書いたことがあるが、昔、指導していた高校もいちはしたちが行く前は公式戦も含めて年に10試合程度しかやっていなかった時期が長く続いていた。


それで選手たちは「俺たち、なんで勝てないんだろう」なんてことを言っていたのだから、色々な意味で可哀想というしかない。


卒業したOBがきて「先生に頼んでも、練習試合は大会の前に1回だけとか言われちゃうんですよねえ」と話すような時期もあったらしい。


顧問に話を聞けば、大会で1回戦負けの常連だから「どこに申し込んでも、返事を待たされたあげくに1週間前にドタキャンされることの繰り返し」だそうで、やっと組める相手は1回戦負けの常連ばかり。
いちはしが行き始めたときも最初の年は1年に2回か3回ずつ常連さんとやる状況。


そこに風穴を開けていった。


高校生であれば、誰かが風穴を開けるのを待っているのは仕方がないかもしれないが、大学生であれば、そのくらいのことは自分でやれ、だ。


ちなみにその当時に何度も練習試合をしていた1回戦負けの常連校とは当然ながら試合をしなくなるわけだが、あるときわけあって久々にその学校と試合をした。

そのときに相手チームの主将が挨拶に来た。

「すみません、お願いがあるんですけれど…。うちの顧問に頼んでも練習試合を組んでくれないんです。それで申し訳ないのですが、そちらから練習試合の申し込みをしていただけないでしょうか…」


残念なことに、日程が合わずにこの学校と練習試合をすることはできなかった記憶がある。
その気持ちを形にしてあげたかったのだが、なんせ、そのころはこちらは3ヶ月先の土日まで公式戦と練習試合で埋まっているのが普通だったから。

それにしても高校生が他校の見ず知らずの大人にそれを言うのはたいへんな勇気だろうなと感じた。
そして、その高校はその世代「だけ」が大会で3回戦まで勝ち進んでいた。立派なものだ。


高校生でも気持ちがあればこのぐらいのことはしているわけだ。


大学生にもなって自分の学校のグラウンドが使えないから試合をできないなんて、言わしてもらえば、どんだけ「ゆとり」なの?


今日の試合で、後半の途中で交代させられたシノはユニフォームを脱ぎ捨てると地面に叩きつけていた。「不甲斐ないプレーしかできなかった自分に対して」だったそうだ。


2点目の失点に絡んだシュンは試合後に泣きそうになっていた。


チームのリーダーであれば、彼らの気持ちを形にするために努力する義務がある。


彼らの気持ちを次の公式戦で形にするためには、たくさんの練習とたくさんの練習試合が必要なわけだ。


嘆くだけなら誰にでもできる。
不満を言うだけなら誰でにもできる。


大事なことはそこから前に進むために行動をおこすことだ。


このままなら来年は自分たちが降格争いの中にいるだろうことに想像力が及ばないものがチーム内にいるとすれば…
そして次の秋シーズン、来年の春シーズンに向かって今日から行動を起こせないものがいるとすれば…

そのひとたちとは一緒にサッカーをやっているに値しない。