松本清張さん没後30年で、NHK-BSで再放送された。
昭和31年東京
劇団 白楊座
石井監督の指名で、劇団員の井野(谷原章介)が映画『春雪』に出演することになった。
主役は葉山瞳(原田夏希)。
井野「どこであの男が見ているか・・・。脇役で4カット、アップは1回だけ。これならばバレないだろう」
井野のニヒルな演技が評判になり、次回作も監督から指名された。
団長の杉本と飲みに行った際に「醸し出す雰囲気というものだろう」と言われた。
井野には、自分の顔が売れるのを恐れる理由があった。
昭和22年、バー・初花酒場に勤めていたミヤ子(原田夏希・二役)と温泉旅行に行った。
山陰線の車内で石岡貞三郎(高橋和也)とばったり会った。
島根県へ着き、温泉街から、人気のない山間部へ向かった。
雷と雨。
井野「子どもを堕ろせ」
ミヤ子が拒否したため、首を絞めて殺してしまった。
「(列車で会った)石岡は顔を覚えているはず」井野は思い出して、頭が痛くなった。
井野と葉山は夜、乾杯した。
葉山に、女性ファンがサインを求めて来た。
井野も渋々サインした。
「すごいでしょ映画に出るって。全国津々浦々顔が知れ渡るんですよね」
井野はその夜、夢にミヤ子が出てきてうなされた。
『赤い森林』の脚本が届いた。
井野の事務所に、森崎から映画を見たと電話をかけて来た。
「あんな脇役でもわかったようだ。幸運と破滅が同時に近づいてくる」
脚本を読んだ葉山が、石井監督に怒鳴り込んだ。
「これって、井野さんが主役じゃない?」
ミヤ子が亡くなって9年。
ミヤ子の親戚の梅谷利一と名乗り、手紙で石谷を呼び出すことにした。
京都・知恩院に来るようにと、列車の切符まで同封した。
「もう後戻りはできない。生涯をかけた大勝負だ」
黒崎署の田村(大地康雄)は、石岡の供述を聞いて、山陰線の会った近くの駅と殺された場所とが一致した。
石岡は手紙を持って田村刑事を訪ねた。
田村「あんた、京都へ行きんしゃい。梅谷は飛んで火に入るなんとか、この男はあんたのこと調べとっちゃんだ」
石岡、田村と部下の中江が列車に乗り、京都に向かった。
「例の男の顔を見に行きましょう」
井野の想像・・・
変装後、石岡と会って「ここに犯人がいます。今は留守で2時間後に病院から戻るようです。待っている間、比叡山に登って見ましょうか」
途中で休憩して石岡に毒を飲ませる、という段取りを考えていた。
京都名物のいもぼうを3人で食べることにした。
隣では、井野が食べていた。
井野は、目が合って箸を落とした。
石岡は無反応だった。
「石岡は覚えてなかったのか。もしかして2人は刑事か?」
店から出て井野はその場で座り込んだ。
「ハハハ」と高笑いして、東京に帰った。
梅谷は約束の2時半になっても現れなかった。
映画の撮影。
井野は監督から、あるシーンでタバコを吸うことの許可をもらった。
これが命取りになった。
石岡は映画『赤い森林』を映画館で見ていた。
立ち上がって、館内で叫んだ。
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井野は葉山を高級レストランに誘った。
「ようやくこういう店で食事できるようになった」
葉山「監督とは別れました。出直しです。もう一度乾杯しましょ。お互いの未来に」
次回作は企画を持ち込んだため、井野が主役となった。
『消えない記憶』の記者会見。
井野が、長崎の原爆で家族を亡くしていることが公表された。
会見場に石岡、田村と中江も現れた。
石岡は、田村に向かって合図した。
井野は取り調べを受けた。
井野の供述から回想シーン。
戦場でも仲間の首を絞めていた。
長崎で家族を失い、列車の中でミヤ子と知り合った。
ミヤ子「ドロップの缶が宝石箱のように見えることがあるんよ」
ミヤ子は運命の人だと言って、東京に付いて行くと言い出した。
ある夜、ミヤ子が進駐軍の男と会っていたのを井野は目撃し、腹を立てた。
それで、温泉へ誘った・・・。
話を聞いて田村は「ミヤ子は嘘ばついたんね。妊娠の事実はなかったんよ。嘘ついてまで一緒に・・・、悲しか女やね。ただ一途に惚れとっただけなのに。井野、劇団に入ったのが運のつきだったな」
ミヤ子がドロップを、空に放り投げた。
井野はその光景を想像して泣いた。
(2009年12月29日の再放送)
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原作は短編作品。
松本清張さんの作品は、毎回時刻表が出てくるのが印象的。
1982年にTBSドラマでリメイクされた。
女性が犯人と言う設定で、烏丸せつこさん主演で4回に分けて放送された。
烏丸さんがライブハウスの人気歌手・夏川ケイ役で、目撃者役が河原崎長一郎さんだった。
バレなきゃいいな、バレなきゃいいなと思って、毎回楽しみに見ていて、最終回に目撃者と会ってしまった。
列車で会った時が笑顔だったため、目撃者が「この顔は違う」と言い出した。
最後には夏川が自首して終わった。
毎回、エンディングテーマの高樹澪さんの『ダンスはうまく踊れない』(作詞作曲・井上陽水)がかかっていた。
タイトルはドラマの内容と合っていないと思ったのだが、曲のアレンジがサスペンスと実にマッチしていたので、よく覚えている。
★追加情報
2024年テレビ朝日の新春ドラマで、後藤久美子さん・武井咲さんのW主演で『顔』がリメイクされることが発表されました。
後藤久美子さんは30年ぶりのドラマ出演となるようです。
『点と線』の舞台になったレバンテの記事はこちら(2017年5月2日)
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http://ameblo.jp/miyacar/entry-12270348269.html
では、明日。