最近、世論は脱原発に向いているようですが、日頃から疑問を持ってみていると、興味深いコラムを見つけました。
田原総一朗氏の
脱原発の風潮は60年安保闘争に似ている
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110810/280586/?ST=business&P=1
というコラムです。
最近の脱原発の動きを冷静に分析して、ご本人の自戒を込めてコメントされています。
私は田原総一朗氏の歯に衣着せぬ発言があまりに強すぎて、好きではなかったのですが、賛同できる内容でした。
特に、福島第一原発事故に対して、
“事故が起きたのはどこに問題があったのかについて、科学的・技術的な議論を十分に重ねるべきである。
私は原発推進派ではない。かねてから原発の危険性を指摘した本を何冊も書いている。そんな私から見ても、科学的・技術的な議論が行われないままに、まるでファッションのように脱原発の潮流に乗るのはどうかと思う。”
というのにはいちいち納得です。
マスコミは原子力をまるで悪魔の力のようにその危険性を声高に叫ぶだけで、今ある原子力発電所の安全性の確保をどのようにしていくかを論じることはない。
放射性物質に汚染された牛肉の流通にしても、出荷停止をしなければならないほどの汚染なんだろうか疑問です。
こと、発がん性という意味においては、喫煙の方が遙かにリスクが高いのは明白なので、国民の生命と健康を守るという観点では、汚染された牛肉の出荷停止よりもタバコを販売禁止にした方がズッと効果が大きいはず。
タバコを吸いながら、原発は怖いなんていうのはナンセンスといっても過言ではないでしょう。
ところで、最近、マスコミにも全く取り上げられなくなった、地球温暖化はどうなったのでしょうか。福島第一原発事故から現在まで、ほとんど耳に入ったことはありません。
地球温暖化防止の方策として、最も有力な選択肢が原子力発電であったはずです。火力発電は放射性物質を扱わないという意味では安全ですが、大量の二酸化炭素を放出してしまうというデメリットがあります。
今の原子力を、風力や太陽光、地熱による発電などのいわゆるクリーンエネルギーってやつで置き換えるには、最低でも20年を要するという試算があります。
脱原発を行うのであれば、火力に頼らざるを得ないのが現状でしょう。
バイオエタノールを使って発電する方法もありますが、ロシアやブラジル、アメリカと違い、広い国土を持たない日本では不可能です。
脱原発→火力発電を増やす→大量の二酸化炭素の放出量を放出→温暖化現象を加速
という図式は理解しやすいと思います。脱原発と地球温暖化はセットで考えなくてはならないのです。世界的に脱原発を進めてしまうと、地球環境はどうなってしまうのか心配でなりません。
・人類の叡智で安全にコントロールできる原子力
・地球温暖化によって起こる、コントロール不能の異常気象
この二つの危険度を考えると、原子力を有効活用して地球温暖化を防止し、これ以上異常気象を起こさない方が、現実的だと思います。京都議定書を作った日本の責任でもあると思います。
クリーンエネルギーの本格化までの20年間を乗り切る現実的な処方箋を、我々人類は原子力しか持たないという認識が必要なのです。
福島第一原発事故で原子力に恐れをなして、脱原発に向かうことでささやかな安心感を得ているうちに、ミクロネシアの小さな島国が水没して消えて無くなるの見てみない振りをして暮らしていけるでしょうか。
突然の異常気象で失われる人命を脱原発のためだから仕方ないさって割り切れますか。
若狭湾の原発銀座で事故が起こったら、被害を被りかねない滋賀県北部在住のバサーの独り言です。