参議院選挙の仕組みのイロハを改めておさえておこう | 横溝慎一郎行政書士合格ブログ  

参議院選挙の仕組みのイロハを改めておさえておこう

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7月10日の参議院選挙。

昨年も出されていますが、選挙制度について改めて振り返っておきましょう。

参議院選挙の場合、「選挙区比例代表並立制」が採用されています。

これは、全国1区で争う「比例代表選挙」と、全国45の選挙区で争く「選挙区選挙」の合算で獲得議席が決まる方式です。

「比例代表選挙」については、「非拘束名簿式」を採用しています。
これは、候補者名または政党名のどちらかを記入するものです。
衆議院選挙の場合のように、当選順位をあらかじめ政党側が指定することはできません。
政党の議席は、政党名と候補者名の票の合算で計算しますが、候補者の当選順は候補者名の多い順です。
ちなみに「維新」と書くと、「おおさか維新の会」の票とカウントされます。
「民主」は無効です。
民進党に投票したい場合、「民進」または「民進党」と書かないといけません。
「支持政党なし」という団体も立候補を届け出ているようですので、「支持政党なし」と書くとこのよくわからない団体の得票となってしまいます。
ここで96議席が決まります。

「選挙区選挙」については、全国45の選挙区で争われます。
もともと参議院選挙は3年ごとに半数が改選されるシステムであるため、「選挙区」の定数は必ず偶数になっています。
最も少ないところで2、多いところで12です。
ちなみに12は東京です。
今回の選挙では、その半数が改選対象になっています。
つまり定数は1~6ということですね。
「1人区」とマスコミで読んでいるのは、本来の定数が2の選挙区を指していると考えてください。
また今回の選挙から、「合区」が採用されています。
鳥取と島根、高知と徳島がそれぞれ1選挙区とされました。
ここで146議席が決まります。
「選挙区選挙」での1票の格差は、「合区」や「10増10減」といった調整の結果、最大2.97倍になっています。
つまり、これらの調整は相変わらず小手先の調整であるということです。

参議院議員に立候補するためには満30歳以上でなければいけません。
衆議院議員は満25歳以上でOKですね。
任期は、参議院議員が6年、衆議院議員は4年。
解散制度は衆議院のみに適用されます。

そして今回から18歳以上の人に選挙権が与えられます。

そこで選挙権の歴史についても振り返っておきましょう。

1889年に25歳以上の男子で直接国税15円以上を納めている人に選挙権が与えらえたのが最初です。このとき有権者数の割合は全人口の1.1%でした。

1900年には、年齢要件はそのままで、直接国税10円以上を納めている人に選挙権が与えられることになりました。これで2.2%。

1919年には、年齢要件そのままで、直接国税3円以上納めている人に与えられ、5.5%。

そして1925年。25歳以上の男子すべてに選挙権が与えられました。このとき20%まで上昇しています。

20歳以上の男女に選挙権が与えられたのは、1945年12月の改正です。
これで有権者は全人口の48.7%となりました。

ちなみに1946年4月に男女平等普通選挙のもとでの初めての衆議院議員選挙が実施されています。

今回18歳以上の男女の選挙権が与えられたことで、有権者は全人口の83%となっています。

ほとんどの日本国民に選挙権が付与されたといってよい状態ですね。

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今回の選挙ですが、私は東京選挙区で投票します。

以前も書きましたが、選挙区選挙において、自民党候補者や公明党候補者に投票するつもりはありません。
いじめを肯定するような発言をしていた中川雅治候補は論外(その経緯は以前こちらの記事で指摘しています)です。

また、比例区でも自民党候補者や公明党候補者の個人名を書くつもりはありません。

あらためて指摘しておきますが、今回は「政権選択」の選挙ではありません。

衆議院ではすでに自公で総議員の3分の2以上の議席を持っています。
参議院の構成がどうであれ、法律案は衆議院の再可決を使えば自公の思うままに成立させることが可能です。また予算や条約の承認も同じですね。参議院と衆議院が異なる議決をした場合は、両院協議会を必ず開きそこで「成案(妥協案のこと)」が成立させられなければ、衆議院の議決が国会の議決となります。
つまり、国会の主導権は自公が完全に握っているのです。
自民党が言っているような「前進か後退か」というキャッチフレーズはそもそも的外れだということですね(民主党政権時代が暗黒だという決めつけもおかしいと思いますが)。

では今回の参議院選挙はどういった趣旨の選挙なのか?

はっきり言いますね。

今回は、「日本会議」や「神社本庁」といった復古主義を掲げる団体の意向を受けた安倍政権による憲法改正を阻止するか、それともそれを認めるか?を有権者が判断する選挙です。

女性誌や女性向けファッション誌でも安倍政権が目指す憲法改正の危険性を指摘する特集がたびたび組まれています。そしてビックコミックスピリッツでも、付録で日本国憲法全文が付けられるんだそうです。

憲法について様々な議論がなされるのは大切なことです。

私も改正に絶対反対という立場ではありません。

しかし、現在の自民党草案に沿った改正だけは絶対に阻止しなければならない。

憲法について講義をしているはしくれとして、こころからそう思っています。