近藤誠氏への批判②の3 副作用重篤例が素地を作る | がん治療の虚実

近藤誠氏への批判②の3 副作用重篤例が素地を作る


前回記事に対する現代医学の失敗作 さんよりコメント

結局 医者は 自分たちがやっていることをただ
正当化したいのですね。。残念です。。
あなたたちは決して、自分たちのやっていることに不を認めようとしない…
そして、「事故がおき、不幸な人を生んでしまうのはしょうがない」ということを認めていることになります。
そして、何より、患者の痛みを本当の意味で
重大なことだと とらえていません。
だから こんなことが起き続けます。
私の得た答えは「抗がん剤」の薬害は抗がん剤を使う以上、なくならない(あたりまですが)。
患者がそれぞれ、自分で自分の身体は守るしか
ないのだと思っています。
ちなみに、私は「子供を産みたい人はどうなのか?」と話をしていますし、「自分が進んでできない治療をやっても意味はないと思っています」等、自分の意思は担当医につたえています。
「後悔」だけはしたくない!!とういのが、私の信条みたいなものでしたから。
私も、治療をしたい人はとことんやればいい。
という意見に賛成です。
でもそうではない人の価値観にまで、踏み込むのはやめてほしい。
ありがた迷惑もはなはだしいです。
「大往生したけりゃ医療とかかわるな」の著者、
中村仁一先生も言っていますが、
医者は患者の願う範囲内でプロとして最善をつくせばいい。そう思います。
そして、どんなに批判をしても抗がん剤の薬害がなくならない以上、近藤医師を指示する人も
なくならないでしょう。抗がん剤の薬害事故はなくなりませんから、むしろ増えるのではないでしょうか?正にイタチごっこ…
当の本人から言わせると「くだらない」「時間の無駄だ」「本末転倒」「問題解決にはつながらない」…かもしれません。
人間には、本来 病を治したり体をよく保ったりする力が何もしなくても備わっています。
西洋医学は攻めて攻めて攻めまくる医療ですが、東洋医学は本来人間が持っている力に重きをおく医療です。私にはそっちのほうがあっているかもしれません。
一番いいのは、西洋・東洋のそれぞれいいところを合わせた統合医療があればいいなと思っています。
最近になって、ビタミンCやビタミンDががんに効くことが分かってきていますよね。高濃度ビタミンC点滴やビタミンDはがん細胞の増殖を抑え、死滅させる力があると…
蓋をあけてみれば、がんをおさめるのはなんてことない、私たちが普段慣れ親しんでいる天然の栄養素ではないか!!…なんて。もちろん、それがどれくらいの効力かはまだまだかもしれませんが…人間の身体の秩序が生活習慣や、
私たちをとりまく環境の悪化などでうまく働かなくなってしまっているのではないか…本質的原因はそこにあるのではないか、、など考えたりしています。
人類はなぜ、こんな恐ろしい殺戮兵器のような
薬に先に手をつけ、天然由来のものに目がいかなかったのか…そんなことを思ったりします。
ひとつだけ、私が近藤医師により共感するものがあるとしたら、医師は人間の尊厳に決してメスを入れない…とでもいうか、目に見えない大いなるものを恐れる…そんな姿勢があるような気がします。うまく言えません。すみません。
私は宗教者でも何でもありませんが、
この世の中は 実に人間にいいようにできている…人間の身体も同じです。がんになってからそういうことに気づき始めました。
本来なら、人間自信が ががんを封じ込められないはずがない…灯台下暗し…何か、重要な大切なものを見失って、ただただ、化学的な化学的なと走りすぎているような、そんな気もしています。


ーーーー当方のコメントーーーー
率直なご意見、大変ありがとうございます。とても参考になる「声」でした。
その上でこちらの意見を書かせてもらいます。
自分は「正当化」ではなく、より有益と考えられる治療法を伝えたいと思っています。
また「事故がおき、不幸な人を生んでしまうのはしょうがない」のではなく、なるべく不幸になる方を少なくなる方向に持って行きたいと考えています。

抗がん剤がこれだけ普及したのは実際には患者さんの要望が強いからでもあります。

当事者には釈迦に説法なのですが、がんの進行、再発への不安が非常に強い患者さんは、逆に過度の治療を希望されることも多く、治療担当医としては無理な治療は止めた方が良いと助言することも多いです。

世の中、がんに効果があると主張している治療法が星の数ほどありますが、その中でどれが一番有用か、どうやって見分ければ良いのでしょうか?

いろいろながん患者さんが、自分の受けた治療が良かった、悪かったと発言します。
どうすればそれらを比較してベストな治療法を選択することができるのでしょう?

