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2015-04-17 12:26:25

敵を愛する方法

テーマ:ブログ

SEKAI NO OWARI のドラゴンナイトという素敵な曲があるのですが(ドラゲナイとも呼ばれてます)

歌詞の内容をざっくり言うと「今夜は、敵も味方もなく一緒に仲良く歌う日――ドラゴンナイトだ」なのですが

その曲のPVを観ていてふと思ったのが


「このドラゴンナイトの日に攻めたら確実に勝てるぞ」


ということなんですね。

そして、このドラゴンナイトという概念を使ってこのブログでも何度か書いてきた「世界ってどうなっているんだろう」ということが分かりやすく説明できるんじゃないかと思いました。





ここに、とある世界が存在します。

その世界では「ドラゴンナイト」という100年に一度開かれる祭りがあります。

どの国も国際条約として「ドラゴンナイト」がはっきりと明記されています。

「今、世界では様々な争いが起きているが、皆、『平和』を手に入れるために戦っている。だからその『平和の日』を1日だけでも作ろうじゃないか!」

僕たちの時代で言うキング牧師の「 I have a dream.」のような伝説的な演説が行われ、その演説は繰り返し放送され、ドラゴンナイトの儀式は世界で定着しています。


と、その世界にある人物が舞い降ります。それはあなたの分身Aです。


あなたは貧乏な家に生まれ、周囲の人から虐げられ、世界の理不尽さを徹底的に味わってきました。

しかし、あなたには強い自尊心があり、いつか世界の王になりたいと思っていました。そのためには命をも捧げる覚悟を持っています。

お金が無かったあなたは満足な教育を受けることもできず、しかし、それでも這い上がろうと、睡眠時間を削り、ありとあらゆる努力をします。

こうして能力を培ったあなたは、時の権力者に認められ、彼の片腕として力を発揮します。

そして、その権力者は娘とあなたを結婚させようとしました。しかし、直前のところで縁談は破談になります。

それは、あなたの生まれが悪いということが権力者に受け入れられなかったからです。

その件であなたは権力者と仲たがいし、あなたは遠くの街に追放されます。

そこであなたは小さな集団を作り始めます。しかし権力者からの妨害に遭い、その集団の力を伸ばしていくことができません。

そして月日が流れます。あなたは「もしかしたら自分は王になれないかもしれない」と嘆きます。そのため人生のすべてを捧げてきたのに、

自分の努力とはまったく関係のない部分で、あなたの夢は阻まれてしまったのです。

そして、あなたはこの世界作った神を恨みます。

「俺はこれほどの努力をしたのにどうして夢はかなわないのだ。どうしてお前はこんな理不尽な世界を作ったのだ!」

しかし、神は何も答えません。

ただ、そのときあなたの耳には、ふとこんな歌が聞こえてきます。


「ドラゲナイ……ドラゲナイ……」


そう――。

来月は100年に一度、すべての国が武器の使用を停止し祭りを開く、ドラゴンナイトが開かれるのです。

そのときあなたの脳裏に、ある閃きが生まれます。

しかし、それを実行することはあなたにとって非常に怖いことです。

あなた自身、「ドラゴンナイト」の儀式は素晴らしいものだと思っていましたし、また世界的に「ドラゴンナイト」信仰は非常に強く、その誓いを破ることは世界中の人を敵に回すことになるだろうからです。


「しかし、すべての人がその考えに染まっているからこそ、同時に、とてつもないチャンスでもあるのだ」


そしてあなたは決断しました。

最大の禁じ手にして、最大の奥の手、「ドラゴンナイトにクーデターを起こす」ことにしたのです。

あなたは説得を始めます。しかし多くの仲間たちは「世界を敵に回したくない。そんなことをしたら家族が皆殺しにされる」と決行を止めます。

中には逃げ出そうとする者たちもいました。しかし、あなたは非情な心でもって、逃げようとする部下を殺します。あなたの計画を人に知られてはならないからです。

あなたは血の涙を流しながら、仲間を説得します。


「俺たちはこのまま、世界から虐げられて生きていくのか? 俺たちは虐げられるために生まれたのか? 違う! 俺たちは、俺たちの世界を作るために生まれたのだ」


そして、あなたは少人数の賛同者と共にクーデターを起こすのです。

町中の人はもちろんのこと、兵士たちも武器を捨て、肩を組んで歌っているとき、あなたは武器を手に権力者を殺害し、兵を掌握します。そして王国を乗っ取ることに成功したのです。

