『どらコーボク』最終回 | きたはら探題

きたはら探題

漫画原作者・北原雅紀オフィシャルブログ

現在、発売中のビッグコミックで、

僕が小路谷純平名義で原作を担当していた

『どらコーボク』(作画:石川サブロウ先生)が、

最終回を迎えました。


連載開始時にこのブログに書いたように、

労働基準監督官を主人公にした作品というのは

8年ほど前、

約9年間勤めた会社を辞めるときに発案したもので、

それを形にできたことは素直に喜ばしかったのですが、

結果的に、ちょっと悔いの残る作品になってしまいました。


ガールズバーなどの未成年者の就労問題も扱いたかったし、

新型うつの問題にも触れてみたかったし

(デリケートな問題なので表現が難しいでしょうが)

まだまだ描いてみたい物語がありました。


東京労働局の皆さんも

好意的に取材に応じてくださり、

そこで聞いた裏話や小ネタにも、

まだまだ書きたいものがありました。


何より心残りなのは、

佐倉太一郎の弟である梅津壮次郎の扱いです(苦笑)

本来、描きたかった兄弟の対立は、ほぼ描けませんでした。

1度だけ、直接に対峙しましたが、

それもかなり中途半端な出来になってしまいました。

本当はあの回ではまだ2人は出会わない可能性もあったのですが、

あの頃に連載終了が決まり、急遽、出会わせたような格好です。

しかも、直接会ったわりには、ずいぶんあっさりとした解決で・・・。

シナリオ上は、実際に出来上がったものより

もう少し二転三転していたのですが・・・。

思わせぶりに登場したわりにあれでは、あまりに梅津が不憫だったので

実は、最終回のシナリオにも梅津の登場シーンを書いたのですが、

ページ数の都合もあって、結局、割愛されてしまいました。

ああ、可愛そうな梅津・・・(涙)


『真夜中のこじか』の連載準備と思い切りかぶってしまい、

連載前に編集さんや漫画家さんと十分な意思疎通が図れなかったのも

短命に終わってしまった原因かもしれません。

佐倉のキャラクターも、当初、想定していたのと少し違ってしまいましたし・・・。


残念ながら『どらコーボク』は終わってしまいましたが、

この経験を次に活かせれば・・・と思います。

同じように労基署を舞台にした作品でもかまいませんし、

次は、梅津サイド・・・つまり社労士を主人公にした作品でもいいかもしれません。

今回は物語のバランス上、社労士を敵役にしてしまいましたが、

当然ながら僕は社労士を悪者だなんて思っていませんので(^^;;


この作品は、僕にとって初めて本名以外で手がけた作品で、

そういう意味でも、他作品にはない思い入れがあります。

「小路谷純平」という名を、今度、使うのはいつの日か・・・。


とにもかくにも、

『どらコーボク』をご愛読くださった皆さん、ありがとうございました。

現在、ビッグコミックオリジナルで連載中の『真夜中のこじか』および

次回作もお楽しみいただければ幸いです。


完結巻となる『どらコーボク』第2集は、9月末の発売予定です。

どうぞよろしくお願いします。

全2巻とお手頃ですので、

第1集をお持ちでない方も、この機会にまとめていかがでしょうか?(笑)


どらコーボク 1 (ビッグ コミックス)/小学館
¥550
Amazon.co.jp

どらコーボク(2) (ビッグ コミックス〔ビッグ〕)/小学館
¥550
Amazon.co.jp