新しい週の始まりです。



週末に読んだ岡本一郎氏の『グーグルに勝つ広告モデル』は、

『テレビCM崩壊』以来の「マス広告は不要」になっていくという見方

(よく読むと全面的にそうではなかったりするんですが、

 センセーショナルだったこともあり、かなりの人はそう捉えているでしょう)

に対して、マスメディア側からのレスポンスと行った内容。



帯にはこうあります。


今現在、多くのマーケッターの方が、商品の差別化に苦しんでいます。機能面での大きな差異が打ち出しにくく、価格も収斂しているので、情緒的・感覚的な側面で差別化をしないといけない。しかし一方で、情緒的・感覚的な情報を伝達できるメディアはターゲッティングが基本的にできないテレビメディアしかない。多くのマーケッターの方はこのジレンマを封じ込めるために、最大公約数的な商品企画を行ってマス媒体で売る、という方法論に陥ってそこから抜け出せなくなっているわけです。

マスメディアで売ることを前提としたマーケティングはそろそろ困難だ、

という岡本氏の行き着くのは、

マスメディアも「ターゲティングの精度を高めて広告の単価を高めよ」という結論。



書いてある内容は非常にまっとうなことで、2時間もあれば読める本ですが、

一方で、マス広告にターゲティングを持ち込もうとしておきながら、

他方で、ネットはターゲティングやレコメンデーション機能の発達にともなって、

情報との「偶発接触性」が低くなっているのはいささか問題だと言っている辺り、

ちょっと公正な視点ではないような気がしました。


(もちろんここは彼の主要な論点ではないのですが、

 わずか2ページ程度でこの「偶発接触性」が失われることと、

 中東のテロ・オウム事件と結び付けるのは、やはり拙速な気がします)



マスメディア側のこれからとるべき(とりうる)方策を示している点で、

ざっと読むのにはいいかもしれません。

ただ、「テレビCM崩壊」と同じく、

「グーグルに勝つ広告モデル」ってネーミングは客寄せといった感じです。


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( 新井俊悟 trg