『劣等生』~ジャック・プレヴェールの詩 | penのフランス語日記

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この記事を加筆修正してメインブログに書きました⇒『劣等生』~ジャック・プレヴェールの詩で学生時代を思い出す

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2012年9月18日執筆


こんにちは。penです。きょうは『劣等生』という詩を読みました。

penのフランス語日記 Ameba出張所-未設定
photo:Dunceby garybirnie.co.uk

以前『その朝の朝食』という詩の記事を書きましたが、その詩同様、これもジャック・プレヴェール Jacques Prévertによるものです。数年前、ラジオ講座「まいにちフランス語」の杉山先生とフェリエ先生の応用編で、フェリエ先生が子どものとき、学校でこの詩を暗唱したと言われてました。


Le cancre

Il dit non avec la tête
Mais il dit oui avec le cœur
Il dit oui à ce qu'il aime
Il dit non au professeur
Il est debout
On le questionne
Et tous les problèmes sont posés
Soudain le fou rire le prend
Et il efface tout
Les chiffres et les mots
Les dates et les noms
Les phrases et les pièges
Et malgré les menaces du maître
Sous les huées des enfants prodiges
Avec des craies de toutes les couleurs
Sur le tableau noir du malheur
Il dessine le visage du bonheur.


ざっと訳してみましたが、フランス語で味わうことをおすすします。

劣等生

彼は頭では「いいえ」と言う
でも心では「はい」と言う
好きなものには「はい」と言う
先生には「いいえ」と言う
立ったまま
質問を受ける
質問が全部終わる
突然大笑いを始める
そして、全部消す
数字も、言葉も
日付も、名前も
文章も、ひっかけ問題も
先生から脅かされても
できのいい子たちのやじの中で
ありったけの色のチョークで
不幸の黒板の上に
幸福の顔かたちを描く。


※単語メモ※
piège 罠;(試験などの)落とし穴、ひっかけ
question(-)piège 引っ掛けの問題
huée (複数形で)やじ、罵声
craie チョーク


プレヴェールは貧しい家の生まれで、小学校しか出ていないそうです。15歳からパリの商店や百貨店で働いていました。


※ロバ(âne)は、馬鹿、間抜け、愚鈍という意味があります(まさかこれで記事を削除されないでしょうね?)昔、フランスの学校では、質問に答えられないと『ロバの耳の帽子』(bonnet d'âne)と呼ばれる紙で作った耳のついた帽子をかぶって、教室のすみに立たされるという罰がありました。同様のことが英語圏にもあり、こちらはdunceの頭文字のDのついた三角帽子(画像参照)をかぶって立たされたようです。


朗読+α



それでは、次回の詩の回でお会いしましょう。





*2012年9月18日追記

朗読一つとzakkayamusicさまに教えてもらった歌を追加します。


"Le cancre" de J. Prévert by silviasegarra



Louis Puthod - Kosma - Le cancre



zakkayamusicさまはお子さまの合唱を記事で紹介されていますね。




この詩集に入っています。
Paroles [French]
アマゾンへ⇒Paroles [French]



★こちらで、同じくプレヴェールの« Le jardin» という詩をご紹介しています。こちらもいいわね。

⇒Le Jardin(ジャック・プレヴェール)という詩を読んでみた