記録文学や歴史小説などの分野で
多くの作品を残した吉村昭氏
氏の生まれ故郷、東京・荒川区にオープンした
「吉村昭記念文学館」
館内の一角には、書斎が再現されています
部屋の三方を天井まで伸びた本棚が囲み、
歴史書、郷土史などに加え、自作のスクラップブックも
並んでいます
その量には圧倒されます
窓際には幅2㍍60㌢もある特注品の机
執筆時に多くの資料を載せるため、
この長さが必要だったといいます
氏の信念は「史実そのものにドラマがある」
戦史小説では関係者の証言を重視し、
一つの作品のために192人を取材したことも
「証言者と会い、その眼の光、
言葉のひびきを見聞きした」
それぞれの証言の”体温”にまで迫ったからこそ、
事実や数字の羅列ではなく、
血の通った人間ドラマを描けたのでしょう
正確さや裏付けに、体験の持つ”熱”が加わることで、
言葉に生命が宿ります
私達の体験にこそ、語り継ぐべきドラマがあると思いますよ