平成23年度行政書士試験講評<法令択一編> | 横溝慎一郎行政書士合格ブログ  

平成23年度行政書士試験講評<法令択一編>

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法令択一の難易度は「対受験生」という点では、さほど変わらなかったというのが実際のところでしょう。
比較的解きやすかったとされている平成21年度のように、受験生がしっかりと得点できたというわけではない、ということ。これは無料成績診断の平均点からもはっきりとしています。ある程度自信のある人が無料成績診断に参加していることを前提としても、法令択一の平均点が思ったより伸びていません。

平成22年度試験を前提に、長文対策はかなり意識していた受験生が多かったと思いますが、全体のページ数が減った分、油断して足元をすくわれたケースもあったかもしれません。

では問題別にみていきましょう。

問題にはABCランクをつけています。Aは間違えてはいけない問題。Bは合否を分けたと思われる問題。Cはできなくてもよい問題。そう考えてください。

【基礎法学】

問題1 A

問題2 C

基礎法学は例年どおり1問正解が必須でした。問題1は選択肢3に気が付けば非常に易しい問題です。

【憲法】

問題3 B

問題4 A

問題5 B

問題6 A

問題7 A

問題3は出題可能性が高かった13条関連の判例の問題です。(4)(5)のふたつにひぼりこむところまでは行き着いた人は多かったと思います。(4)はやや難しい判例ですが、(5)は知っているべき有名な判例でした。ここの判断を迷った人が多かったようです。
問題4は「憲法特有の出題パターン」のひとつ、仲間はずれを探そうというもの。内容は非常に易しい。
問題5も仲間はずれを探す問題。それほど目新しいものではありません。知識ではなく、問題に与えられた条件から、今回主張するのがふさわしくないものを選べばよいというもの。「わいせつ」についての知識がなくても(3)を選ぶことは容易です。ポイントは今回問題になっている写真集がすでに発売すみであるという点です。ただできた人はそれほど多くないようですね。そのためランクBとしました。
問題7も「憲法特有の出題パターン」のひとつ。読み取り問題です。

【行政法】

問題8 B

問題9 B

問題10 B

問題11 A

問題12 A

問題13 A

問題14 B

問題15 A

問題16 B

問題17 A

問題18 B

問題19 A

問題20 A

問題21 B

問題22 B

問題23 B

問題24 A

問題25 B

問題26 B

行政法の出来が合否を分ける、という構図は今年も変わっていませんでした。
どのくらい過去問題と条文、そして重要判例をしっかり検証してきたかが問われる良問ぞろいだった思います。
総論からの出題である問題8・9・10がどのくらい正解できたかは大きなポイントになったと思われます。

救済法では問題14・16・18がポイント。問題18は非常に正解者が少ないようです。(2)を選んだ人が半数近くいるようなのですが、これは出題が予想されていた論点であることを考えるとちょっと意外な結果でした。(5)は条文知識。ただ現実的には(1)~(4)を消去していって、残った(5)を正解と判断するべき問題でしょう。

今回自治法は3問にとどまりました。3問ともランクB。最低2問は正解しておきたい内容です。公の施設が2年連続で出たのはちょっと意外でした・・・。

問題15・25では判例の空欄補充問題がだされていました。問題15は現場で考えて正解に到達できる問題でしょう。問題25はある程度前提知識が必要。安全配慮義務に関するこの判例は国賠の論点で学習することが多いものですね。

問題26では、「道路をめぐる裁判」というテーマで判例知識を問う問題が出されました。ウは基本判例。アは「余地がない」ことはないだろうという判断をできてよい内容です。4つの選択肢の中でアだけ「余地がない」と断定する表現を使っている点にも注目。この2つが判断できれば(4)に到達できます。

【民法】

問題27 B

問題28 B

問題29 A

問題30 B

問題31 A

問題32 A

問題33 B

問題34 A

問題35 B

平成22年度の民法の問題のように、びっくりするような長文問題や「相談型」の問題が姿を消しました。そのぶん正解数を稼ぎやすかったのではないかと思います。ただ決して易しい内容の問題がでていたというわけではなく、正確な理解を要求するものが多くみられました。あいまいな知識で解こうとすると足元をすくわれる。そんな問題が出されており、おおむね良問だったといってよいと思います。
ランクBの問題をどれだけ正解できたかがポイントです。

問題35は「後見・扶養」というあまり正面から問われたことのないテーマからの出題。ただ、(1)~(3)は制限行為能力者に関する知識で判断できます。(1)は、おそらく来年4月1日から施行される(すでに国会で改正法は成立すみ)と思われる「未成年後見人の人数」に関する問題。今回の試験までは「1人」ですが、来年の試験からは「複数」となります。よくある「先走り問題」ですね。ただこれにひっかかった人はそれほど多くなかったようです。むしろ(2)を正しいと判断した人のほうが多い。これは過去問題の検証が不十分である証拠です。

【商法会社法】

問題36 A

問題37 B

問題38 B

問題39 B

問題40 C

商法総則商行為はひさしぶりに「まともな」問題がでました。名板貸に関する問題で、現場で考えても十分正解に達することができる良問です。

会社法は4問とも難易度が高い問題でした。正答率から判断すると、問題37・39がポイントでしょう。問題38・40はほとんどできていません。

全体で2問正解できれば「御の字」というこれまでの科目の特性を今回ももっていたということでしょう。

【多肢選択】

問題41 ア A イ A ウ B エ B

問題42 ア A イ A ウ A エ B

問題43 ア A イ A ウ B エ A

問題41はエを埋められたかどうかがポイント。最初のエで「公共の福祉」だと判断できてほしいのですが、2番目3番目のエで判断しようとすると難易度があがります。

問題42もエがポイント。使われている判例は非常に有名なものです。

問題43は全体的に容易。ウをランクBとしましたが、これは埋められないといけません。

多肢選択は18点以上、できれば20点~22点を確保しておきたいところでしょう。

【記述】

記述は全体講評の中ですでに述べています。そちらをご覧ください。

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