Japonesque 11 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

櫻井さん?





あの日のあの夜みたいに、櫻井さんが僕を見てた。





ほっぺた、触れて、耳を撫でて、髪に、手を、入れて。





熱を帯びて、熱がこもる目。





これあげるって、櫻井さんに選んだ、僕が思う龍の首の珠を、1歩近づいてネクタイにつけた。


あのときと同じ、いいにおい。





赤。





櫻井さんは赤。炎みたい。


すごい熱量であの日も僕を見てた。僕にキスしてくれた。


手も身体も熱くて、その熱に溶けてしまいそうなぐらいだった。





櫻井さん、本当に僕のこと、覚えてない?





離れた手がまた僕に触れた。





熱い、手。





「また、来てくれる?」





聞いた僕に、櫻井さんが、櫻井さんが、櫻井さんの唇が。





覚えてる?


思い出した?


あの日もこんな風にキスをされた。生まれて初めてのキスだった。





だって僕は帰る身で、だって僕は、向こうに許嫁も、居るから。





あと少しで、触れる。





と、思ったのに、櫻井さんは急に僕を引き離して、慌てて、焦って、行ってしまった。





嫌われてはいない。それは分かる。


キレイって、僕を見て言ってくれる。





どうやったら近づける?どうやったらもっと。





『相葉ちゃん、そろそろ戻って来ないとー』





インカムからおーちゃん店長の声が聞こえた。





「あ、はい。戻ります」
『うん。あんまり外に居ると、キレイになりすぎて変なおじさんたちに絡まれちゃうよ』
「…………え?」





あんまり外に居ると、キレイになりすぎて?





おーちゃん店長の言葉に、え?って思ったけど。


戻ってすぐこれ7番テーブルねって言われて、そのあとも忙しくて、僕はそう言われたことさえすっかり忘れた。