滑脳症の代名詞ともいわれている ミラー・ディーカー症候群 についてです。
ゆづきとはまた違うタイプの滑脳症です。
名前の由来は、ミラーさんとディーカーさん
が、発表したことによるみたいですね。
すご~く長いですが、私もガンバッってタイプしますので、興味ある方は
みてみてください (※英語で書いてあるところは省略しています)
本で色づけのあるところは、同じように色づけしています。
ミラー・ディーカー症候群 (医学書・・「奇形疾患を究める」。窪田星 著)
1. 定義・概念
(1)染色体に起因する先天異常で、滑脳症(8の字をていする典型的な
無脳回=1型滑脳症)
特異な顔貌および多臓器の奇形を伴うものをいう。
(2)1型(古典的)滑脳症のひとつ。
2. 頻度;きわめてまれ
3. 原因と遺伝子
(1)孤発例が大多数。
⇒時に家族性の発症(→両親における均衡型転座による同胞発症例)。
(2)両親は血族結婚が多い。
(3)責任遺伝子
a 染色体第17番の短腕(17P 13.3)の微細欠失(50~90%の頻度)。
⇒17P 13.3に局在するLissencephaly gene(LIS1)の欠失が本症候群
の原因。
b 大多数の同胞例は、家族性染色体構造異常による染色体第17番
短腕の欠失。
(4)遺伝形式;常染色体劣性遺伝
4. 性別; 性差はない。
5. 症状・徴候
A 重度の精神・身体発達遅滞
B 筋緊張の低下
C 後弓反張
D 難治性のてんかん⇒けいれんは通常、生後3~6か月の間に現れる
E 哺乳力低下⇒新生児期早期より 出現
F 小頭症
G 特異な顔貌
1. 四角で、広い前額部。
2. 両側の側頭部(こめかみ部)の陥没をともなう前額部の膨隆。
3. 幅広い鼻と上向きの鼻孔
4. 啼泣時の眉間のたてじわ
5 .顎が小さい
6. 内眼角贅皮
7. 耳介の変形や耳介低位。
8. 薄くて、かつ突出した上唇
H 角膜縁の混濁
I 第1歯は、のちに歯肉をつらぬいて現れるようになる。
6. 診断時期
⇒特徴的な顔貌や神経学的所見より、生後6週までに診断可能
7. 脳波
⇒乳児期にヒプスアリスミア(高振幅の徐波、棘波が不規則に出現する高度の
律動異常)をていすることが多い。
8. MRI
⇒滑脳症1型の所見(331ページ)を認める。 すなわち、
(1)脳は8の字型の特徴的な形状を呈する。
(2)T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号をしめす皮質第3層
(細胞気薄層)を認める。
(3)側脳室後角拡大症(296ページ)
9 .孤発性滑脳症との鑑別
(1)孤発性の滑脳症では、顔面の奇形やほかの奇形を有しない。
(2)脳の肉眼的な形態異常は、Miller-Dieker症候群のほうが、孤発性滑脳症
よりも重篤である。
10. 治療; 特別な治療法はなく、対症療法が主。
11. 脳の病理学的所見
(1)肉眼的には大脳は小さい
(2)前頭弁蓋および側頭弁蓋の発達が悪い。
(3)大脳皮質は、組織学的には4層構造をしめす1型の滑脳症(332ページ)
(4)大脳白質は薄い。
(5)シルビウス裂は拡大している。
(6)しばしば、脳梁の低形成や透明中隔腔をともなう。
(7)小脳⇒異常を認めない。
12. 予後
(1)摂食障害や肺炎を繰り返し、生命予後は不良で2歳以前に死亡することが多い。
(2)半数は、生後6か月までに死亡。
13. 合併奇形
(1)心奇形
a 頻度; 20~60%
b 種類; 心室中隔欠損症や動脈管開存症など。
(2)仙骨部の皮膚陥没(70%)
(3)男児では外性器異常(70%)
(4)深い手掌のしわ(40~45%)
(5)四肢奇形:多指症、彎曲指(40~45%)
(6)腎奇形
おつかれさまでした
お医者さん向けの本だから、言葉がムズカシイですね(*_*)
(331ページ)・・とか、記載されてるところは、おいおい時間を見て
ゆっくりブログに載せていこうと思います。
医学書で、滑脳症に関するところは、まだこれからも載せていきたいと思います。