ニカブとブルカの禁止について | penのフランス語日記

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「虎と小鳥のフランス日記」でフランス語を学習中のpenの日記。独学です。トリュフォーの映画を字幕なしで楽しむのが目標。フランス語とフランス全般の情報を楽しくご紹介。初心者むけの文法、語彙、ディクテなどの学習法、フランス映画、フレンチポップスの話題もあり。

こんにちは。penです。今週はフランスにおけるイスラム教徒の問題に関する子ども新聞の記事を読んでいます。

photo:Istanbul by Struggle for life



元記事 → Mot du jour : niqab | 1jour1actu - Les clés de l'actualité junior 21 janvier 2010

きのうも書きましたが、2010年にフランスでは公共の場所や一般道路、学校などでブルカの着用を禁止する政府法案が通り、2011年の4月からこの法律が施行されています。

この記事はそれより前に書かれたものですが、そのうち禁止される見込みだと述べています。

この記事ではブルカのことを「全身をおおうヴェール voile intégral 」と書いています。というのも、政府法案では、ブルカの禁止ではなく、公共の場所で、顔をすっぽり隠して誰だかわからなくなるような「全身をおおうヴェール」の着用を禁止すると書かれているからです。これは違憲にならないための配慮だと思われます。

フランス政府がブルカを嫌うのは、ブルカの着用が男女平等(parité)である(としたい)フランス社会と相容れないものだという面が強いからだと思います。

フランス国民になるためには、フランス社会にとけこむ態度を多少なりとも見せなければならないのです。移民がある程度フランス語をしゃべる能力がないとフランスの国籍を取れないのと同じです。


以下が、和訳です。


元記事 → Mot du jour : niqab | 1jour1actu - Les clés de l'actualité junior

右派と左派の議員が6ヶ月前からフランスにおける「全身をおおうヴェール」の着用について協議していますが、ひとつの決定を通じて、禁止しようとしています。法律とは違って、ある象徴的な文章です。つまり「道でヴェールを着用している女性にそれを脱げということは押し付けではない」。この決定は、議論を巻き起こすであろう法律へむかう第一歩です。

ニカブはイスラム教徒の女性が顔を隠すのに用いる黒い小さなヴェールです。隙間から目だけが見えるようになっています。これはブルカと呼ばれる長いマントと一緒に着用されます。ブルカは女性の全身をおおいます。ニカブはとても信仰の厚い女性が着用します。しかしイスラム教の指導者のほとんどは、ニカブの着用は信仰における義務ではないと考えています。

反ブルカの法律? 右派と左派の議員により、来週議会でこの決定が実現する可能性があります。先の象徴的な文章はフランスにおけるブルカの着用を禁止する法律への第一歩です。

この文章は「全身をおおうヴェールは人間の自由、平等、友愛というフランスの精神に反するものである」と述べています。議員は全員、「全身をおおうヴェール」の着用は不快で、それは女性をある種の牢獄に閉じ込めるものであるという意見です。

しかし、だからと言って、公共の場所や道路でニカブの着用を禁止する法律が必要でしょうか?右派と同じように左派の間でも「全身をおおうヴェール」の問題は議論の的になっています。

フランスの内務省によると、1900人の女性が「全身をおおうヴェール」かニカブを着用しています。これはごく少人数です。このことは、この法律が無用だとしている人たちの理由のひとつです。また反対意見を持つ人は、この法律はこういう女性たちの権利の向上には役立たないし、この国の法律で保障されている言論の自由を与えるかわりに、彼女たちを家に閉じ込めてしまう恐れがあると主張しています。そして、大部分の人にとって、この法律の存在は、信心深いイスラム教徒と、イスラム急進主義者の区別をさらにまぎらわしいものにさせるかもしれません。

反対に、女性が道でこういうヴェールを着用しないよう義務づける法律が必要だと考えている人もいます。この人達は、実際に禁止するときのさまざまな現実的な方法、たとえば、罰金を課すことや一定の手当の削除などについて言及しています。

現段階ではまだ何も決まっていません。しかし、フランスにはすでに道で禁止されている行動があります。すなわち、裸で歩くことや、覆面をしてデモをしてはいけないということなどです。それは秩序を乱したり、安全をそこなうからです。こういうことが道でヴェールを着用することと関係のあるところは、それが隠すものであるという点だけですが。

最後に問題として知っておくべきことはたぶん以下のことです。つまりこのような女性に、たとえば学校や店といった一定の場所で、そうするように問われたら、顔を見せて自分たちが誰であるのか明らかにするように強制する権利が我々にあるのかということです。

あなたはどう思いますか?



※単語メモ※
s'apprêter まさに~しようとする
par le biais de qc ~という間接的な方法で
par le biais d'accointances politiques 政界の知り合いを通じて
à la différence de qn/qc ~とは違って
dissimuler 隠す
au travers ~を通して、介して
fente 隙間
se porter 着用される
pratiquant, pratiquante信者としての勤めを実践する人
enfermer 閉じ込める
pour autant だからと言って
minisrtère de l'Intérieur 内務省
comportement ふるまい、態度
cagoule 覆面