最終的な結論は個々の患者さんの状況と価値観で決めるしかありませんが、治療結果が報告されている客観的データを元にしたガイドラインがないことには、海図とコンパス無しで航海に出るようなものです。
もちろん、きちんと準備した上で遭難する人も出るでしょう。
しかし海図とコンパスは有害だという話にはなりません。
つまり、患者さん個人の勘や経験、価値観を強制的に否定するつもりはないものの、海図とコンパスは参考にした方が良いんじゃないでしょうかと意見を述べているだけです。

「天然由来」、「東洋医学」、「統合医療」などどれもイメージ的にあるいは理論上良さそうに見えますが、結果が伴っていないとがん治療に有用とは言えません。
もちろん、がん治療に間接的に貢献しているものもありますが(神経障害に対する牛車腎気丸など)、その証明が直接なされたものを優先すべきです。
そうでないと選択肢が無数にありすぎて、はずれを引いてしまいます。
参考
がん情報サービス サイト 代替療法(健康食品やサプリメント)より
5.むしろ害になる可能性のあるサプリメント
http://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/alternative_medicine.html#prg5_1
ーーーーここから引用
この判定は、ビタミンAやCなどの抗酸化物質が通常の治療効果を弱めてしまう可能性があるためです。放射線治療や化学療法など、通常のがん治療の一部は、活性酸素を発生させてがん細胞を攻撃することにより治療効果を発揮します。ところが、ビタミンAやビタミンCなどの抗酸化物質をサプリメントとして大量にとると、活性酸素の作用が弱くなるため、こうした通常治療の効果を阻害する可能性があります。そのため、判定が「反対」とされているのです。
ーーーーここまで
参考
炭水化物摂取とがん⑨理論より結果を優先する
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11134809161.html
ーーーーここから引用
代替医療やサプリメントも期待している人が多いが、イメージに流されないようにしなければならない。少なくとも「事実」を優先させるべきだろう。
2001年に米国を中心に始まったSELECT研究では55歳以上の男性35333人にセレニウム200 μg/日かつあるいはビタミンE400 IU/日を服用してもらい、前立腺癌の発症予防効果を調べた。
しかし2008年に逆にビタミンEを摂取した患者群の方が前立腺癌になるリスクが13%高いとわかった。
http://jama.ama-assn.org/content/306/14/1549.abstract
また肺癌ではATBC試験で喫煙者の発がんリスク軽減を期待されてβカロチンの摂取試験が行われたが、肺癌の発病率は18%、死亡率は8%上昇するという結果が出た。
いずれも細胞、動物、小規模試験でサプリメントの抗腫瘍効果が示されていたが、大規模臨床試験でひっくり返されたわけだ。
ーーーーここまで

今から70年前の日本の平均寿命は50歳前後でした。それが70年で30年以上伸びました。
理由は主に
①乳幼児死亡の低下、②感染症のコントロール、③脳血管疾患のコントロールというものです。
いずれも医療の進歩(感染予防、減塩、降圧剤など)、栄養状態の改善(結核などの感染症に強くなる)の結果です。
がんは増えているじゃないかと言う意見もありますが、
・それを織り込んだ上で平均寿命が伸びている
・がん以外の死因で死ななくなって高齢化して、がんが見つかる、あるいは死亡する(がん死総数は増える)
・高齢化の影響を除いた年齢調整死亡率では逆にがんの死亡率は減っている(文藝春秋平成25年5月号 若尾文彦「がんは本当は減り始めている」より)。
こういう肯定的な結果はデータとして残っているため、医学の方向は大まかには間違っていないと判断されているのでしょう(問題が無いという意味ではない)。

ただ全体的な方向性と各個人の志向は一致するとは限りません。

正直、現代医学の失敗作さんには、自分が担当医となっても今後抗がん剤治療が必要な場面になっても勧める気にはなれないと思います(例え高い確率で有効かつ副作用が少ないとわかっていても)。
なんと言っても抗がん剤治療の印象が悪くなりすぎているためです。

抗がん剤治療に拒絶反応を示すほどきつい目に遭わせるのは最低限避けるべきで、最近では抗がん剤の最優先事項は効果ではなく副作用を抑えることと公言する医師も増えてきました(自分も含め)。
参考
がん化学療法の常識⑥ 化学療法の最重要事項は効果ではなく副作用を抑えること-1
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10714501994.html


自分が研修医のとき、受け持った女性患者さんで子宮頚癌stage IVの不正出血が止まらない方がいました。崩れやすいがん組織からの出血で、周囲に浸潤しているから切除手術は無理、放射線治療しかないという話になりました。
しかしその患者さんは全く受け入れてくれませんでした。
何でも戦時中原爆投下された広島にいた関係上、放射線なるものを拒絶する気持ちが抑えられないとのこと。
それでも出血が止まらないため、こちらとしては粘り強く説得し続けましたが、ある日突然他の病院に転院していきました。
にこやかな表情で去って行かれましたが、こちらが未熟な研修医であることを配慮してくれたのでしょう。
がん治療においてムードの問題は切実です。それは医学的な正しさとは別次元の問題であると思い知らされたエピソードでした。


厳しい副作用のため抗がん剤の印象は昔から悪いものでした。今日、化学療法が有用になってきたのは新薬もさることながら、副作用に対処する支持療法が飛躍的に発展したからです。

ただ、本人しかつらさがわからない身体症状が大部分(骨髄抑制など血液検査でわかるものは医師は敏感)なので、もっと医療側が積極的に関与していくべきものです。

今回抗がん剤で極度に苦しんだ患者さんの生の声をご投稿いただきましたが、この連載最初の「なぜ近藤理論が受け入れられる素地があるのか」という項目を図らずも説明してくださるものになりました。