シンクロナイズド・スケーティング世界選手権:やっとまとめ | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...




そうこう言ってる内に国別対抗が始まっちゃう。早くワールドシンクロのレポートをせんと、と焦るばかりでようやく今頃になって記事をアップしています。ちょっと間が抜けましたがよろしくお付き合いください。


大会ボランティアは4月7日のオリエンテーションから始まりました。夜のハミルトン市はとても静かで、車でもスイスイと行けてしまいました。



会場のファーストオンタリオ・センター(かつてはコップス・コロシアムとして知られていました)



メディアセンターのボランティア・リーダーさんによる持ち場の説明があり、ユニフォームとIDカードを受け取ります。


これでスケカナ関係のユニフォーム(ジャケット)は三枚目。今回はグレーと紺色でした。


メディアセンターではスケートカナダ(連盟)のメディア担当者、エマちゃんが出迎えてくれました。過去に二度のボランティアで顔見知りになっていたので、暖かく声をかけてくれます。そしてこの時、「ハビエル・フェルナンデスがね、来てくれるかも知れないの。スペインのチームの応援に、ってリクエストしたんだけど、『いいよ』って言ってくれただけで詳細は分らない」と教えてくれました。

えー、ワクワク、でもまだ言っちゃダメなのね、ウズウズ。

そしてその日は解散。



私は今回、早朝から午後3時頃までのシフトを申し出ていたので(渋滞に巻き込まれないし、駐車場代も安い)、8日は7時45分くらいに会場に到着。


まずはメディアセンターを開けて、パソコンやプリンターを点けて...




まだあまり人がいなかったのを幸いに、会場を歩いて色々、位置確認をします。私はものすごい方向音痴なので、何がどこにあるのか、憶えたころには大会が終わるのです。



ファーストオンタリオ・センターは今まで私が見た中ではとびきり、舞台裏が広いです。ちなみにこのリンクの裏側のことは "BOH" (BACK OF HOUSE) という呼び名になっていて、IDカードにもこの三文字がないと立ち入れないようになっています。






20名ものチームメンバーがウオーミング・アップに使える場所が6つも設置されていました。





記者会見場は、メディアセンター内ではなく、このBOHの一角に設けられていました。


最初の日でとにかく感じたのは


寒い


ということ。これまで詰めていたメディアセンターは何故か暖かかったのでよけいに差があったのかも知れませんが、とにかく震え上がるほどの寒さ。それを他の人たちに言うと

"What do you expect? We're in an arena"
(何言ってんの。ここ、アリーナでしょ?)


というお返事。いやまあ、そらそうだけど。カナダ人ってとかく、寒さに強いことが自慢だからか、こういった愚痴は鼻で笑われます。


初日は練習スケジュールの印刷したものをジャーナリストやカメラマンに配ったり、会場中に色んな張り紙をして、メディアセンターの場所やメディア関係者の席を明確にすることが仕事です。何度、広い会場を地下から二階まで上がったり下がったりしたでしょうか。


エスカレーターはまだ動いていなかったので良い運動になりました。


まあ初日はただただ他のボランティアの人たちと情報交換したり、ローカル新聞の記者の人たちと話をしたり、で終わりました。


さて、二日目。寒さに懲りて準備万端で臨みました。シャツを着て、タートルネックを着て、必殺アイテム


カイロ


なんかめっちゃジェネリックな包装ですが、中身はちゃんと役に立つ品物



これを二つ、身につけます。一つは肩甲骨の間に(朝ご飯の食卓で新聞を読んでいた主人が嫌そうな顔をして付けてくれる)、そしてもう一つは腰のあたりに。これをしておくと、えらい違いなんですわ。会場広しと言えど、こんなもん張っ付けてるのは私しかいなかっただろうなあ。


初日もそうでしたが、二日目も外はどえらい雨でした。最悪の天気でしたが、一日中、中に籠っているのであまり関係ありません。でも色んな国から来た選手たちはさぞカナダの悪天候にうんざりしたでしょう。


メディアセンターを開けたらまた会場を見回ります。今日は二階の観客席の辺りを歩いていると


あら、







羽生さんじゃないですこと?







あーびっくりした。


どうやらスケートの刃のメーカーさんの宣伝看板のようですね。


そしてこの日からCBCのスタッフがドヤドヤとやって来ました。カメラマンやら解説者やら、プロデューサーなどなど、大勢で乗り込んで来ます。その中に皆様もご存知のブレンダ・アーヴィング、そしてPJクオンさんの姿も見えました。忙しそうだったのでその日は会釈だけ。


他にもローカル局のスタッフも、各国の選手のインタビューをしていました。





ローカル新聞のスティーブ・ミルトン記者のリクエストでカナダの2チーム「ネクサス」と「レ・シュプレーム」を練習の後、取材のために呼び止めます。皆、20分ほどの練習ですが、汗だくになり、顔も背中もピンク色に染まっています。優雅に見えますが相当な運動量なのだろうな、と実感。








滑っている時だけではなく、ウオーミングアップも半端じゃありません。何せ、普通のフィギュアの大会と違うのはそれぞれのチームが好き勝手に大音響で音楽を鳴らしていること。これが常識なんだそうで、練習が終わって引き上げる間中もずっとなにがしかのBGMが鳴っていました。そして選手たちもノリノリで掛け声をかけて、去って行く。

