フランス語のことわざ:取らぬ狸の皮算用 | penのフランス語日記

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「虎と小鳥のフランス日記」でフランス語を学習中のpenの日記。独学です。トリュフォーの映画を字幕なしで楽しむのが目標。フランス語とフランス全般の情報を楽しくご紹介。初心者むけの文法、語彙、ディクテなどの学習法、フランス映画、フレンチポップスの話題もあり。

こんにちは。penです。



フランス語のことわざをご紹介するシリーズです。

きょうのことわざは

Il ne faut pas vendre la peau de l'ours
avant qu'on ne l'ait mis à terre.

< 単語の説明 >

il ne faut pas ~すべきではない
if faut 『~すべきである』の否定形

vendre 売る
活用は
je vends
tu vends
il vend
nous vendons
vous vendez
ils vendent
現在分詞 vendant
過去分詞 vendu
一語幹型のRE動詞です(文法編第16回参照)

la peau (動物の)皮;人間なら皮膚 女性名詞、複数形はpeaux

ours 熊 (最後のSを発音する ウルス)
雌熊はourse, 小熊はourson

avant que ~が…する前に

on 一般的な人々

ne いわゆる虚辞のneと呼ばれるもの。最後に説明します。

l'ait の le = その熊

ait < avoir の接続法現在
活用は
que j'aie
que tu aies
qu'il ait
que nous ayons
que vous ayez
qu'ils aient
現在分詞 ayant
過去分詞 eu

mis < mettre の過去分詞
現在形の活用
je mets
tu mets
il met
nous mettons
vous mettez
ils mettent
現在分詞 mettant
RE動詞、ニ語幹子音削り型(複数側がTT)(文法編第16回参照)

mettre à terre 地面に置く

que以下の時制は接続法過去です。
「~してしまう」という完了の意味があるからだと思います。
接続法過去の形はavoirかêtreの接続法現在形+過去分詞
活用は
que j'aie mis
que tu aies mis
qu'il ait mis
que nous ayons mis
que vous ayez mis
qu'ils aient mis

il faut que の形はあとに接続法が来ます。


この文の直訳は

熊を地面に置いてしまう前に熊の皮を売ってはいけない。

虚辞のneは否定の「~ない」という意味はないので、うそのneと呼ばれます。接続法といっしょに出てくることが多いです。

日本語でも

熊を地面に置かないまえに皮を売ってはだめ とNEの意味を訳しても
熊を地面に置く前に皮を売ってはだめ と同じ意味にとれますね。

そんな感じでなんとなく入っているのです。

このことわざは、日本語では『取らぬ狸の皮算用をする』です。まだ確実でないことをあてにして、もうけを計算したり、いろんな計画をたてること。また、そういうことをしてはいけない、という意味です。

バリエーションとしてVendre la peau de l’ours avant de l’avoir tué 死ぬ前の熊の皮を売ること
などもあります。英語でも Don't sell the skin till you have caught the bear. と言います。

このことわざの起源はイソップ物語とのことです。


最後までおつきあいありがとうございました。

メインブログではより詳しく解説しています⇒フランス語のことわざ52~クマを殺す前に皮を売る(捕らぬ狸の皮算用)

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