近藤誠氏の「抗がん剤は効かない」に対する反論まとめ<後篇> | がん治療の虚実

近藤誠氏の「抗がん剤は効かない」に対する反論まとめ<後篇>

近藤誠氏の文藝春秋記事「抗がん剤は効かない」に対する反論まとめ<後篇>

繰り返しになるが近藤誠氏の主張の問題点は2点ある。

・精巣がんや絨毛がん以外の固形がんに対する抗がん剤は延命効果なし、効かないという前提でそれを支持する根拠のみを集めて印象操作していること

・抗がん剤が無効だと断じてもその代わりの治療法についての言及がない(ご自身の専門の放射線治療は別でも局所療法にすぎない)。そのためがん患者さんに無用な不安感を与えるのみで救いの手がないような印象を与える。

もちろん抗がん剤が発達しても不十分であることは分かっているが、現時点では無治療よりずっとましともいえる。


近藤誠氏の主張は簡単なたとえで言うと
「車社会の発達で年間5000人もの交通事故死亡者が出ているから車はすべて廃止すべきだ」という極論と同じです。車がなければ交通事故死する人は減るでしょうが、物資輸送が滞り莫大な餓死者が出るでしょう。

医師側は治療理論の専門化にはまり、患者さんはメディア情報の多さに惑わされ、両者のがん治療の認識の乖離が進んでいる間隙を突いた記事とも言えるでしょう。