◆黒澤明監督の『八月の狂詩曲(ラプソティー)』 | ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

いつしか食べ歩きがライフワークになってしまった今日この頃。
美味しかった店はもちろん、雰囲気の良かった店を紹介していきます。
2023年12月に外食記事 4000号を達成しました。
ちょこちょこ地域別索引も更新中。
現在、「いいね」返しが出来ません。

artworks_nさんによる写真ACからの写真


夏休み、長崎の田舎
鉦(かね)の住む家に、孫4人が泊まりに来ている。
テレビも洗濯機もエアコンもない。
縦男(吉岡秀隆)はくたびれたオルガンを直すという。

忠雄(井川比佐志)たちのハワイからの手紙。
パイナップル農園を経営する錫二郎が病気なので、会いに行ったが、妹である鉦が会いに来ないとピンと来ないようだった。
「4人の孫と一緒にハワイへ行きなさい」
クラークからも手紙「会ってください」
鉦自身は、十何人もきょうだいがいたため、名前を聞いてもピンと来なかった。

夕食時に孫たちは勇気を出して
「おばあちゃんの作るご飯は僕たちにとって絶望的なんだ、口に合わない、まずすぎる。明日からはたみが作る」

4人は食後に奥の部屋に集まる。
縦男「おばあちゃんを口説いて、みんなでハワイに行こう」
おじいちゃんは原爆で亡くなった。

働いていた学校に行って見ることになった。
縦男を除く3人は買い物の前に、校庭の真ん中。
生き残ったおばあちゃんも1人残されて大変だったに違いない。
1945年のねじ曲がったジャングルジムが、レガシーとして保存されている。

たみ(大寳智子)たち3人は、原爆のことをもっと知りたくて、長崎の街を歩いた。
アメリカ以外の世界各国から贈られた慰霊碑が次々に見つかった。
信次郎「なぜアメリカからのは無いの?」

たみ「どんなに恐ろしい出来事も、年と共に忘れられていく、それでいいのかしら?」
3人はアイスクリームも食べる気が起こらなかった。
帰るバスの中では黙っていた。

鉦が、きょうだいの名前を思い出して、縦男が黒板に書き出していた。
これでもまだ何人か思い出せないと言う。
「きっと、おばあちゃんはアメリカが嫌いなんだよ」
鉦はスイカを運びながら子どもたちの話を聞いていた。
「昔のことでな。おじいちゃんが亡くなってから45年。別にアメリカのことは嫌いでも好きでもない。戦争が悪かった、日本人も死んだけど、アメリカ人もたくさん死んだ。ハワイの大金持ちのことはどうでもよか。お前たちとこうして暮らせるのがうれしい」

改めて黒板を見た。
長崎の靴職人だった兄は、親方の奥さんと駆け落ち。
2本の杉の間に小屋を建て、心中した。
縦男とたみは翌日森に杉を見に行った。
「ここから眺めるだけにしよう、なんだか怖いわ」
飾り付けがしてあった。
縦男はたみに抱き着こうとして、拒否された。

縦男とたみが家に着いた頃、別のおばあちゃんが訪ねて来ていた。
2人とも向かいあって1時間も喋らないでいて、帰って行った。
信次郎「何しに来たの?」
鉦「話をしに来た。黙っとってもわかる話もある。時々来て、黙って座って黙って帰る」

縦男がハワイへ手紙を書いた。
確かめたいから、きょうだいの名前を思い出してください。一致すれば間違いなくきょうだいです。

鉦は黒板を見て「鈴吉は少し頭の悪い子。部屋に閉じこもって絵ばっかり書いていた」
信次郎は目の形を書いてみた。
夜、信次郎は目を思い出し怖いと言って、「弱虫」と言われていた。

4人は滝まで来た。
滝つぼには河童が住んでいると鉦から言われていた。
蛇が睨んで来て、不気味だった。

近くの小屋で、亡くなった人の供養をするため老人たちがお経をあげていて、鉦も来ていた。
鉦の家に仏壇が無いのはそれが理由。

鉦「鈴吉の描いた目は人の目でない、ピカの目じゃ。
長崎の方向に見えた原爆の光で、その後に地面も揺れた。鈴吉はピカの目ばっかり描いていた」

鈴吉が子どもの頃、川で溺れて痩せた男の子が連れてきたことがあった。
結局河童だろうと言うことになった。
みな子が縦男に助けを求めに来た「河童が、縁側からのぞいた」信次郎のいたずらだった。
鉦がハワイに行くことに決めた。
「もうすぐおじいちゃんの命日だから、法要済ませてから」

タクシーで忠雄たちがやって来た。
電報の内容に顔をしかめた。
「まずい。クラークさんはアメリカ人だから、連れ合いが原爆で亡くなったとわかれば気まずいことになる」
やがてもう1組の両親も鉦の家に着いた。

