CBC解説:2014年中国杯 羽生結弦FS | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

すでに概要はお知らせしてありましたが、以下に中国杯、羽生結弦選手のフリー演技の聞き取り・翻訳をお届けします。テレビの録画から聞き取ったので操作が煩わしく、ちょっと粗い作業となりました。

あと、いつもはできるキャプチャもないので、分かりにくいかも知れませんがご了承ください。(その内、チャンスがあれば画像を追加します)

ブレンダ(赤)カート(青)、そしてキャロル(紫)です。演技が終わった後の部分ではブライアン(緑)そして羽生選手(薄青)も登場します。



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羽生選手が登場。

He did complete the warmup with a bandage on his head, but come on, this has to affect him,
ウオーミングアップは一応、できたけど、頭に包帯を巻いて...いや、やっぱり、これは影響しないとは言えないでしょう。

He’s a very sensitive skater, very much a feeling skater and a feeling jumper. This will either decimate him or motivate him.
彼はすごく敏感で、とにかく感覚で滑る選手、感覚で跳ぶ選手だからね。はたしてこれ(この逆境)は彼を完全に打ちのめすのか、あるいはモチベーションとなるのか。

But I don’t know how he feels physically, I know that the big bandage holds a smaller bandage so that blood doesn’t trickle down his head. (I) Wish you luck.

まあでも体の方は、彼が今どういう状態なのか僕には分からない。あの大きな包帯は、頭から血が流れて来ないための止血用ガーゼを留めてるんでしょ。さあ、幸運を祈ってるよ。


(演技開始)

The good news is that his jumping style is so pure, that it almost takes half as much energy as eveybody else.
幸い、彼のジャンプ・スタイルはものすごくピュア(洗練されている)だから、他の選手の半分ほどのエネルギーしか要さない

Quad Sal! Just a little slower in the air than usual, just a little less height, and as you saw, a fall.
4S!いつもよりも少し速度が足らない、少し高さも足らないかな。そしてご覧のとおり、転倒。



Looks like he’s prepping for another quad,
もう一回、四回転を跳ぶ準備をしてるみたい

(4Tに挑戦し、着氷後、転倒)

Both jumps, good efforts.
両方とも、良いトライではあった。


Good time to remind everyone that a fall doesn’t mean that you don’t... you still retain up to 75% of the amount of points that a clean quad would get, rewarding the effort

皆さんに思い出してほしいのは、転倒したからと言って…クリーンに成功した4回転で得られる得点の75%はもらえるからね、トライしたということに対して。



I’m sure his coach Brian Orser is not even breathing while Yuzuru skates. He must be so concerned for him because of course your skater’s health is always the most paramount thing in your mind.
コーチのブライアン・オーサーはユヅルが滑っている間、絶対に呼吸もできてないと思う。どれだけ心配してるかしら。選手の健康はいつでも(コーチにとって)最優先事項だから。


And we know Brian wouldn’t let Yuzuru skate if he didn’t think it was safe
ブライアンのことだから、安全だと思ってなかったらユヅルを滑らせていないわよね。


Absolutely not.
それは絶対に間違いないわ。



(後半のトリプル・アクセルからの連続ジャンプを成功させ、その後、二度、続けて転倒するシーンで)

That triple axel combination was INCREDIBLE,  It may have been everything that was left in the tank at that point.... yes
あのトリプル・アクセルのコンビネーションは素晴らしかった。でもあの時点で残っている限りの力を出しちゃったのかも。。。うん、どうもそのようだね。



(最後のスピン)


I think he wanted to skate to try to give himself a chance, to make it to that Grand Prix Final to let the world know that “I’m the Olympic Champion, and I will fight”
思うに、彼はグランプリ・ファイナルに出れるチャンスを残すために滑りたかったんじゃないかな。世の中の皆に「ぼくはオリンピック・チャンピオンだ、(最後まで)戦う」って知らしめるために。



And fought he has, all the way to the end.
そして彼は戦ったわね、最後の最後まで。



(演技終了)


Well you talk about gutting it out.
根性で滑るってこの事かしら。

Yuzuru Hanyu certainly a warrior today, and the crowd is appreciative
ユヅル・ハニュウ、今日の彼はまさに戦士でした。そして観客もそれに応えています。



And Brian Orser can start breathing again.

で、ブライアン・オーサーもやっとまた息が出来るね。


Yes you can take him off life-support at the side.
ボード際でつなげてた生命維持装置を外してもいいかも。


He was second after the short, three points back of first. Can he stay on the podium? The answer is coming up.
(ハニュウは)SPの後、二位で、首位から3点差でした。表彰台に残れるでしょうか?結果はこの後すぐです。


(CM後、ブライアンと演技を終えて戻って来た羽生選手がボード際で会話する)


Hold on, Come on, breathe, you’ve gotta keep breathing, OK? Hang on to the boards, you want to put your guards on?
ほらほら、さ、息をして、しっかり息をし続けないとダメだよ。良い?ボードにつかまって。(スケート)ガードつける?


