近藤誠氏「抗がん剤は効かない」批判①延命効果はないの嘘 | がん治療の虚実

近藤誠氏「抗がん剤は効かない」批判①延命効果はないの嘘

予告よりずいぶん遅くなりましたが、近藤誠氏の新刊「抗がん剤は効かない」に対する反論記事を連載します。
前回までの記事は少し細かくなりすぎて見づらいという意見がありました。
近藤誠氏の主張は抗がん剤は効かない立場から都合よく抗がん剤の問題点を取り上げています。それに対して全て反論するため長くなりました。
今回のシリーズでは必要最小限で簡潔明瞭に説明します。

彼の最新刊「抗がん剤は効かない」では以下の文面があります。

~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~
・昔と比べて長生きしているのは、おそらく錯覚です。(中略) 抗がん剤で長生きするというのは,データ的に認められていない。多数の臨床試験を積み重ねてきても、結局、証明されていないのです(p.61)
~~~~~~~~~ここまで~~~~~~~~~

他にも大腸がんに対するベクティビックス、腎がん、肝がんに対するネクサバールでOS(全生存期間)が投与群で非投与群で差がないからなぜ認可されたのか、認可を取り消すべきだと主張しています。
PFS(腫瘍増大までの期間)良好だからと言っても検査時期で操作できるからだめだというわけです。

これに対しては以下の図を見てください。
ベクティビックスだけでなく他の抗がん剤のでも同じ論理で読者を欺いています。



$がん治療の虚実-くろす60

がん治療の虚実-125ベクティビックス
がん治療の虚実-OSベクティビックス

延命効果が証明されていないという主張はこのクロスオーバー試験と言う事実を隠蔽しているから可能なのだ。
彼の著書には一言も書いていないが、学会ではこのクロスオーバーこそが全生存期間で差が出ない理由の一つとして常識になっている。

一般人相手に理論的に説明しているように見せかけても、所詮都合の悪いデータを無視して自説を形成しているので学会内で専門家に論争を挑めない。

文藝春秋の時の記事から少しは是正されたかと思いましたが、認めると主張が全て崩れるから無視しているのだろう。
はっきり言ってこの「クロスオーバー試験」の件だけで彼の著作はアウトだと言っていい。