2月に会派の議員たちで、長野と山梨に視察に行きました。

遅くなりましたが、そのご報告です。
 

1日目:山梨県忍野村の電子母子手帳について。

 

各自治体が発行する「母子健康手帳」は、戦後まもない1948年、日本で生まれたもので、妊娠期から出産~産後から子育て期を通じて、母子の健康状態などを見守るツールとして多くの妊産婦や子どもの命を救ってきました。

世界的にも評価され、アジア・アフリカを中心に広がっているとのことです。

参考:http://www.hands.or.jp/activity/mch/hb/index.html

 

従来の母子健康手帳は紙ですが、様々な分野で電子化が進む中で、全国的に、「電子母子手帳」を導入する自治体が増えています。

 

今回、忍野村に着目したのは、忍野村の1.82という出生率の高さです。(2015年の全国平均1.45、東京1.24)

 

雄大な富士山を眺める自然に包まれた忍野村役場で、アットホームな歓迎の挨拶を頂いたあと、説明を受けました。

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Q.電子母子手帳 導入の経緯と、出生率の高さについて

 

A.村内に優良IT企業(ファナック)があり、採用増による若い世代の人口が増加を続けていることが、出生率にも影響。

 

→村内での結婚・出産が増える一方で、核家族化などで地域による相互扶助機能の希薄化も考えられ、現在の子育て支援策だけでは充分なサポートが難しくなることが予想される。

 

→先進的なICTを活用して、安心かつ利便性の高い母子健康・子育てのサービスを提供し、継続的なサポートを実現することを目的に、2017年10月から電子母子手帳を導入。

 

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Q.電子母子手帳の概要

A.

1) 身長・体重や予防接種履歴をデータ化して、紙の母子手帳を補完。写真やコメントなど、+αの情報を記録。

予防接種が近づくとお知らせが届く。

健診などのデータの記録を、自治体と共有し連携。

家族でもシェアできる。

 

2) 子育て情報を一元化したポータルサイトを構築し、PC+スマートフォンで情報提供。家族で使える。

遠方の親世帯も孫の発育情報をPCやスマホで確認でき、一人で子育てするお母さんを応援。

 

3) 行政は、利用サポートサービスを行う。

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Q.システム導入の費用と補助金等の内訳について

A.総事業費 約1800万円のうち、

約1720万円=総務省の「情報通信技術利活用事業費補助金」

約80万円は自主財源で、5年間のライセンス料やTVモニター(補助対象外経費)

 

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Q.利用率について

A.未就学児525人中、登録者は23人(4.4%)と、伸び悩んでいる。

周知はできているが、登録に郵送が必要なためか。

コンテンツの充実が必要。

 

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Q.データが消えるなどのトラブルへの備えについて

A,.クラウド上のデータセンターで管理しているので、消えることはない。

紙への記録も可能。先進市の前橋市では、生涯を通して健康管理サービスを行うことにしており、成人した際に登録者を本人に切り替える予定。

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Q.セキュリティについて。写真や健康情報などのデータの漏えいの際の被害が深刻ではないか。

A,いわゆる個人情報と言われる4情報(氏名・住所・青年月日・性別)については総務大臣認定の環境で保管。

写真や健康情報などアプリ上で見るデータについては、24時間体制で監視されているクラウド上で保管。

ネットワーク上では全ての情報が暗号化されており、かなりセキュリティは高いと考えている。

 

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以上、こちらから出した質問とその回答を簡単にまとめました。

 

出生率の高さは、村内に成長中のIT企業があり、若い世代が流入していることによるものであることが分かりました。つまり、子育て支援が充実しているから、というよりも、IT人口が多いことと、子育て支援の充実が必要とされているからこそ、電子母子手帳が導入されたと言えます。

また、国が勧めていることで、必要な事業費のほとんどを補助金で賄えることから、全国的にも導入が進んでいるようです。

 

私の個人的な感想としては、時代に合ったツールとして、今後、登録者は増えていく気がしていますが、やはり気になるのは情報のセキュリティです。

マイナンバーと連動した場合、その他様々な情報との紐づけがされることもあり、私だったら、「マイナンバーカードでの登録」については慎重になると思います。

 

しかしながら、私自身が、忙しい育児の中で母子手帳や育児日記に記入する時間がなかなか取れなかったことを思い出すと、隙間時間にスマホを活用して写真と連動させながら行う記録方法は、今の子育てママたちのライフスタイルに合ったものだと思います。

家族での共有ーー特に遠方の実家と写真や成長の記録を共有できるのも便利で、かつてはなかったことです。

 

母親の負担軽減とサポートの強化、また孤立を防ぐためには、有用なツールだと感じました。