No
いい



Well that was back at the boards, with Yuzuru Hanyu and his coach Brian Orser. Brian telling him, you know, keep breathing because aside from the collision, Yuzuru also suffers from asthma.
(音声は)ボード際のユヅル・ハニュウとコーチのブライアン・オーサーでした。ブライアンが息をし続けろって言ってたわね。ユヅルは今日の激突事故以外にも喘息持ちってことで。


Yeah, as if that was not a hard enough day already, but that’s something  he’s used to. Skating under the influence of crashing into someone, maybe the contact sport is creeping into figure skating.We see this happen every once in a while. I think he responded quite well, he rotated quite a few jumps even though he took those falls
ほんと、事故だけでも大変だっていうのに。でもそれ(喘息)はまだ慣れてることだから。誰かとぶつかってその後遺症の中で滑るだなんて、ねえ。フィギュアもだんだん、コンタクト・スポーツになってきたのかな。ああいうの(事故)は時たま、目にするけど、彼はなかなか良く対応したと思うよ。転倒はあったけど、ジャンプもけっこうたくさん、しっかり回転が足りてるのがあったし。

Today it wasn’t about the skate, for Han and Yuzu, it was really about getting through it, and we all got through it together.
ハンもユヅも今日はもうスケート云々というよりも、とにかく最後までやり切るっていうことが大事だったね。で、ぼくたちも心を一緒にして最後までやり切った。

(キスクラにて)

We’ll go to the medical OK? And we’ll probably get you to see a doctor. Yeah?
この後、メディカル(医療部)に行くからね、いい?そして医者に診てもらわないとダメだと思う。ね?


(微笑む羽生選手)

We gotta make sure you’re okay.

ちゃんと大丈夫かどうか確かめないと



No he DOES need to see a doctor for sure.
いや、そりゃお医者さんに見てもらわないとダメに決まってるでしょ。

A reminder that the leader at the moment, American Richard Dornbush Yuzuru will need a score of 144 points to take the lead.
現在首位に立っているのはアメリカのリチャード・ドーンブッシュ。ユヅルは首位に立つのに144点が必要です。


”THE SCORE PLEASE”
(アナウンス)

..
..
(ちょっと時間が空く。)


This, this doesn’t matter,  OK? The main thing is that you put on a skate out there. That’s the main thing, what you should be proud of.
これ(スコア)、これは関係ないから、ね?大事なのは君があのリンクに立って、滑ったってこと。それを誇りに思うんだよ。



You keep hearing this doesn’t matter, scores don’t matter, the fact that he skated...

なんかずっと「関係ないよ、スコアは関係ないよ、滑ったこと自体が」って言ってるね。



(スコアが出て、キスクラで驚きながらも喜ぶ二人。)


And now Yuzu’s going “I don’t know, those scores do seem to matter quite a bit”
で、ユヅは「いやーどうかなー、このスコアだと、けっこう関係あるって思うんですけど」って言ってるね


(泣き顔で)
Oh my god...

You got some help
ちょっと助けてもらったかな。



You had some help says Brian.  Maybe being the Olympic Champion comes into play a little bit.

助けてもらったかな、ってブライアンが言ってる。五輪チャンピオンだってことが少しは関係してるかな。



It’s not even that he’s Olympic Champion but just the fact that he DID go back out on the ice.
いや、五輪チャンピオンだからっていうよりも、実際にリンクに戻って来た、ってことだと思うけど。


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以上です。


最初に概要をお伝えした記事で、キスクラでのブライアンと羽生選手の会話についてちょっと誤解があったかも知れないので確認しますと

スコアが出て、それまでブライアンが「今日は点数は関係ないからね」と言っていたことに対して

「いや、このスコアだったらけっこう関係あると思うんですけど」って代弁して言ってるのはカートさんであって、


羽生選手が実際に言ったのではありません。

実際の音声はよく聞こえませんし、単に羽生選手は「ええ?どうしてこのスコア?マジで?」みたいな表情ですよね。カートさん特有のユーモアでした。

なお、私個人としてのツボは、今回の事故で関係者たちまでもが取り乱している中、ブライアンだけがそれをたしなめて、自分は冷静な態度を変えず、羽生選手をじっくり見守っていたこと、

かけている言葉が「大事なのは君の体だから、それが一番なんだから」とシンプル、かつ的確だったこと。

それで二度目の6分間練習中、羽生選手がいつも以上に何度もブライアンの方を見て、手でブライアンとコミュニケーションを取っていたこと。

この時、何回か羽生選手が滑りながら自分の頭を指していましたね?頭は痛くない、大丈夫、と言ってるとも取れますが、私はこの二人が頭を指すのは「ちゃんと考えて」という合図だと以前から思っています。

実際、カナダに来て、羽生選手が最も勉強したのは6分間練習の使い方で、毎回ブライアンから綿密なプランを授けられてウオーミングアップを行っていると聞いています。

だから今回も「ちゃんと分かってる、あと一回ジャンプを確認する」などといった合図を送っているのだと思いました。

そして

キスクラでもとても良い雰囲気で二人で座っていました。

今さら言うまでもないかも知れませんが、羽生選手は今回の様に実際、危機が訪れた時、誰が本当に頼りになるのか、誰が一番的確な指示を与えてくれるのか、を再認識したのではないでしょうか。

今シーズン、これからどうなるのかまだ予測が立ちませんが、ブライアンとよく相談して、身の振り方を決めてほしいと思います。