さてここから先,インカにはさまざまな選択があり得る。財政的基盤はもう十分に固まったので,これ以上金山を求めてさまよう必要はない。むしろ,できれば交易と植民地拡大を優先したいところだ。とはいえ最大の課題は,対ポルトガル政策をどう舵取りするか,である。  ポルトガルとアラゴンは,西ヨーロッパ独立国のなかではほぼ最弱といってよい。で,アラゴンはどこにいるかもう分からないのでどうでもよいのだが,ポルトガルは新大陸に割と大きな地歩を持っている。首都を新大陸に移転させているのを見ても,その覚悟のほどが分かる。  とはいえ,やっぱりポルトガルはそんなに強くない。しかも首都を新大陸に移転させてしまったということは,仮にインカとポルトガルが全面戦争を始めた場合,ポルトガルは海という最大最強の障壁を利用できないということだ。時間はかかるかもしれないが,ポルトガルは確実に新大陸の領地を失っていくだろう。インカは技術的にポルトガルの後塵を拝しているとはいえ,北米と南米に分断されたポルトガルでは,いまのインカには勝てまい。  ならば「いまこそ,インカの戦士を駆ってポルトガルを駆逐すべし」……ということになるかというと,これは下策と考える。  ポルトガルは弱く,常にカスティーリャ(もうスペインになっているが)連合軍の圧迫下にある。スペイン?オーストリア?ブルゴーニュがレギュラーメンバーとなったこの同盟は,世界最強の軍事同盟(「幸運」持ちが2国入っているんだから推して知るべし)であり,ポルトガルの政治的/外交的命運はすでに絶たれている。  ということは,ここでインカが喜び勇んでポルトガルを食いに行けば,やがては幸運連合軍もポルトガルにラッシュをかけてくるだろう。そしてそこで待っているのは,インカと連合軍が織り成すホットな国境線である。  確かにインカは南米でブルゴーニュおよびスペインと直接国境を接しており,いままでも小競り合いは数回あった。だが彼らにとってこれらの地域が辺境中の辺境ということもあって,インカは戦勝点を積み上げ,また彼らの植民都市を焼き払い,実俦摔椁蕙ぅ圣工摔胜搿竿搐叻证薄工驅g現してきた。  これが北米大陸の真ん中での遭遇だったらどうなるか? 北米にはイングランドも進出しており,ちょっとダメな子であるイングランドは,そのときそのときにおける最強の同盟に便乗する傾向を示している。インカにとって,そんな戦争はとても耐えられるものではない。  であるからこそ,ポルトガルには生きてもらわねばならない。インカにとって,やる気になれば潰せる程度の力のまま,インカと「ヨーロッパ」の間の緩衝国家になってもらわねば,インカは破綻するだろう。  というわけで,インカは大規模な軍事行動を慎み(といっても,rmt,南米では頻繁にブルゴーニュから宣戦布告されたり,オーストリアから宣戦布告されたりと,非常に忙しいのだが),植民地を拡大しつつ交易規模を拡大していく方策を採った。  最終的にインカの植民地はアメリカ西海岸を越え,ハワイから南洋に渡って,ニュージーランドにまで進出。本当はアフリカ経由でインドおよび柲膝ⅴ弗ⅳ稳说馁Y源を刈り取りたかったのだが,列強によるアフリカ分割がほぼ完了していたこともあって,やむなく太平洋回りでアジアに接近することになったのだ。なにしろ月間300ダカットの税収で運営される大資本国家の割に,兵役人口は3万ちょっと,DQ10 RMT。大戦争をやるとあっという間に疲弊しきってしまう体伽颍胜螭趣工氡匾ⅳ盲俊?br /> また,あり余る資金を利用し,世界各国の市場を解放させることに成功。インカの商人は各地で大活躍し,月あたり100ダカット近い税収を交易のみでもたらすことに成功した。  ブルゴーニュとは,一度だけ南米で本格的な大規模戦争になったが,ブルゴーニュの同盟者にちょっとしたお車代を包んで(お一人様500ダカット程度。500ダカットは,インカにとって税収1年分)みたところ次々に脱落,最終的にはブルゴーニュとも痛み分け(インカの戦勝点が一時的に20%を超えたので領土割譲も狙えたが,相手に宣戦布告の口実を作ってあげるのもバカらしい)で講和に至った。  その後,インカは大量の資金をブルゴーニュに投下。インカによる南米の平和は,あやういものではあったが,保たれ続けた。インカは近代の扉を抜けることに成功したのである。
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