今月も明倫茶会へ出掛けました。
先月の明倫茶会
「ジョンケージ生誕100周年記念茶会」のブログ
今回は…
プロダクトデザイナー、喜多俊之さんが席主。
行くと待合の踊り場でヴィオラとピアノの演奏がもう始まっていました。
素敵
演奏が終るとオシャレでしっかりとしたベージュの袴姿の喜多さんが、席へと案内して下さいました。
喜多俊之さんは、イタリアと日本を拠点としてらして、シャープの液晶テレビAQUOSをデザインされている工業デザイナーさんです。
家もAQUOS二台あります。ヽ(´▽`)/へへっ
他のメーカーもAQUOSの真似してますよね。
そして喜多さんは、そのするどい感性をフルに活用して日本の伝統産業の発展にも尽力を注いでいらっしゃいます。
もっと線の細い方を想像していましたが、お顔も体もまぁるくて、ニコニコされててとってもあったかそうな方。
癒し系です。(*'ー'*)ふふっ♪
そんな、喜多さんプロデュースの今回のお茶会のテーマは
「和紙の明かり」ー秋以呂ー(あきいろ)
喜多さんがデザインされた物にあふれていました。
床の間は
LEDを使った和紙照明
床にもPAOの和紙照明
コンピューター制御されたこれらの照明は、不規則なリズムで揺らぎます。
お点前は、これまた喜多さんのデザインされた漆塗りの「二畳結界」の中で行われました。
(写真は暗くて分りにくいですね)
私達日本人にとっては、無言の約束としてある「結界」を形にしたこの二畳台目の結界は、外国でのお茶会などでも大変人気があるそうです。
大広間の真ん中で、お点前をする凛とした空間が、くっきりと強調されます。
お花も
「風をはらむ」という名のついた花器に入った薄(ススキ)。
風をはらんだ紙袋のような形の花器に、まるで強風に流れているように生けられた薄が素敵です。
今回は、煎茶の小川流。
喜多さんも一緒にお稽古されているようでした。
煎茶は抹茶と違い、五つの茶碗に二度三度とお茶を入れます。
なので、注いだり拭いたりの同じ行為が何度も何度も繰り返されることになります。
同じことを何度も繰り返す空間は、私はとても日本的だと思っています。
仏教の声明とか、能とかにも感じます。
直線的なオーケストラ
シンプルな要素だけを用いて大きな気の流れ生む
とても精神的で不思議な時空
それが、この大広間の中の「二畳結界」で素敵に作られてました。
お菓子は、紫野源水の製の「秋以呂」という銘。
秋の色をテーマに、喜多さんがデザインして作ってもらったそうです。
「丸」を上手に使われる喜多さんらしい、可愛い形です。
こなしのお菓子はちょっと苦手な私ですが(喉につまる!)これは優しい味で美味しかったです。
菓子器は、
喜多さんがデザインされているHANAシリーズのお皿。
これ、有田焼です。
有田焼という伝統産業に、今の感覚を取り入れ、どのような生活スタイルにも合うように…そして「売れる!」物を作る喜多さんのプロデュース力に溢れています。
でも、今風に思うこの形…古い有田焼きにあった形だそうです。
お花が三つ書いてあったそうですが、それを白の無地にするだけで、こんなにポップになるんですね。
決して、伝統を潰さずに今に生きる物を作ろうとする喜多さんらしい、素敵なお皿です。
他にもお茶碗や煎茶のお点前に使われる「湯冷まし」や「水注」なども、HANAシリーズのミルクピッチャーなどを素敵に見立てで使っておられました。
他にも、全国の存続のあやうくなりつつある(今の時代、百均ですべての生活用品が揃うんですから…)
伝統産業に喜多さんのデザインとプロデュースで、新たな息を吹き込まれた物達がたくさん使われています。
席中では喜多さんが色々とお話をして下さいました。
日本の伝統産業の…職人さん達の守ってきた伝統的な技術やその心意気は、絶対に世界一であり、無二なものであること。
そして、それらがこの時代にみんな存続が危ぶまれていること。
でも、なんとかしようとして技術を簡略化しようとしたところから潰れてしまっていること。
日本の伝統工芸を愛する気持ちから、職人魂を尊重しながら売れる物を作るお手伝いをされている喜多さん。
「そんな伝統産業を守るにはどうすればいいか」のお話はとても納得でした。
まず、「ハレ」を大切にする。
日本には「ハレ」と「ケ」があります。
おめでたい場面が「ハレ」です。
それを適当にせず、ちゃんと儀式として尊重すること。
