昨晩トロントに戻って記事を書こうと思いつつ、ついお風呂に入ってテレビの録画を見ていてダラけました。
なので超・逆時系列的ですが、今朝の新聞のコラムからちょこっと始めます。
まずはトロントスターのスポーツ欄一面に掲載されたディマンノさんのコラム:
Patrick Chan voices his opinion in quad quarrel:
これを読んでまたパトリックの発言が物議を醸しそうですが、ここは一つ、先日も取り上げた「メディアリテラシー」を応用して皆さん、色々なコラムを読み比べてください。
この記事はおそらくどこかですでに和訳されているものと想定していますが、同じ話題についてとりあえず他に三人の書いた記事を上げておきます。
同じくパトリックをずっとフォローしているトロント・サンのスティーブ・バファリーさん:
Chan is right where he wants to be
カナディアン・プレス通信社のロリー・ユーイングさん
Patrick Chan dismayed by new focus on quad jumps
そして最後にベヴァリー・スミスさん、今回はヤフースポーツに記事が掲載されています:
Amidst his eighth Canadian title, Patrick Chan will lead an influx of home grown talent
パトリック・チャン選手の発言はエキシビションの練習の合間にメディアセンターでジャーナリストたちを集めて開かれた共同インタビューから拾われたものです。
一番最初にあげたロジー・ディマンノさんは長年、パトリックをフォローして来たベテラン記者ですが、フィギュアスケートだけではなく、あらゆるスポーツ、そして時事問題にも取り組む守備範囲の広いコラムニストなんですよね。そしてトロントスター紙のコラムニストの中でもかなり挑発的な記事を書くことで有名です。
うちではトロントスター紙を購読していますが、主人などはディマンノさんのコラムを読んでしばしば頭に血を上らせています。
まあそういう書き手の特性を知った上で読むことが必要だ、ということです。
記事の論調はともかくとして、パトリックの発言の内容はバファリーさんやユーイングさんの記事にもほぼ同じことがレポートされているので間違いないでしょう。
スミスさんの記事では大会の総括の一部としてパトリックの発言が取り上げられています。これを読む限りではパトリックが自分にとって何が重要なのか、どういった心構えで今シーズンに取り組んでいるのか、に関する話の中で、彼の「クワッド論」が展開されている印象を受けます。
囲み取材全体の30分ほどの長さの話の中で、一番、読者の注意を引く話題に焦点を当てて記事を書くのがジャーナリストの腕の見せどころですから、パトリック・チャン選手が最近のクワッド重視の風潮に疑問を投げかけている点ばかりが皆に注目されています。
私は個人的に、彼の言ってることは自分よりも今シーズン、ずっと高いスコアを獲得して試合でもトップを争っている若手の選手たち(要するに羽生選手、フェルナンデス選手、宇野選手など)に対するあてつけ、というよりも、パトリック自身が負け惜しみと言われようが自分の方針を変えずに、自分の出来る範囲でクワッドを取り入れたプログラムを滑って見せる、ということを言いたかったんだろうな、と解釈しました。
昨年の春、トロントのアイスショーで観た時のパトリックは試合の場から退いてほぼ一年が経っていて、ここからまた現役選手のフォームに戻すのは至難の業だろうな、という感想を持ちました。今シーズンが始まってまずはスケートカナダで観た限りでもまだ途上、それが今大会、間近で見たパトリックは体もスリムに研ぎ澄まされてトップを争う選手のオーラが戻っていました。
全ては試合で答えが出る、でしょうから、四大陸やワールドでのパトリックの戦いを見守りたいと思います。