ビデオではさほど大きなボリュームじゃないですけど、これがそこかしこで同時進行していると想像してください。






なお裏での選手の撮影は原則として禁止されていたので、ここに掲載しているのはスケートカナダのHPから借りた画像です。



さていよいよ競技がスタート。朝から練習が始まり、選手たちや応援団の気合もだんだん漲ってきます。





メディアセンターの壁には新聞の切り抜きも増えてきました。

よく大会で見かけるベテランのカメラマンたちもこの日に到着。すでにご紹介したデイビッド・カーマイケルさん、フィンランドのエリーナ・パーソネンさん、IFSによく写真が採用されているロビン・りトスさん、そしてスーザン・ラッセルさんたちがいました。



ブライアンと一緒にいる羽生選手の写真を見せてくれるデイビッドさん。
「写真を撮っているのは若い選手たちのためだから」と言って、大量の写真をメモリスティックにコピーして、気前よくチームジャパンの方々にプレゼントしていました。


長いシーズンだったなー、と口々に言い合い、お互いの写真を見せ合ったり、カメラやレンズについての議論をしたりしています。まさに「仕事人」たちの集まりのような雰囲気です。

そんな彼らもシンクロを撮り慣れている訳では必ずしもない。パーソネンさんはフィンランド人で、シンクロの大会にも出かけているようですが、全体の図形を撮るのかアップで表情を撮るのか、悩むところだと皆さん、おっしゃってました。


私もチームジャパンの練習を見学したのですが、確かに写真の写し方によって、全く違った競技にさえ見えますね。(氷上での練習中の写真撮影はOK)




で、その日も午後3時には家に帰ったのですが、なんとその晩のショート・プログラムの時にハビエル選手登場。会えなかったのは残念でしたが、その場にいたボランティアの若い女の子のKちゃんがすっかりハビエルの虜になり、大騒ぎだったそうです。

次の日、会うと、「私はね、もうハビエルと結婚することになってるの。もう、そういう運命なの」と目をハートマークにさせてずっとウキウキしていました。Kちゃんはお父さんが南米出身で、とっても可愛い20代の女の子。自分もスペイン語ができるとのことで、もうこれは宿命なのだと言ってました。良いなあ、若いって。


(そしてこの後、すでに記事にしたようにチームジャパンの関係者の方との出会いがあったのですが、本当に奇遇で、不思議な出来事でした。40年以上の年月を経て、こんな所で再会するとは、未だに信じられません。)



メディアセンターにクオンさんも遊びに来てくれました。




ブレンダさんと共に、日本のスケート・ファンにはいつも感謝している、よろしく、と言ってました。



その後、会場ではジャクソン・スケートのラジさんに会いました。この方は大会と言う大会全てに顔を出しているんじゃないでしょうか。





今日こそは最後まで競技を見ようと、午後1時にフリープログラムが始まるのを待ちました。


25チームが次々と滑り、どんどんと点数が高くなっていくのが分かります。チーム・メキシコの応援にはあのエルビス・ストイコが来ていましたよ。




奥様がメキシコ人スケーターで、チームのアドバイザー的な存在なのだそうです。


チーム・ジャパン、「神宮アイスメッセンジャース・グレース」のフリーは観客席の後ろの方で見せてもらいました。とってもシャープな衣装で、良い動きをしていたように(素人の)私には見えました。

キスクラでスコアを聞いた後、選手たちは全体写真を撮るのが習わしなのだそうです。今回はカナダの連盟がこんな面白いステージを用意していました。




この前で写真を撮ると



こうなります。


さていよいよ最終2グループの滑走です。シンクロの世界では常勝国がフィンランド、スエーデン、そしてカナダなのだそうです。そこにアメリカ、そして最近ではロシアが台頭してきているとのこと。

応援団もフィギュアの大会とはちょっと違った雰囲気です。誰かが「サッカーのワールドカップの観客席をアリーナに置き換えたみたいな感じ」と言ってましたが、まさにそれと似たような大歓声。叫ぶわ、足を鳴らすわ、歌えや踊れの大騒ぎ。





カナダの二番手のチーム、モントリオールの「レ・シュプレーム」は最近、力を付けて来ています。最終グループが始まる前は暫定首位でした。

そこからTEAM RUSSIA 1TEAM CANADA1TEAM FINLAND2TEAM FINLAND1、そして最後に TEAM SWEDEN1が滑りました。ものすごい接戦で、ショートでは1位のCANADA1、2位のFINLAND1、3位のSWEDEN1までがそれぞれほんの1点差。フリーで逆転も十分あり得ます。


最初に滑ったRUSSIA1が高得点を上げ、まずは首位に。


その次に地元の大声援を背負ってCANADA1が滑ります。リンク裏ではスタッフや連盟関係者、ボランティアも息をのんでモニターを食い入るように見ています。





よしよし、良い感じ。難しい技やリフト、クロスも成功。そして最後のポーズが決まると割れんばかりの拍手。




しかし次に滑ったフィンランドのナンバーワン・チームも負けていません。




素晴らしい演技でフリーは一位!!ほんのほんの僅差でショートの貯金が活きて、この時点ではカナダが首位を守りました。


ところが最後に滑ったSWEDEN1、無難に行けば3位、もしかすると順位を上げるかも知れないといったところで転倒がありました。


結果、私たちの目の前で待機していたロシアのチームがショートの4位から総合3位に浮上!!会場ではキスクラで呆然とするスエーデンのチームの後ろで、カーテン一枚を隔てた所で嬌声を上げて喜ぶロシア選手たち。


何という明暗。そして劇的な幕切れ。


そこから表彰式、記者会見、そのあいだじゅう、ロシアの選手たちは飛んだり跳ねたりしていました。実はこれがロシアにとっては初めての世界選手権でのメダルだったそうです。それは嬉しいですよね。




こんな感じで無事に大会が終わりました。初めてのシンクロ体験でしたが、すっかりファンになりました。皆さんもどうか応援してください。



長いレポートを最後まで読んでくださってありがとうございました。