近藤誠氏の主張の良かったところ | がん治療の虚実

近藤誠氏の主張の良かったところ


新シリーズに入ると言っていきなり、180度逆の意見を言うのかとのけぞる方もおられるかもしれない。しかしどんな事でも表裏一体の事柄がある。
がんになっても悪いことばかりではなく、よく考えるといい事もあるはずだという事からがん患者さんへの励ましは始まるものだ(その手法は別機会に記載するが)。
さて近藤誠氏の言っているがどうして最初から無視されなかったかというと5%ぐらいは真実を語っている部分があるからだ。あるいは日本のがん治療で問題となっている事を一般向けに宣伝することになるのは悪いことばかりではない。その例を羅列すると
・抗がん剤の発展は著しいが、速すぎて忙しい医師はついていけない。そこで製薬会社が研究会、講演会を高名な研究者に依頼するが、どうも最近一大洗脳会といった感じが出てきている。
もちろんきちんと臨床試験で出ている結果をねじ曲げる訳ではないのだが、やや曖昧なところは製薬会社の自社よりの内容になりがち。それに対抗して批判的に拝聴することが必須であるが、医師がみなそれができるほど医学論文を読んでいるかというと疑問な点がある。
・ガイドラインができてこれでみんな同じ治療をすればがん治療の均てんかが進む一方、その背景への理解が不十分だと危険だ。がん治療を受けている患者さんの治療に対する「お任せ意識」に冷や水を浴びせたのはそれなりに意義があったと思っている。そのプレッシャーが医師に向かい、改めて診療の糧となるのは悪いことではない。
他にもいろいろあるが難しい領域であるぶん話が盛り上がるのは悪いことではない。
ただし明らかな間違い、誤解は解いておかねばならないという事だ。