こうしてあなたは自らの知恵と努力で世界の王に上り詰めたのでした。


――さて、それから時は経ち、世界にはある人物が舞い降りました。それはあなたの分身Bです。


あなたは本が好きで、昔の本を読んでいました。それはこの世界では読むことを禁じられていた本ですが、

あなたは家の物置の奥でその本を見つけ虜になります。

そしてあなたはその本の一部に、あまりにも感動的な表記を見つけ涙が止まらなくなりました。


その昔、世界ではこんな祭りがあったというのです。


その日の夜は、どんなに争っている国々も武器を置き、一緒に肩を組んで踊るのだ。

私たちは私たちの正義のために戦っているけど、相手にも相手の正義がある。そのことに理解を示す日を、せめて100年に1度は作ろう。



「なんて素晴らしい考えなんだ――」


しかし、それは遠い昔に葬られた祭りです。

時は経ち、今の世界ではそんな祭りはただの夢物語であり、敵に対して隙を見せる甘い人間の考えであるとされています。

しかし、あなたは「皆がそんなことを考えるからこそ、世界では争いが終わらないのだ」と嘆きます。元に、ドラゴンナイトが失われてから戦争の頻度は増しているのです。

そこであなたは決意します。自分の手で「ドラゴンナイト祭」を復活させるということを。

あなたはドラゴンナイトの思想を歌にすることを思いつきます。それは、まさに神が味方したのではないかというくらいの素晴らしいメロディで、皆、そのメロディの虜になります。

こうしてドラゴンナイトは少しづつ世界に広がります。しかしドラゴンナイトの思想が広まることは時の権力者に危険視され、あなたは犯罪者として囚われの身となります。

そしてあなたは死刑されることになりました。

死刑当日。

多くの観衆たちが見守る中、あなたはあなたを処刑するために兵士が近づいてきます。

そして、その兵士はあなたの思想に感化されている者でもありました。それゆえあなたの処刑を躊躇っていますが、しかし兵士はあなたを殺さなければ死刑になってしまいます。

槍を持つ手を震わせる兵士。

彼に向かってあなたは優しく語りかけます。


「恐れることはない。君だって、君の正義のために戦っているんだ」


そしてあなたは彼に向かって声高に叫ぶのです。


「僕は君の正義をドラゲナイする!」


そして、あなたの胸に兵士の槍が突き立てられます。

しかし、あなたが死に際に放ったこの言葉は世界中に広まり、ドラゴンナイトの大運動が起き、ついにドラゴンナイトが復活することになったのです。


そして、この素晴らしい儀式が世界に定着し、町中の人が武器を捨て、肩を組んで歌っているとき


ある貧しい家に赤ちゃんの産声があがります。


その声の主は、


あなたの分身Aなのです。





世界が望むのは、「平和」や「正義」ではなく、「変化」です。


そして、世界は「変化を最大の善だとする場所」だということを認識したとき、「敵」や「悪」を本質的に愛することができるのでしょう。


それらは、変化し続けたい世界の、一つの役割に過ぎないのですから。







■ このブログ「ウケる日記」が本になりました!


ウケる日記

ウケる日記で特に人気の高かった記事(2012年1月まで)に加え、未公開日記として50ページの書き下ろし「富士急ハイランド事件」が掲載されています。富士急ハイランド事件は、僕の人生で起きた最も衝撃的と言っても過言ではない事件なのですが、書いたときのあまりの熱量で膨大な量になってしまい発表する場が見つかりませんでしたが、今回、書籍化ということで入れさせていただきました。ぜひぜひよろしくお願いします!
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