ユメニカケル 珍客 3 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

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腐女子向けのお話ブログです。

キリンが来ねぇ。





雅紀さんがデザインして俺が作った初めてのリース。


それをキリンが取りに来たって聞いて、そんなおかしい客なのに雅紀さんがのほほんとしてるから、是非とも会いたいと思ってるのに、ものの見事にすれ違い。


何度か来たらしいのに、その度に俺は仕事だったり生け花教室だったり腹壊してトイレにこもってたり。





くそー、キリンめ。


俺を避けてんのか?


雅紀さん狙いか?


つかキリンで来るってどんなだよ。


絶対ぇそのキリンを脱がせてやるからな。





って思ってたある日、やっとキリン捕獲のチャンス到来。


子供会でやる何とか会で今度は春のリースを作ってくれってことだった。


また小川さんって人からの依頼だった。


キリンは意味不明だけどキリンの、雅紀さん曰くお供?だか突っ込み?の小川さんは大事なお客さんだ。仕事はきちんとやる。


しかもデザインはまた雅紀さん。


花も一緒にどれがいいか選んで、一緒に買いに行った。


作ってる俺の横でキレイな顔で笑ってた。





しかも取りに来るって日がどんぴしゃ休み。


その日は開店から閉店まで手伝うって雅紀さんに宣言した。





でも配達の時に来たら………。





その時はその時だ。


俺の雅紀さんの周りをうろちょろする謎のキリン。


雅紀さんは俺のもんだ。分からせてやる。





当日の朝、握り拳を作って闘志を燃やしてたら、しょーちゃん変だよ?って笑われた。










「ああ‼︎キリン‼︎」





もうすぐ配達に行くっていう夕方。


今日もキリンを捕獲できないのかってちょっと諦めてた。


そしたら。





来た。来やがったよ、キリンが‼︎ついにキリンが‼︎





俺の一声でキリンはびくううんってなって、小川さんの後ろに隠れた。





「会長‼︎隠れてないで挨拶‼︎」
「しょーちゃん、キリンさんが怖がってるよ」





小川さんと雅紀さんの声がかぶる。


キリンは小川さんからひょこっと出て来て、俺の前に歩いて来た。





「そのお兄さんがリースを作ってるお兄さんですよ。きちんと挨拶して下さい」





小川さんに促され、キリンは頭を下げ、その頭が。





ゴツって。


ゴツって。





「あ」
「くおおおおらああああ‼︎痛ぇぞ‼︎キリン‼︎何しやがる‼︎」
「うわあああああっ‼︎ごごごごめんなさい‼︎会長っ‼︎ごめんなさいして‼︎」




頭突きされて、怒ったらキリンが怯んだ。俺はチャーンスってキリンの頭を思いっきり引っこ抜いた。


そこに出て来たのは。


それはそれは美人の会長さん………。





ではなく。


タイガーマスクの覆面を被った、変な人だった。





なんなんだ、この人。





平謝りの小川さんと、頭を押さえつけられるタイガーマスク。


ぽかーんの俺と、爆笑の雅紀さん。





次はそのタイガーマスクも剥がしてやる。





俺は密かに心に誓った。








おしまい