くせもの(医学)用語解説 I「余命」② | がん治療の虚実

くせもの(医学)用語解説 I「余命」②


余命というと、普通の人は平均してどのくらい生きられるかと言う事を考えるだろう。実際各種がんのstageIVでの治療した場合しない場合の「余命」が医療現場で告げられる事があるが、これは生存期間中央値(MST: median survival time)であって「平均」ではないのである。つまり対象患者さん100人いるとすれば50番目に亡くなる患者さんの時期を指しているにすぎないのだ。これは医師自身も誤解しているか、誤解されやすい事に注意していない場合が多い。よってそれよりずっと早く亡くなる人もいればあるいは長く生き延びる人がいても全くおかしくないのだ。
$がん治療の虚実-②誤解される余命縮小

上の図でわかるように各種がんで多少曲線が異なるがだいたい似たような曲線となる。たちの悪い難治がんの場合の曲線が下にストンと落ちる(つまり生存者が急激に減る)が、それでもある程度余命はばらけるのだ。
それではこの曲線がどうなれば治療法は進歩したと言えるのであろうか。またこの曲線を前にして患者さん自身が何ができるであろうか?