今日は明倫茶会へ出掛けました。

明倫茶会とは…

京都芸術センターで、月に一度催される茶会です。

毎月、様々な分野で活躍されている方を席主に招いて(主に京都に関わりの深い方を)の、大変面白い茶会です。

それはそれは、様々な分野の方達。
茶道とは全く関係のない方のことの方が多いです。

なので、その方が「茶会」「茶道」をどのように解釈されて、どの程度、どの着眼点で「茶会」とするか…毎回行ってのお楽しみな茶会です。

ちゃんと茶道に精通されたお茶人さんが席主の時もありますが、やっぱりここではちょっとおもしろい遊びが入って、おもしろいです。

元々小学校だった京都芸術センターは、レトロで少し西洋風、どっしりとしっかり造られた建物。
そのどこを茶席とするか、それもその方次第。
ちゃんとしたお茶室もありますが、講堂だったり、教室だったり…、色々です。
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お洒落なカフェなんかも入っています。


今日の席主は、
ジョンケージ生誕100周年記念カウントダウンプロジェクト実行委員会

20世紀を代表する作曲家ジョン・ケージのコンサート等を企画しているグループが席主です。
ジャンルを超え様々な芸術家に大きな影響を与えた彼の思想の中心にある「沈黙」をテーマにしたお茶会。

じょんけーじって誰?
って感じの無知な私…行く前にちらりと調べました。

ジョン・ケージ(ウィキペディアより)
ジョン・ミルトン・ケージ・ジュニア(John Milton Cage Jr.、1912年9月5日 - 1992年8月12日)はアメリカ合衆国出身の音楽家。作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家。実験音楽家として、前衛芸術全体に影響を与えている。独特の音楽論や表現によって、音楽の定義をひろげた。「沈黙」をも含めたさまざまな素材を作品や演奏に用いており、代表的な作品に『4分33秒』がある。

不確定性の音楽
偶然性の音楽

これは…なかなか前衛的な匂い。
茶会のテーマも「沈黙」。
どんなでしょ…。うは

まず、待合い。

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ジョンケージの音楽のコンサートと思われる映像が、暗い部屋に流されてます。

女の人の金切り声。
ガムテープを引き出して出す音。
うなり声。
大きな貝の中に何かを入れて回して出す音。
機械音。

それも、かなり不規則に鳴らされてるようです。

不確定性の音楽
偶然性の音楽


そして、案内があり茶室へ。
そう、会場はお茶室でした。

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芸術センターとするために造られたお茶室ではありません。
ちゃんと明倫小学校の時から、このお茶室はあったそうです。

中は…暗い。

床の間には、蛍光灯が二つ。
直線形が壁に。
丸形が下に。
不思議な雰囲気で光ったり弱まったり消えたり…。

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配られたレジュメによると…

掛軸と水盤を模して床の間に備えられた、危うく光るふたつの蛍光管はニシジマ・アツシの作品です。彼はオーディオ・アンプにスピーカーではなく蛍光灯を繋ぎ、音の繊細な変化や抑揚を耳ではなく眼に伝えようとしています。
…中略…
今回は、ジョン・ケージのテクストを朗読するケージ自身の声によって、ふたつの蛍光管が明滅します。


そう、これは音なき光の、ジョン・ケージの声だったのです。


そして、茶室内は結構な大音響で、音が流されています。
機械音?電波音?
決して心地よい音ではありません。

客がみんな着席しても、暗闇の中でのその床の間の蛍光灯の明滅の眩しさの中、その音を聞き続けます。
はっきり言って辛い。

その内、ぴたりと音が止みました。

耳が痛いような、何の音も無い突然の「沈黙」。
沢山の人がひしめき合って座っているその場の空気は、ずどんと重くなります。

でもその内、少しずつ沈黙は消えていきました。

まず、私の血流の音。
私の呼吸音。
隣りの人の呼吸音。
衣服が触れ合う音。
咳払い。

ただ人が座っているだけでこんなに音がするんだ。


車の音。
虫の声。
人の声。

そうそう、ここは都会の真ん中だった。


その内、お菓子が運ばれました。

氷砂糖
金平糖
和三盆の霰糖

とても純度の高いお菓子たち。
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(和三盆は食べちゃった)

お茶も点出しで出されます。
お点前はありません。

その間も、少しずつ違う、あの少し辛い、はっきり言って私には雑音としか思えない音がしばらくならされては、突然に止まります。

音がなっている間は、お運びの女性達の動く音などは何も聞こえません。
でも音が止まれば、畳をすり足で歩く音が「サッサッサッサッ」と聞こえたり、戸の開け閉めの音が聞こえたり。
だんだん、音響があるときとないときの、どちらが沈黙なのか分らなくなってきました。


客全員の茶碗が下げられ、しばらく経った頃…
ジョンケージ生誕100周年記念カウントダウンプロジェクト実行委員会の代表(とおっしゃってたと思います)でもあった、ニシジマ・アツシさんが登場。

色々お話を伺いました。

楽しそうだと受けたこの明倫茶会の席主だが、茶道のことを何も知らずに受けたものの、色々と茶会について調べるうちに大変なことになったと知り…この数ヶ月悩みに悩んだこと。

ジョン・ケージという人について。

などなど。


音響担当の方も、襖から少し顔を出されてお話を。

ジョン・ケージの音楽というのは、人生のようなもので、時々は辛くて堪えられないこともある。
今日の音が不快だった方も、それも人生だと思って受け止めて欲しい。

などなど。


私なりに、「沈黙」、そして辛くて甘くて苦い「人生」を堪能させてもらいました。

そして学院へぶっ飛んで帰って、ひと授業。


そして、今度はこれから…ただただ楽しめる音楽を聴きにお出掛けです!
フラメンコルンバの「コモエスタヌキ」のライブと…サルサの踊れるお店へ行ってきます~。