舞う葉と櫻~櫻葉嵐綴り~

嵐さんが好き。

櫻葉さんが好き。



腐女子向けのお話ブログです。

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母ちゃん?って、俺は正直ビビった。





あの、あの、温厚な、いつもふにゃふにゃの顔で笑う、穏やかな海を思わせる、あの、大野さんが。





デカイ声、出した。





母ちゃん、何言ったんだ?何やらかした?おいおい分かってんだろうな?うちがここまで成功した裏には大野さんの力がめちゃめちゃデカイんだぞ?ここで大野さんを失ったらその損失は相当だぞ?





「潤さん?」





って、俺がひとりすっげぇ変な汗とすっげぇ動悸に襲われてるのに、母ちゃんはいつものように豪快に笑って。





「涼介、俺の後ろに隠れてろ」
「え?」





次のターゲットは、俺とお前だ。





俺と涼介の間に入ろうとした母ちゃんを、何とか阻止することに成功した。





成功した、のに。










「なぁ、潤さん、山田ってすげぇな」
「…………ああ、俺もびっくりだ」





涼介は母ちゃんとごくごく普通に、いや、何かすげぇ楽しげにしゃべっている。





何でも涼介のばあさんと涼介の母さん、そしてうちの母ちゃんが実は知り合いだったという。


その話で二人は変に盛り上がっている。





母ちゃんは、さすがに俺と涼介が初めて会った時に花をくれたって話は覚えていないみたいだったけど。





何つーか。


花の世界は、狭い。





盛り上がり過ぎて間に入れなくて、俺はビールを飲んだ。





まわりの二組はいちゃいちゃしていやがる。


目の毒だ。





母ちゃん。


早く涼介を返せっての。





「うちは事務所を通してくれればオッケーですよ?何でも屋ですから」





ニノが俺に向かってニヤニヤしながら何か言ってる。





「ほら、あなたの勤め先の社長さんはああ言ってるわ!!涼介くんはどうなの!?」
「オレですか?オレは…………」





おいおい、初対面でいきなり涼介くん呼びかよ。


母ちゃんいい加減にしろよって。





注意しようと、したら。





「潤さんが、いいなら、オレは」
「……………俺?」





何の話だ?





全然聞いてなかったんだけど。





「潤!!いいわよね!?いいでしょ!?」
「なっ、何がだよ!?」
「ちょっとあなたも聞いてなかったの!?」
「もってなんだよ、あなたもって」
「だってあなたたちみんなそうじゃないの。なーんーで、うちの会社の社員は、こうも社長の話を聞かない子ばかりなのかしらね~え?」
「………………」
「………………」
「………………」





およがせた視線の先に大野さんと翔が居て、俺たちは無言の言葉を交わし、無言のまま目をそらした。





「で、何の話だって?」
「涼介くん」
「涼介?」
「結婚式場のパンフレットの新郎モデルに」





なっ……………。





「さっき二宮くんに頼んでみたら、二宮くんはダメって、大野に断られたのよ」
「いや、だからって」
「雅紀くんは自分のお店があるからもちろんダメでしょ?」
「雅紀さんに手を出すんじゃねぇっ」
「涼介くん、新郎モデルとしてはちょっと若いけど、でもかわいいもの、絶対女の子に受けると思うのよね~」





母ちゃんが、完全に涼介をロックオンしている。





な、何て恐ろしい母親なんだ。





部下である大野さん、翔、そして息子の俺に、やっとできたコイビトを。


食い物に。


食い物にしようと、して。





ああ、ニノに頼んで大野さんに断られたって、それで大野さん、さっきあんな声を張ったのか。





「断る」
「二宮くんは事務所を通してくれればいいって」
「ニ~ノ~」
「涼介くんはあなたがいいならいいって」
「涼介~」





お前ら、何てことを。





「だって付き合ってるんでしょう?ここで涼介くんと仕事で組めば、将来も安泰じゃない?」
「……………は?」
「涼介くんのお母さんと私は旧知の仲だし?何だったら私が『色々』説明してあげるわよ?」
「なっ……………」





き、汚ぇ。我が母親ながらなんて汚いやり方なんだ。


思わず項垂れた。





涼介は華道家の一人息子。跡は継がないと家を出てはいるけど、今は涼介の母さんも元気だし、何も言わないみたいだけど。





いつ、何を言われるか。





いや、それでも。





母ちゃんの援護は欲しい。涼介の母さんと旧知の仲って言うなら余計にその力は利用したい。





けど。けどな。





「断る」
「潤さん…………」
「涼介がやりたいって言うなら止めない。でも、そうじゃないなら俺は断る」





テレビに出た翔を目当てに来た女子に、雅紀がどんな目に合わされたか。


母ちゃんにも、話しただろうが。





目先の利益のために、簡単に考えたらダメだ。





俺は涼介を危険な目に合わせたくない。





ただでさえ、敵が多い業界なのに。





「あら」
「あらって、何だよ」
「…………あなたも意外な姿を見せてくれるのね」





母ちゃんはまた、豪快に笑った。





「涼介くん、もしやりたいんだったらいつでもそう言ってちょうだい」
「え?あ、はい」
「潤のこと、よろしく頼むわ♪」
「……………はい」





そう言って、これまた豪快に、ジョッキのビールを一気に飲み干して。





あとは好きにしてちょうだいって、母ちゃんは、帰って行った。





全員が全員、その後ろ姿を見送って。





はああああああって、ため息が、それぞれの口から、出た。
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