$いまじなりぃ*ふぁーむ-cctl


_+*+_ (2)ぐだぐだ _+*+_



「由香里っ!」

いきなり部屋に入ってきたママが、机の上に乗せてたあたし
の足を力いっぱい叩いた。

ばしっ!

「ってー……、なにすっだ」

ノートの上に書かれてるのは、あたしがてきとーに書いた落
書きだけ。
他には、なーんもない。

ママはそれをじろっと睨んで、今度は頭にげんこを落とした。

がいん!

「由香里っ! あんた、大丈夫なのっ?!」

ちぇ。
ったりぃよなー。

大学なんてどーでもいー。
どこ行ったって、何もいいことなんかないでしょ。
男はみんなパターン化してるしぃ、付き合うだけ時間のムダ。
講義は今の授業よりかったるいんでしょ。
なんかあ、キャンパスライフを楽しんでる自分の姿って、想
像出来ないんだよなー。

ほんとにたりぃ。
ニートいいよなー。
ずっとぐだぐだしてたいー。

でもさー、そしたらきっとママに言われるよね。
さっさと出てけって。

そしたら稼がないとさー、おしゃれも出来ないしぃ、かふぇ
のハシゴも出来ないしぃ……。
それよか、一緒に行ってくれるトモダチいなくなるかー。

めんどくせー。
たりー。

あたしのあまりのやる気のなさにあきれたみたいで。
ママがぶすっとした顔で、部屋を出てった。

もう来なくていいよ。
うっとーしいから。


           -=*=-


ぼやっとカレンダー見てて気が付いた。

「そういや、クリスマスじゃん」

去年は楽しかったなー。
男の子にいっぱい呼ばれて、片っ端からデートはしごして、
プレゼント巻き上げてさー。

でも、それから干されちゃった。

あたしは、誰にもプレゼント欲しいなんて言ってないよ。
男どもが勝手に貢いだんじゃん。
要らないもんも多かったしぃ。

デートだってそうだよ。
つまんない。

みんなハンコで押したような反応しかしないもん。
なんか攻略本でも読んだの、あんたって感じで。
それであたしが楽しいんだと思って、勝手に盛り上がってる。

ばっかじゃないの?
しらけるわー。

あたしは、そう思って、そう言っただけ。

あんた、つまんない。
ばい。

そしたらさー、ぼろっくそに言われるわけよ。
やりまのくせに、態度でけえって。

はん。

態度でかいのはどっちよ。
あたしは道具じゃないよ。

そんなにやりたきゃ、ふーぞく行けや。


           -=*=-


受験なんか、どーでもいい。
大学に興味なんかない。

でも、今そう言ったら親に放り出される。
ふざけんなって。

だから、あたしは我慢してる。

がまん。
大っ嫌いだ。

したいようにするのが、あたしだもん。
これからも、そやって生きてきたい。

でも、今放り出されたらハメツすんのは分かってる。

バイトだって三日と保たないのにさー。
気に食わねーやつにぺこぺこ頭下げて、働いてお金もらうのっ
て、絶対に無理ぃ。

親のすねをかじり続けるんだったら、最低限の親のオーダー
はこなさないとなんない。
同じ頭を下げるんなら、その方がまだましだしぃ。

でも。
やっぱり、かったるい。
やる気が出ないー。

「んとに、かったりぃ」

あたしは、また机の上に足を放り出した。

「模試かあ。へのへのもへじがいくつ書けっかなー」

ぎゃははははっ!


(樅山由香里)




Triumph Of A Heart by Bjork