4人は奥の部屋で「ごちそうだったけど、つまらなかったね。大人たちの話が面白くなかったなあ」
「なぜお父さんたちはおじいちゃんのことを隠すのかしら?」

縦男「よく言えばクラークさんや錫次郎さんへの思いやり。悪く言えば外交的駆け引きと打算」
たみ「おばあちゃんはおみこし?ただ担がれているだけ?」
「仕方ない」
大人たちは、大金持ちと親戚になって仕事までもらえる想像までしてウキウキしていた。
鉦が一喝「お前たちは何考えている、まるでこじきじャ」
孫を呼び出し「月夜だから表で涼もう。月を見ると心が洗われる、とおじいちゃんも言っておった」
大人たち「いかにも教育者のようなことを言われる」
忠雄「気にすることはない、ご機嫌は直るさ」

もう1人の大人は忠雄に、渡航手続きはするから
「おばあちゃんの気持ちが変わらないように
そばにいるべきだ」と提案した。
「俺だって休みが終わる」
「いざとなったら缶詰工場で働けるんだぞ」

ハワイからの電報「クラーク来る」
大人たちは「これまでのことは無かったことにって言いに来るのでは?」

大人たち「あんな電報書くから」と縦男の頭をはたいた。
鉦「本当のこと書いて何が悪い。ピカはまだ人を殺し続ける。戦争のせいだ。戦争のために
人はなんでもする、いずれ己を滅ぼすことまでする」

長崎空港にクラークのお迎え。
忠雄と4人
4人は会うのに気が重いと、帰ってしまった。

クラークは開口一番「おじいさんのことをなぜ言ってくれなかったのですか。その話を聞いてみんな泣きました」

たみ「今の長崎って、原爆を落とされたところとは思えないわね。人間って、すぐに忘れてしまうもんね」
縦男「俺は絶対に忘れないぞ。もう一度行こう。おじいちゃんの亡くなったところ」

タクシーで忠雄の妹「長崎で見たいところはありますか?その前にホテル?」
クラーク「ホテルいりません。その前に行きたいところは、おじいさんの亡くなったところ」
クラークたちも学校に着いた。
「一緒にハワイ行きましょう」
モニュメントの前に来た。
クラーク「(おじいちゃんの亡くなった)場所はどこですか?」
忠雄「わからない。逃げて来た人たちでいっぱいでした。燃えてしまいました、人も鉄も」
地元の大人たちがモニュメントの掃除に現れた。

鉦の家で忠雄は妹に「俺たち、みっともなかったなあ」
クラークと鉦は2人で外に出ていた。
クラークは鉦「おじいさんのこと、知らなくて本当にすみませんでした。私たち悪かった」
鉦「よかとですよ」
クラーク「父から、おばさんにできるだけのことしなさい、と言われて来ました」
鉦「サンキュー、ベリーマッチ」
2人は握手した。
握手を見て感動して4人は「野ばら」歌い出した。
オルガンも直っていた。
クラークが部屋に来て「まるで天使の歌声だ」
黒板に「welcome」と書いてあり、
椅子をくっつけて作った簡易ベッド「最高だ」
おじいちゃんが亡くなった年の写真を見て「若いな」

8月9日の読経。
クラークもネクタイをして姿を見せた。
アリの大群はバラの花に向かった。
滝で、無邪気に遊んでいたら錫次郎が亡くなった知らせ。
クラークはすぐに帰って行った。
鉦「兄さん、すまなかったなあ。早く行けばよかった」
翌朝、忠雄に間違えて声かけ「兄さん、会いに来てくれたとね」
忠雄は帰るのを取りやめた。
「少しへんなんだ」
夜に雷が鳴り、鉦「ピカじゃ」孫たちに白い布をかぶせた。

忠雄「病院に連れて行こう」
妹「寝てるわよ」
信次郎「おばあちゃんがいない」
おじいちゃんの着るものをそろえ出していた。

近くのおばさんが教えてくれた。
「今日の空はピカドンの雲と一緒」長崎の方に行ったと言う。
大雨が降り出した。
4人と大人は走り出した。
目の前に傘を持って歩くものの、なかなか前に進めない鉦がいた。
両手の傘は逆向きになっていた。
「野ばら」がBGMになって
そしてエンドロール
「終」の文字。

ゆりかもめねこさんによる写真ACからの写真


長崎の田舎を舞台にした反戦をテーマにした作品。
「亡くなった人たちのことを忘れてはならない」
リチャード・ギアさんが滝のところで遊んでいたシーンは、当時の新聞の映画紹介で見たけど、ギアさんの出番って意外と少なかったことがわかった。


黒沢監督の『羅生門』の記事はこちら(2020年4月8日)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
http://ameblo.jp/miyacar/entry-12587100299.html

では、明日。