顔やせの輪郭注射 | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

週末は業者さんのセミナーで福岡にて講演。
肌の透明感や質感を改善する水光注射、頬の引き上げ作用が強いウルトラVリフト(糸によるリフト)、そして新しい手法輪郭注射について解説、デモンストレーションをしてきました。

水光注射は、2~3年ほど前に韓国に訪問した際にたまたまダーマシャインという機器を見て、日本への導入を積極的に推進してきた、私自身の思い入れがある治療機器・治療法です。今や日本でもかなりの台数が稼働し、学会でもシンポジウムが組まれるほどスタンダードな治療法となってきました。日本人にマッチした治療法であり、今後も発展していくことが期待されます。

ウルトラVリフト(ショッピングスレッド)は私自身は顔中央部頬を主とした引き上げ効果に関して最も結果を出せる方法と思っていますが、通常の糸の入れ方では効果が出づらく、医師の技量の差が大きな治療法です。どうすれば結果を出せるのか、3Dメソッドという深部脂肪組織への立体的な施術法について解説をしました。

そして新しい治療法、輪郭注射。
ここ数ヶ月ほどテストを繰り返し、最近治療メニューに導入した方法です。皮下の水分代謝、循環を改善する短期的効果と、長期的な脂肪融解作用をもつ薬剤を注射する手法で、韓国で輪郭注射という名称で急激に普及しました。ただ韓国で流通する薬剤には種々の問題があり、そのためレシピを変更して、オリジナルであるスペイン(メソセラピーという治療法が盛んです)の製剤を用いて、日本人に最適な注射方法などを検討してきましたが、最近結果を伴う治療と確信が持てたために、その理論や薬師作用などを解明し、現在「顔やせ」を希望される方に治療を開始しています。
従来の脂肪溶解(融解)注射は腫れや赤み、痒みなどを生じ、なかなか一般化しませんでしたが、この輪郭注射は腫れも生じず、大きな副作用も現在のところ認められていません。スペインの開発ドクターの話では1万例以上の経験でもそのような副作用は見られないとか。もちろんゼロではないと思いますが、安全性は高い治療法です。

ただ、製剤がハーブ系を主成分としており、我々日本人医師にとってはハーブ=怪しげなものと考えてしまい、私も本当にどうなのかなと考えていましたが、ヨーロッパでのハーブ治療は中世から始まる歴史ある療法で、漢方のようにその薬理作用が現在医学によって解明されてきています。最近そのあたりを勉強してその面白さに気づきました。美容医療において、新しい一つの分野としてこのような薬剤治療にはまだまだ秘められた可能性があるのではないでしょうか。
ただ、西洋医学で解明されない「得体の知れない」注射はやはり用いる事ができません。今は輪郭注射の効果効能を医学的に理解するのがやっとであり、本来もっと多様なこの手の治療に関しては、徐々に安全性などをきちんと検証していかなければなりません。焦って怖い治療には手を出さないよう、きちんと勉強していきながら、また新しいものを提案していければ良いなと思っています。