お正月などには、ちゃんとしたお膳やお重を使って「ハレ」の日を演出すること。
そういうハレの日を大切にすることで、「ちゃんとした本物の物」を必要とし、それらを作る産業が発展すると。
儀式や儀礼を大切にすることで、日本の文化や工芸はこれだけ発展したんです。
茶道もそうだし、私の仕事もまさにそうなので、心の中で(¨ )(.. )(¨ )(.. )ウンウン!!と頷いてました。
結婚式や成人式なんて、別にしなくても夫婦生活は始められますし、大人にだってなります。
だけど、ちゃんと儀式を通過することで、豊かな心やその先の人生の指針を明確にしているはず。
自分が日本人であり、どれだけの伝統の上に立っているか確認すること
「自分が何者であるか」というアイデンティティーを確認できることが、どれだけ人間にとっての自信となり、無意識に正しく生きようとする道筋に繋がるか…
それを私も強く感じています。
それから、もう一つ。
日本の伝統産業を守る大切な条件としてあげてらしたのが、
「家にお客さんを招くこと」
自分たちが使うだけの物なら、何でもいいんです。
私だって、ゼリーが入っていた小さな瓶でビール飲んだりしてます。(笑)
でもお客さんに出す物となれば、何かいい物をと考えますよね。
その「おもてなしの心」が伝統産業を救うと喜多さんはおっしゃってました。
本当にその通りですよね。
仕事もお茶も、ますます頑張ろう!!!って思えたお茶会でした。
それから、この元、明倫小学校であるこの京都芸術センターは本当に素晴らしい建物です。
この大広間。
小学校に造ったんですから!
ここは西陣の呉服屋さんが立ち並ぶ室町通り。
「子供達に和の心を学んで欲しい」と
西陣の人達が大変な寄付をされて造られています。
そんな西陣の人達の思いと、優れた感性。
この心意気と、その頃の西陣のパワーには…脱帽です。
和と洋の取り合わせの上手さ。
世界中のあらゆる技術とセンスを取り入れては熟成させてきた京都人をこんなところにも見ることができます。
あっぱれ!
ごちゃごちゃ言ってる私の今日の装いは…
アンティークはめっきり着なくなった私ですが、このきものは好きで着ています。
秋の実り「柘榴(ざくろ)」のこの色が大好き。
先月の明倫茶会
「ジョンケージ生誕100周年記念茶会」のブログ
今回は…
プロダクトデザイナー、喜多俊之さんが席主。
行くと待合の踊り場でヴィオラとピアノの演奏がもう始まっていました。
素敵
演奏が終るとオシャレでしっかりとしたベージュの袴姿の喜多さんが、席へと案内して下さいました。
喜多俊之さんは、イタリアと日本を拠点としてらして、シャープの液晶テレビAQUOSをデザインされている工業デザイナーさんです。
家もAQUOS二台あります。ヽ(´▽`)/へへっ
他のメーカーもAQUOSの真似してますよね。
そして喜多さんは、そのするどい感性をフルに活用して日本の伝統産業の発展にも尽力を注いでいらっしゃいます。
もっと線の細い方を想像していましたが、お顔も体もまぁるくて、ニコニコされててとってもあったかそうな方。
癒し系です。(*'ー'*)ふふっ♪
そんな、喜多さんプロデュースの今回のお茶会のテーマは
「和紙の明かり」ー秋以呂ー(あきいろ)
喜多さんがデザインされた物にあふれていました。
床の間は
LEDを使った和紙照明
床にもPAOの和紙照明
コンピューター制御されたこれらの照明は、不規則なリズムで揺らぎます。
お点前は、これまた喜多さんのデザインされた漆塗りの「二畳結界」の中で行われました。
(写真は暗くて分りにくいですね)
私達日本人にとっては、無言の約束としてある「結界」を形にしたこの二畳台目の結界は、外国でのお茶会などでも大変人気があるそうです。
大広間の真ん中で、お点前をする凛とした空間が、くっきりと強調されます。
お花も
「風をはらむ」という名のついた花器に入った薄(ススキ)。
風をはらんだ紙袋のような形の花器に、まるで強風に流れているように生けられた薄が素敵です。
今回は、煎茶の小川流。
喜多さんも一緒にお稽古されているようでした。
煎茶は抹茶と違い、五つの茶碗に二度三度とお茶を入れます。
なので、注いだり拭いたりの同じ行為が何度も何度も繰り返されることになります。
同じことを何度も繰り返す空間は、私はとても日本的だと思っています。
仏教の声明とか、能とかにも感じます。
直線的なオーケストラ
