パトの超速の突破からミランが開始30秒足らずで1点。
バルセロナの弱点、センターバックのスピード不足が露呈した形。
仮にプジョルはもちろん、ピケがいてもやられていた可能性は大きい。
とはいえ、世界のどのレベルでも現状はセンターバックは重さ重視なので、スピードがあって裏に強いセンターバックなんてどのチームにもいない。
いるとすればメッシを捕まえられるぺぺぐらいだと思っているのだが、どうか。
バルサのマスチェラーノ起用を真似てハーフタイプを起用するチームはあってもスピード豊富なセンターバックはお目にかかれない。
当たり前だが、そういう人材がいたらセンターフォワードとして育てようと思う方が普通だからね。
ミラン、先制点をあげてやれるのかと思ったが5分もたたないうちに圧倒的なバルセロナのポゼッション。
ここからは眠たくなるようないつもと同じバルサのポゼッションゲームが続く。
毎回同じものを見せられた面白くも何ともないが、眠気を覚ます驚きはいつもメッシ。
ミランは20分ぐらいまではバイタルエリアを閉じることに成功していたが、その後は侵入されるようになって35分ごろにメッシが4人を振り切るドリブルからペドロのゴール。
パス回しではなくて、主にはメッシのドリブル、加えてイニエスタのドリブルからチャンスが生まれるというのが去年からのいつもの試合の流れ。
現代サッカーの主流であるゾーン守備に対して狭いところを突破できるドリブラーがどれだけ破壊力を持つかの証明のような試合。
だから、小学生年代であればシャビのようになろうではなくて、メッシやイニエスタやペドロのようになろうが正解なわけで、そこから先、中学生高校生になって少しずつまわりと協調することを覚えればいいのだと信じる。
バルセロナでは、スペインでは小学生からパスゲームを教えると今月もどこかのサッカー雑誌に書いてあるが、それでは試合は眠くなるだけだ。
40分、イニエスタが負傷交代でセスク。
アーセナルから絶対のエースをとって、ベンチに置いておくのだから余裕。
ビジャの時も、イブラの時も、アンリの時も同じ。
マスチェラーノは未だに本来のポジションでプレーさせてもらえない。
サンチェスが肉離れでもなんにも困りはしない。
贅沢なものだが、それだけこのチームはパーツを組み込むのに手間がかかる精緻な芸術品だということだ。
ミランも頑張っているのかもしれないが、パスアンドゴーの質、ボールの受け方、そのために走る量が全然違う。
そしてボールを奪い返すときの密集の仕方、速さも全く違う。
ミランの選手は味方の選手が囲まれて奪われるのをボーッと見ているだけ、そう見えてしまうのだから大きな差を感じる。
それでも結果は2-2の引き分け。
サッカーはそういうもので、ゲームを支配するのはハーフのパス回しであって、そこで絶対に優勢だとしても結果を出すのはゴール前だということを示したゲームとなってしまった。
しかし、これでバルサが弱くなったなどというはずもない。
このトップレベルで10試合戦って、そのうち7回勝って、2回引き分け、ひとつ負ける「かもしれない」という絶対的な強さを持つチームがたまたまひとつ引き分けたのがこの試合という感じ。
試合後に勝利への執念がなくなったのではと質問した記者がいるらしいが、試合を見ていたのかとこっちが問いたいくらい間が抜けている。
そうではなくてバルサを褒め称えるのはもちろん、この相手に守りに守り抜いて、しかも2点をもぎ取ったミランの選手たちの執念を褒め称える試合だったと感じた。
絶対王者のバルサにっじゃくてんがあるとすれば、コンディショニングと怪我人、出場停止。今年もそういうことだと思えた。
たまたま負けようが引き分けようが、このチームの評価は変わらないが、勝利の大前提はメッシ、メッシ、メッシ、イニエスタ、そんなところか。
こう考えてくると本当の意味でのパスゲームに適したフィニッシャーはエトーだったのではと思える。