAF.N(コンテンポラリーアートフェスティバル、ネビュラ)仙台展という展覧会でご一緒させて頂いたことがあり、それ以来のお話となりました。


高松さんはその頃から精力的な制作・発表をしていらして、その後、本当に大きく飛躍されて、国内のギャラリ―のみならず、海外のギャラリーにも多数展示され、その他本の装丁などにも作品が使われるほどの引く手数多の人気作家となられました。


『数値による現代っ子の感情の記録』を『デジタルとアナログを合わせてハイブリッドの技法』で表現するいう高松さんの言葉通り、とても現代的な感覚の作品を作っていらっしゃると感じました。


皆さんもぜひ高松和樹さんの作品をご覧になってみてはいかがでしょうか。 


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◆ 高松和樹さんのホームページ

  ⇒http://kazukitakamatsu.web.fc2.com/

◆ 高松和樹さんの作品の取り扱いギャラリー  GALLERY TOMURA
  
  ⇒http://www.gallery-tomura.com/artist/Takamatsu,K.html


◆ 高松和樹さんにご連絡をとられたい方は、まずはこちらへどうぞ
 ⇒ kazuki.takamatsu@gmail.com


◆ 高松和樹さんの今後の活動予定です。


『個展』

2012/05中旬~予定 
ギャラリー戸村 /(東京)
http://www.gallery-tomura.com/

〒104-0031 東京都中央区京橋2-8-10 丸茶ビルB1
TEl:03-3564-0064/FAX:03-3564-0065
E-mail:info@gallery-tomura.com


2013/04月予定
Corey Helford gallery/(アメリカ・ロサンゼルス)
http://www.coreyhelfordgallery.com/

8522 WASHINGTON BLVD.CULVER CLTY,CA 90232
301 287 2340 - TEL.
301 287 2479 - FAX
jch@coreyhelfordgallery.com


[ アートフェア・グループ展・イベント ]
2012/03/30~04/01日予定
「アートフェア東京2012」/国際フォーラム/ギャラリー戸村ブース/(東京)
http://www.artfairtokyo.com/


2012/05月末~予定     
「Keep A Breast "TOKYO LOVE SHOW"(乳癌チャリティーイベント)」/表参道ヒルズ(スペース オー)/(東京)
Keep A Breast  http://www.keep-a-breast.org/

表参道ヒルズ(スペース オー)
http://www.omotesandohills.com/event-space/index.html

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目12番10号
東京メトロ銀座線、千代田線、半蔵門線「表参道駅」A2出口より徒歩2分
東京メトロ千代田線、副都心線「明治神宮前〈原宿〉駅」5出口より徒歩3分


2012/06/08日~予定
「Death and The Maiden Group Show」/Hi Fructose誌 企画/Roq La Rue Gallery/(アメリカ・シアトル)
http://roqlarue.com/

2312 2nd Ave.
Seattle, WA 98121
(Between Bell and Blanchard in the Belltown neighborhood)
(206) 374-8977

Hi Fructose誌
http://hifructose.com/index.php


2012/07月上旬予定
「究展(独立展出品者グループ展)」/東京銀座画廊美術館/(東京)

東京都中央区銀座2丁目7?18
03-3564-1644


2012/06/07~11日予定
「ART SHOW BUSAN 2012」/ギャラリー戸村ブース/(韓国・プサン)
http://artshowbusan.com/


2012/08月~予定  
「宮城独立美術展」/せんだいメディアテーク/(宮城)


2012/09月末~予定 
「宮城県芸術祭」/せんだいメディアテーク/(宮城)
http://miyagiart.com/
http://www.smt.jp/


2012/10/17~29日予定
「独立展」/東京都美術館/国立新美術館/(東京)
http://www.dokuritsuten.com/


2012/12/05~09日予定
「ART ASIA MIAMI 2012」/ギャラリー戸村ブース/(アメリカ・マイアミ)
http://www.artasiafair.com/


2013予定
「2人展」/Dorothy Circus Gallery/(イタリア・ローマ)
http://www.dorothycircusgallery.com/

Open Tuesday through Saturday, 11 am to 8 pm
Via dei Pettinari, 76 00186 Roma ? ph: +39 338 9499432
info@dorothycircusgallery.com


◆ 高松和樹さんより3DCGソフトのご案内をいただきました。


下記、ソフトのリンクです。


また、ZBrushの簡易版的な無料ソフトで、スカルプトリスと言う、
ペンタブまたはマウスで、引っ張ったり削ったりしながら粘土のように立体成形をするソフトです。
彫刻作家の方など、ちょちょっとしたエスキースなどに簡単で便利なソフトなので下記にリンクをはらせて頂きます。
もし、ご興味がありましたら触ってみて下さい。

sculptris(ソフト)ダウンロード  http://oakcorp.net/zbrush/sculptris/index.php

          

◆高松和樹さんの経歴については、以下スクロールした画面に掲載させて頂きました。