シンプルな要素だけを用いて大きな気の流れ生む
とても精神的で不思議な時空
それが、この大広間の中の「二畳結界」で素敵に作られてました。
お菓子は、紫野源水の製の「秋以呂」という銘。
秋の色をテーマに、喜多さんがデザインして作ってもらったそうです。
「丸」を上手に使われる喜多さんらしい、可愛い形です。
こなしのお菓子はちょっと苦手な私ですが(喉につまる!)これは優しい味で美味しかったです。
菓子器は、
喜多さんがデザインされているHANAシリーズのお皿。
これ、有田焼です。
有田焼という伝統産業に、今の感覚を取り入れ、どのような生活スタイルにも合うように…そして「売れる!」物を作る喜多さんのプロデュース力に溢れています。
でも、今風に思うこの形…古い有田焼きにあった形だそうです。
お花が三つ書いてあったそうですが、それを白の無地にするだけで、こんなにポップになるんですね。
決して、伝統を潰さずに今に生きる物を作ろうとする喜多さんらしい、素敵なお皿です。
他にもお茶碗や煎茶のお点前に使われる「湯冷まし」や「水注」なども、HANAシリーズのミルクピッチャーなどを素敵に見立てで使っておられました。
他にも、全国の存続のあやうくなりつつある(今の時代、百均ですべての生活用品が揃うんですから…)
伝統産業に喜多さんのデザインとプロデュースで、新たな息を吹き込まれた物達がたくさん使われています。
席中では喜多さんが色々とお話をして下さいました。
日本の伝統産業の…職人さん達の守ってきた伝統的な技術やその心意気は、絶対に世界一であり、無二なものであること。
そして、それらがこの時代にみんな存続が危ぶまれていること。
でも、なんとかしようとして技術を簡略化しようとしたところから潰れてしまっていること。
日本の伝統工芸を愛する気持ちから、職人魂を尊重しながら売れる物を作るお手伝いをされている喜多さん。
「そんな伝統産業を守るにはどうすればいいか」のお話はとても納得でした。
まず、「ハレ」を大切にする。
日本には「ハレ」と「ケ」があります。
おめでたい場面が「ハレ」です。
それを適当にせず、ちゃんと儀式として尊重すること。
お正月などには、ちゃんとしたお膳やお重を使って「ハレ」の日を演出すること。
そういうハレの日を大切にすることで、「ちゃんとした本物の物」を必要とし、それらを作る産業が発展すると。
儀式や儀礼を大切にすることで、日本の文化や工芸はこれだけ発展したんです。
茶道もそうだし、私の仕事もまさにそうなので、心の中で(¨ )(.. )(¨ )(.. )ウンウン!!と頷いてました。
結婚式や成人式なんて、別にしなくても夫婦生活は始められますし、大人にだってなります。
だけど、ちゃんと儀式を通過することで、豊かな心やその先の人生の指針を明確にしているはず。
自分が日本人であり、どれだけの伝統の上に立っているか確認すること
「自分が何者であるか」というアイデンティティーを確認できることが、どれだけ人間にとっての自信となり、無意識に正しく生きようとする道筋に繋がるか…
それを私も強く感じています。
それから、もう一つ。
日本の伝統産業を守る大切な条件としてあげてらしたのが、
「家にお客さんを招くこと」
自分たちが使うだけの物なら、何でもいいんです。
私だって、ゼリーが入っていた小さな瓶でビール飲んだりしてます。(笑)
でもお客さんに出す物となれば、何かいい物をと考えますよね。
その「おもてなしの心」が伝統産業を救うと喜多さんはおっしゃってました。
本当にその通りですよね。
仕事もお茶も、ますます頑張ろう!!!って思えたお茶会でした。
それから、この元、明倫小学校であるこの京都芸術センターは本当に素晴らしい建物です。
この大広間。
小学校に造ったんですから!
ここは西陣の呉服屋さんが立ち並ぶ室町通り。
「子供達に和の心を学んで欲しい」と
西陣の人達が大変な寄付をされて造られています。
そんな西陣の人達の思いと、優れた感性。
この心意気と、その頃の西陣のパワーには…脱帽です。
和と洋の取り合わせの上手さ。
世界中のあらゆる技術とセンスを取り入れては熟成させてきた京都人をこんなところにも見ることができます。
あっぱれ!
ごちゃごちゃ言ってる私の今日の装いは…
アンティークはめっきり着なくなった私ですが、このきものは好きで着ています。
秋の実り「柘榴(ざくろ)」のこの色が大好き。