犬の発情期には、膣の粘膜で充血、浮腫が起きます。

 

ただ、それが過度に起こると、写真で見られるように、外にめくれ出てしまうことがあります。

 

膣粘膜の全周(360°)が突出するのを腟脱、

 

膣の底辺から有茎状に腫脹した粘膜が出てしまうのを、膣の過形成(実際には浮腫、充血)と言います。

 

軽度であれば、仮整復して、発情が終了し、浮腫や充血がなくなるのを待ってから、

 

発情を起こさせないために避妊手術をします。

 

今回のように、整復が難しく、露出した膣粘膜が汚れたり、傷ついたりしまう場合は、

 

飛び出た粘膜を切除する必要があります。(浮腫や充血があるので、それなりに出血します)

 

また、前述した通り、避妊手術も必要となります。(先に行う)

 

 

 

切除する際、尿道の入り口(下の画像、矢印)を巻き込まないよう、注意が必要です。

 

(画像では、まだ挿入されていませんが、手術を行う際は尿道カテーテルを挿入します)

 

この疾患は、フレンチブルドッグなどが好発犬種で、

 

また、家族性と思われるので、腟脱になったことがある犬での繁殖は避けるべきです。

 

(粘膜切除を行う場合、避妊手術も必要となりますので、繁殖を行うことも無いかと思います)

 

その他として、腫瘍の存在や子宮脱との鑑別も必要です。